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兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

石巻市立大川小、裁判をめぐる映画について

[ 2023/03/08 22:45 ]
 今年も3月11日を迎えます。
 東日本大震災による津波で、74人の児童と10人の教職員が
犠牲になった宮城県石巻市立大川小学校。
 映画「『生きる』大川小学校 津波裁判を闘った人たち」
(寺田和弘監督)が、公開中です。

 裁判は、亡くなった子どもたちの保護者からなる原告の
勝訴で終結しました。
 しかし亀山紘市長、境直彦教育長(いずれも当時)以下、
同市と同市教育委員会は、だれを、なにを守ろうとしたのか?
 それはなぜか?
 彼らの所期の目的は達成できたのか?
 それらの疑問は、いまも解明できないまま。
 そして地域住民や関係者の分断は修復できないまま、
今日に至っています。
 まさに、「事故が起こって幸せになる人はいない」
ということを、あらためて痛感します。

 一般社団法人ここから未来(cocomirai.org)の
篠原真紀理事は2023年3月7日。
 K’s cinemaでの上映後、アフタートークに臨みました。
 篠原さんは、本作にも登場する遺族たちと被災直後から
交流しており、毎年3月11日は大川小に足を運んでいましたが、
コロナ禍の影響により3年間、現地に行けなかったとしたうえで
「今年は4年ぶりに大川小で3月11日を迎える予定だ」
と述べました。

 民事裁判は挙証責任が原告にあります。
 すなわち、大津波警報が発出されてから
「避難するのに必要な時間も情報も方法も場所もあったのに、
なぜ先生たちは子どもたちを校庭にとどまらせたのか?」
「避難していれば子どもたちは亡くならずにすんだのか?」
という疑問を保護者たち自身が解明しなければならないのです。

 「なぜ避難しなかったのか?」は、被告・石巻市と宮城県が
情報を隠蔽しているため、いまも謎のままですが、
「避難していれば子どもたちは助かった」と仙台高裁は認め、
最高裁も県と市の上告を棄却しました。

 篠原さんは
「亡くなった子どもたちには、『お父さんお母さんたちが、
あなたたちに代わって証明してくれたよ。
 ほんとうにがんばってくれたよ』と、言ってあげたい」
と涙をこらえながら話しました。

 篠原さん自身、10年に川崎市立中学校3年生だった
次男がいじめ自死した遺族ですが、同市教委が設置した
調査委員会の委員が
「息子が好きだった本を読み、音楽を聴き、彼の胸中に
迫ろうと一生懸命になってくれて、腑に落ちる調査報告書を
作成してくれた」
とし、同委員とはいまも良好な関係にあるといいます。

 学校をめぐる事故・事件が発生すること自体、不幸なことです。
 しかし学校や行政の事後対応によって、被害者や遺族の思いが
多少なりとも救われることもあれば、とてつもなく深い心の傷を
負わされることもあります。
 当ブログでも繰り返し紹介してきましたが、さいたま市、名古屋市、
そして川崎市は稀有な例です。
 これらを、「たまたまいい人にめぐりあえたから」で、
すませてよいのでしょうか?

龍野高校の対応を検証する(その14)

[ 2022/12/25 00:38 ]
 朝日新聞大阪本社版2022年12月21日付紙面には

 大阪市立(現・大阪府立)桜宮高校バスケットボール部の主将
だった2年生の男子生徒が顧問から暴行を受け、自殺した事件から
23日で10年となる。同市都島区の同校で20日、追悼集会があった。
 全校生徒や教職員ら約900人が出席した。事件を直接知る教員は
異動や退職などで一人もいなくなった。
 1分間の黙禱の後、森口愛太郎校長は「痛ましい事案を決して
風化させてはいけないという、強い決意を確認する場としたいと
思います」などと述べた。
 さらに生徒には「この事案を昔のこと、自分の知らないことと他人事
にするのではなく、自分が選んで入ってきた桜高(さっこう)のこと、
自分の母校でのことと、頭や心の中にとどめておいてください」
と呼びかけた。
 男子生徒は元顧問の男性から繰り返し暴力や暴言を受け、
12年12月23日に自宅で自殺した。暴力が自殺の大きな要因に
なったとして元顧問は懲戒免職となり、13年9月に傷害と暴行の
罪で懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けた。
 事件後、同校は体罰の根絶をめざし、「地域に開かれた学校」
を掲げて地域住民を招いての学校行事を重ねてきた。昨秋からは
市教委による部活動改革の実践研究に協力し、地元の中学生と
スポーツ体験会で交流している。教職員も、怒りの感情を抑える
「アンガーマネジメント」などの研修を毎年受けている。

