兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

重大事故から学ぶ研修会@日体大(その1)

[ 2017/07/04 20:00 ]
 日本体育大学が主催する「学校・部活動における重大事件・事故から学ぶ研修会」
の2017年度第1回会合が、6月30日17時30分から同大世田谷キャンパス
記念講堂で行われ、学内外から約300人が参加しました。
 このうち約140人が日体大剣道部の部員でした。

 この日は09年7月29日、滋賀県愛荘町立秦荘中柔道部の練習中に
急性硬膜下血腫を受傷して約1カ月後に死亡した村川康嗣くん(当時12歳)の
母・弘美さん。
 そして09年8月22日、大分県立竹田高剣道部の練習中に熱中症による
多臓器不全で死亡した工藤剣太くん(当時17歳)の父・英士さんと母・奈美さん、
弟の風音さんが登壇しました。

 村川康嗣くんはぜんそくの持病があり、体力面で不安を抱えていたため、
入部にあたって弘美さんは担任や顧問教諭(当時)に、
「他の部員と同様の練習はできない。個別の練習内容でお願いしたい」
と要請し、顧問らは了承していました。
 事故発生当日は、受け身も十分に習得できていない状況でしたが、その
練習内容は、のちに事故調査委が「大学生でも過酷なもの」と指摘したほど
不適切なもので、顧問教諭は生徒の力量を見極めることなく、体調に配慮する
こともなかったため重大事故が発生するに至りました。

 工藤風音さんは事故発生当時同高1年生の剣道部員で、
「兄が顧問教諭だった坂本忠文氏の理不尽な指導と暴力を受けて、死に至る
過程を目の前で見ていた。
 タイムマシンがあったら、あの日に戻って顧問教諭を殴ってでも制止するが、
当時は日常的に暴力をふるう顧問教諭が怖くて、なにもできなかった。
 兄の死後、自分を憎み後悔する日々が続いた」
と、その胸のうちを語りました。
 坂本氏については
「大会で優勝するなど結果を出して、自らが監督としての名声を得たいだけ。
 生徒はそのための道具にすぎず、生徒たちに対する愛情がなかった」
と厳しく批判しました。

 日体大剣道部長を務める八木沢誠・同大スポーツ文化学部長は
「本学の場合、学生の80%以上が教員志望だ。学生は授業で熱中症対策に
ついて学んでいるが、部活動中の事故で亡くなった被害者のご家族から
たいへんインパクトのあるお話を聞けたことで、学生たちにとっては机上の空論
ではなくなったと思う」
とコメントしました。
 また同大剣道部男子監督の古澤伸晃・スポーツ文化学部助教は
「私たちも学生たちの命を4年間預かっているのだ、ということを改めて認識できた
大切な機会だった。熱中症は予防がなにより重要で、熱中症を発症させない指導が
求められると再認識した。これからも学生たちには愛情をもって接していく」
と述べました。

 日体大は10月13日(金)、11月3日(金・祝)、12月14日(木)にも研修会を
開催する予定ですが、学外の方は予約が必要です。
 お問い合わせは日体大総合スポーツ科学研究センター
(03)5706-0931(担当:中嶋・國嶋)まで

全国学校事故・事件を語る会、シンポジウムのお知らせ

[ 2017/06/28 08:50 ]
 「全国学校事故・事件を語る会」(代表世話人:内海千春氏・宮脇勝哉氏)が
2017年8月26-27日、第三者委員会について考えるシンポジウムを開催します。
 詳細は
https://katarukai.jimdo.com/お知らせ/
をご参照ください。