という記事があります。

 龍野高校との格差に、まさに愕然とします。

 「事件を直接知る教員は異動や退職などで一人もいなくなった」
のは、公立校である以上避けられないことです。
 だからこそ桜宮高校の森口校長は
「痛ましい事案を決して風化させてはいけないという、強い決意を
確認する」こととし、10年前には5歳から8歳だった生徒たちにも
「他人事にするのではなく、自分の母校でのことと、とどめておいて
ください」と訴えたのでしょう。
 その姿勢には頭が下がります。

 一方、龍野高。
 裁判の傍聴に来てくれていた同期生たちは、
「ぼくたちはなにも知らされていない。先生たちは学年集会でも
『彼女の分まで受験をがんばれ』と言っていただけ」
と、石原元秀校長(当時)をはじめとする教員への不信感をあらわに
していました。

 当ブログで繰り返し指摘してきましたが、龍野高の教職員は
リサさんの「不可視化」に全力を挙げてきました。
 彼らの言動には、生徒に対する愛情はみじんも感じられませんし、
不祥事は全力で隠蔽するという、醜悪極まりない姿勢を今日に至る
まで維持しています。

龍野高校の対応を検証する(その13)

[ 2022/12/20 01:21 ]
 神戸新聞は2022年12月8日付紙面で

 兵庫県の三木市立緑が丘中学校で転落死した男子生徒の
遺族に対する賠償を市に命じた神戸地裁判決を巡り、三木市は7日、
控訴を断念する方針を固めた。控訴するための議案を市議会に提出
していたが同日否決され、仲田一彦市長は「議会の判断を重く
受け止め、真摯に対応していく」と述べた。控訴期限は14日。
 事故は14年1月、北芝隆晴さん=当時(12)=が体育の授業で
持久走をした後に発生。4階教室の窓から転落して亡くなった。
地裁判決では、インフルエンザによる高熱で異常行動を起こしたと
認定。異変が見られた北芝さんを養護教諭に引き渡さなかった
体育教諭の過失を認め、市に計約2070万円の支払いを命じた。
 市は、控訴を提起する議案と仮執行停止の申し立て費用を計上した
追加の補正予算案を提出したが、市議会は反対多数で否決した。
 反対した市議の1人は「司法の判断を尊重した。裁判を続けると、
ご遺族にさらに負担がかかる。教育現場の体制を整えていくのが
市の役目だ」と説明した。
 北芝さんの母嘉代子さんは「今後、教育現場の意識がどのように
変わっていくのかが大切だと思う。救えるはずの命が救われるように
なってほしい。自分も次に何ができるのか考えていきたい」と話した。

と報じました。

 三木市議会の英断に敬意を表します。

 一方、兵庫県議会は龍野高女子テニス部事故に関する裁判において、
井戸敏三知事(当時)の方針を追認するにとどまりました。
兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト 2015年02月 (fc2.com)

 すなわち兵庫県議会には、三木市議会とは異なり
「裁判を続けると、ご家族にさらに負担がかかる」
という県民の心情に寄り添う気持ちもなく、
「教育現場の体制を整えていくのが学校設置者である県の役目」
という視点が決定的に欠けていた、と指摘せざるを得ません。

竹田高剣道部事故の資料廃棄問題、両親が最高裁に意見書提出

[ 2022/12/19 11:05 ]
 1997年に神戸市で発生した連続児童殺傷事件の裁判記録を、
神戸地裁が破棄していましたが、大分地裁でも同様に、永久保存に
当たる「特別保存」の対象となっていた民事裁判6件の記録が
廃棄されていたことが2022年11月25日、明らかになりました。
 このなかには、09年8月に発生した同県立竹田高校剣道部事故に
関する裁判記録も含まれていました。
 これを受けて、亡くなった工藤剣太さん(当時2年)の両親が
22年12月13日、最高裁に意見書を提出しました。
特別保存記録廃棄 部活中死亡した生徒の遺族が最高裁に意見書|NHK 大分県のニュース
12月13日(火) | 大分のニュース | OAB 大分朝日放送