大阪地裁、障害者スポーツクラブ死亡事故でコーチの責任認める

[ 2017/06/25 22:23 ]
 2013年8月24日、大阪市の障害者スポーツクラブでの水泳練習中に死亡した
国本考太さん(当時24歳)の両親が、クラブを運営していたNPO法人と女性コーチを
提訴していた損害賠償請求訴訟で、大阪地裁(山地修裁判長)は17年6月23日、
コーチに注意義務違反があったと認め被告に770万円を支払うよう命じる判決を
言い渡しました。
 当初は同地裁1008号法廷での判決言い渡しが予定されていましたが、
直前になって傍聴席が91席ある202号法廷に変更されました。
 これは、本件に対する社会的な関心が高いことに裁判所が配慮した形跡が
うかがえるものです。

 判決は熱中症が死因だと認めたうえで、女性コーチが熱中症の発症を予防する
ための措置を講じてはいなかったとし、
「コーチの不適切な行為が考太さんの命を奪ったといっても過言ではない」
との見方を示しました。
 しかし考太さんが熱中症を発症したことと、考太さんが死亡したことの
因果関係については明確には認めていません。

 すなわちコーチには注意義務違反があったと認定し、注意義務を適切に果たして
いたならば考太さんの死は回避できた可能性は高い、との見方を示しながら、
熱中症と考太さんが死亡したという事実との因果関係については明確な判断を
留保しており、矛盾があります。
 両親は
「『あの日の練習に参加していなければ、考太が亡くなることはなかった』という
思いが私たちの原点だ。あくまで一部勝訴に過ぎず、私たちの主張が認められて
いないので控訴する。この判決で納得することはできない」
と述べています。

 「全国学校事故・事件を語る会」の代表世話人・宮脇勝哉氏は、考太さんに
てんかんの既往症があったことを指摘し、
「私はかつて特別支援学校で教員を務めていたが、てんかんの既往症がある
子どもが水泳の授業中に発作を起こさないという保証はない。したがって両手両足
にフロートをつけて、教員がプールに入って常に子どもの体を支えているというのが
教育現場では常識だ。考太さんについて、必ずしも同列に論じるわけにはいかない
かもしれないが、女性コーチは水着にも着替えずプールサイドの椅子に座っていた
と聞いている。緊急時対応の心構えができていなかったという意味において、
障害者スポーツの指導者としてはきわめて不適格だ」
と批判しています。
 また障害者スポーツに長くかかわってきた塩浜ひろみ氏は、事故当日の練習
内容があまりにも過酷だと指摘したうえで、
「考太さんのように軽度の知的障害がある人は、コーチの指示を完遂しようとし、
サボる・怠けるという発想がない。こうした特性を理解していなければ、障害者
スポーツの指導者としての資格を備えていないと言わざるを得ない。彼女が
このままコーチを続ければ、第2・第3の考太さんを生むリスクが高い」
と警鐘を鳴らし、大阪地裁判決についても
「裁判所は知識不足。もっと踏み込んでほしかった」
と述べました。

 両親は
「水泳中に熱中症を発症するという事実は、まだ社会的に十分に認識されている
とはいえない。この判決を教訓に、二度と同じような事故を起こさないでほしい」
と訴えています。

 なお本件につきましては、『体育科教育』(大修館書店)17年7月号に
南部さおり・日体大准教授が寄稿していますし、
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201704-1.html
も併せてご参照いただけましたら幸いです。

世田谷区立小組み体操事故、第2回口頭弁論

[ 2017/06/16 06:48 ]
 2014年4月14日、組み体操の練習中に発生した事故で脳脊髄液減少症を
発症した東京都世田谷区立武蔵丘小6年生(当時)男子と両親が、担任の
男性教諭(同)と世田谷区に損害賠償を求めている裁判の第2回口頭弁論が、
17年6月13日10時00分から東京地裁(鈴木正弘裁判長)で開かれました。
 世田谷区は第1回口頭弁論で、
「話し合いによる早期の解決を図りたい」
との意向を示していましたが、第2回口頭弁論期日までに和解案を提示する
ことはしませんでした。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201704.html

 両親は
「当然なんらかの提案があるものと思っていたのに、なぜ出てこないのか?
子どものことを考え早期の解決を提案してきたのではないのか?と驚いている。
 改めて憤りを覚えるし、やはり世田谷区のことは信用できない」
と述べています。

 男子は現在、同区立中の3年生に在籍していますが、武蔵丘小が作成した
事故報告書には事実とは異なる内容が記載されており、書き換えるよう求める
両親の要望は無視されたままです。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201703-3.html

 こうした学校の姿勢について、「指導死」親の会の代表世話人・大貫隆志氏は
「事実ではない事故報告書を作成し、これを放置しておくなど子どもの尊厳を
損なうものだ」
と厳しく批判しています。

 そして武蔵丘小から中学校に対して、事故に関する詳細な申し送りは行われて
いませんでした。
 したがって生徒が体調不良を訴えても、教職員やクラスメートたちの十分な理解が
得られているわけではありません。
 このため両親は
「修学旅行に参加させるのも不安だが、保護者が不安を訴えることで先生たちに
『"これほど気を使ってあげているのに"と、かえって不審がられることにならないか?』
と、いらぬ心配を余儀なくされている。
 こうした状況が3年以上にわたって続いていることは精神的にもきつく、そろそろ
限界かとも思う。多くの保護者仲間の支えがあって、ぎりぎり耐えられている」
と、その胸中を明らかにしました。

 次回は7月12日16時30分から非公開で弁論準備が行われ、世田谷区からは
今度こそ、和解に関するなんらかの提案がある見通しです。

橿原市の自死遺族、取手市教委の対応について語る

[ 2017/06/04 20:52 ]
 2017年6月2日付朝日新聞は

 茨城県取手市で15年11月、市立中学校3年の中島菜保子さん(当時15)が
自殺したことをめぐり、市教育委員会は1日、市の調査委員会を解散させる方針を
公表した。調査委員会をめぐっては中島さんの両親が「中立性と公平性、遺族への
配慮が欠けている」などと、解散を求めていた。
 藤井信吾取手市長は1日の会見で「市教委の対応が遺族に寄り添ったものでは
なかったことについて、心よりおわび申し上げる」と述べた。同席した矢作進教育長も
「遺族との信頼関係を回復するにはスタートに立ち返り、(調査委員会を)解散する
方向で考えていきたい」と話した。2日に開かれる市教委に解散を提案する方針という。
 市教委は昨年3月「(自殺は)いじめによる重大事態に該当しない」と議決していた。
しかし、先月30日にこの議決を撤回し、文部科学省からも調査の見直しの検討を
指導されていた。31日には、矢作氏が両親に謝罪もしていた。

と伝えました。
 同市教委は6月2日、正式に調査委の解散を決定しました。

 この問題について、いじめを苦に自殺した奈良県橿原市立中1年生(当時)
女子生徒の母親は、
「教育長であれば、市立校に在籍する生徒は我が子同然ではないか?
 線香の一本もあげに行っていなかったと聞いているが、実に驚くべきこと。
 遺族と面会して悲しみの共有も出来ないとは、いじめの有無以前の問題だと思う」
と批判し、
「遺族と行政の温度差は極めて大きく、温度差を解消する努力をしないまま、
行政が事態の沈静化を至上命題として突っ走ってしまうと、このような事態に陥る」
と、自らの経験に重ね合わせて述べました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201705-2.html

 取手市が橿原市と同様に、遺族との信頼関係を構築できなかった調査委を解散し、
委員を選任し直したうえで新たに調査委を立ち上げる方針を打ち出していることに
ついては、
「調査委設置に関わる条例や設置要綱などについて、遺族と協議する場を設ける
ことも大事だし、解散した調査委が保管している資料の取り扱いの取り決めも大事。
 時間経過による記憶の劣化、(市教委などによる)隠蔽の恐れなどについても、
同時進行で注視していくことが必要不可欠だ」
と指摘しています。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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