 大分地裁は
「管理に問題があり大変遺憾。今後、最高裁による調査結果などを
踏まえて適切に対応していきたい」
とコメントしているようですが、どこか他人事のように聞こえます。

 大分地裁が記録を廃棄したのは22年2月。
 ということは、決裁文書が残っているはずですから、だれが、いつ、
いかなる根拠に基づいて廃棄処分にすることを起案し、だれが、いつ、
決裁したのかは容易に解明できると推定できます。
 すなわち、「特別保存」の対象となっていた記録を、いかなる経緯に
よって廃棄したのかを調査することはすぐさま着手可能で、わざわざ
最高裁による調査結果を待つ必要などありません。
 いたずらに時間を空費し、万が一にも事実を隠蔽したり歪曲したり
しようと試みたりした場合、裁判所に対する国民の信頼を瓦解させる
ことはいうまでもありません。
 速やかな調査と結果の公表、そして両親への説明と謝罪を期待する
ところです。

大分県立支援学校死亡事故、証人尋問は終了

[ 2022/10/05 15:01 ]
 2016年9月、大分県立南石垣支援学校高等部3年だった
林郁香(ふみか)さん=当時17歳=が、給食をのどに詰まらせ、
翌月死亡した事故についての続報です。
 22年10月3日、13時10分から15時50分まで大分地裁
(石村智裁判長)で、両親に対する証人尋問が行われました。

 今回の尋問内容については
障害女子生徒の給食事故死裁判 遺族が“娘に謝って”と訴え|NHK 大分県のニュース
をご参照ください。

 以下、ニュースでは取りあげられていないことを記します。
 母親の香織さんは尋問のなかで、事故当時小6だった次女が、
郁香さんが亡くなったのと同じ高3になったことを明らかにしたうえで
「次女は『この年で死にたくないよね。姉も死にたくなかったやろね』
といっている」
と述べました。
 
 当ブログでも既報のとおり、前回22年6月17日の証人尋問で、
当時の教諭らは両親に対して、謝罪はしました。
 しかしそれが両親の琴線に触れるものであったかといえば、
そうではありません。
 両親は、道義的責任も認めたうえで「言い訳をせずに謝ってほしい」
と願っています。
 しかし民事訴訟は、あくまで原告・被告双方の主張を聞いたうえで、
法的責任の有無について裁判所が判定する手続きに過ぎません。
 
 「全国学校事故・事件を語る会」代表世話人、宮脇勝哉氏は
「被告代理人が潔く『反対尋問は見送ります』といっていたなら、
まだ救いがあった。
 母親が記者会見で『この期に及んで、小2のときにたった1度
発作を起こしただけのてんかんについて質問してきた』といったように、
被告弁護団は新証拠もなく手詰まり状態なのに、重箱の隅をつつく
ような質問に終始した。
 その目的は、両親をいらだたせることなのか?との疑念を抱かせる
ものだった」
と厳しく批判しました。
 
 父親の和男さんは記者会見で、証人尋問前日の10月2日が
郁香さんの命日だったことを改めて指摘し、
「提訴から3年。裁判のなかで被告からは、聞きたくないこと、
受け入れ難いことをいわれてきた。
 しかし郁香の死を無駄にしないため、主張し続けたい」
と述べました。

 原告弁護団は記者会見で、個々の教諭らにミスがあったことは
厳然たる事実、としながらも
「個人の責任に帰してしまい、特別支援学校のあり方について検証
しなければ、同様の事故を繰り返すおそれがある。
 両親は、大分県教育委員会と管理職と現場の教員の風通しの
悪さも含め、ルーズな意識や開き直りを放置し、それが『変な常識』に
ならないように戦ってきた」
と強調し、引き続きの支援を求めました。
 次回口頭弁論は23年1月27日10時00分、大分地裁です。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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