兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

竹田高剣道部事件、福岡高裁は大分県の控訴を棄却(その2)

[ 2017/10/03 20:43 ]
 17年9月28日付朝日新聞大阪本社版は

 大阪市立桜宮高校バスケットボール部の男子生徒(当時17)が12年に
自殺した問題で、大阪市議会は27日、市が遺族に支払った損害賠償金など
計8723万円の半額を、部の顧問だった男性教諭に支払いを求める訴訟を
大阪地裁に起こす議案を可決した。
 バスケ部の主将だった男子生徒は12年12月に自殺した。元教諭は暴力を
ふるっていたなどとして懲戒免職となった。その後、遺族は市に損害賠償を
求める訴訟を東京地裁に起こし、元教諭の暴行などが自殺の原因として
約7500万円の支払いを命じる判決が確定。市が賠償金と遅延損害金を
16年に支払っていた。

と報じました。

 これに関連して、剣太さんの父・英士さんは
「大阪市議会は(桜宮高バスケ部の)元顧問教諭に重大な過失があったとして
国家賠償法第1条2項に基づいて求償権を行使する、と議決したのだろう。
 大分県議会にも、この気持ちを持って動いてもらいたい」
と述べました。
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000125&openerCode=1

 坂本忠文・元教諭が、大分県に対して支払うよう命じられているのは
100万円です。
 そして大分県教委は、坂本氏に懲戒免職処分を下してはいません。
 すなわち坂本氏は現在、教職に復帰してこそいませんが、大分県職員という
身分であることに違いはありません。
 つまり県民の皆さんが納められた税金で、坂本氏が給与等を得ている
状況には変わりないのです。

 大分地裁も福岡高裁も、坂本氏に対して「自己破産しても償え!」
と求める判決を言い渡しているわけではありません。
 もちろん工藤さんも、金額について争っているわけではありません。
 責任の所在を明らかにするため。
 すなわち、けじめをつけさせるために、あえて提訴してきたのです。

 あえて言いますが、自らの懐に1円も入るわけでもない。
 それどころか、訴訟にかかる費用を負担しながら行政訴訟を提訴した
工藤さんの思いは、
「県民が納めた税金を、『賠償金』として県議会で補正予算を組まざるを
得ない状況をもたらしたのは坂本忠文・元教諭にほかならず、県民が
連帯して責任を負うべきものではない。坂本氏の責任を問いたい」
という一点にあることは、繰り返し強調しておきたいと思います。

 このような事実を列挙すれば、
「大分県が法廷闘争を繰り広げるべき相手は、工藤さんではない」
ということが、皆さんにも十分ご理解いただけるものと思います。
 大分県議会議員および大分県職員、そして大分県民はもとより国民の
皆さんに、上記英士さんの発言を、改めてかみしめていただきたいと思います。

 なお両親は17年5月16日、福岡高検に本件を刑事事件として立件するよう
申し入れていますが、英士さんによると
「なにも連絡はない。しかし今回の判決を受けて、何らかの動きがあるのでは
ないか、と期待している」
とのことです。

 剣太さんの母・奈美さんは
「剣太が亡くなってから8年。長い戦いだったが、家族だけで乗り切ることは
できなかった。多くの皆さんに支えられてきたからこそ、と感謝している。
 裁判が終わったからといって、『剣太の会』の活動は変わりなく続けていくし、
いまも全国各地で戦いを余儀なくされている学校事故・事件の被害者は
大勢いる。これからも、いっしょに支えあっていきたい」
と述べました。


(この項、つづく)

竹田高剣道部事件、福岡高裁は大分県の控訴を棄却

[ 2017/10/03 20:28 ]
 当ブログ2017年7月16日付記事の続報です。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201707-2.html

 17年10月2日、福岡高裁(佐藤明裁判長)は一審・大分地裁判決を支持し、
大分県の控訴を棄却する、との判決を言い渡しました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201612-2.html

 同日、福岡市内で行われた記者会見を兼ねた報告集会で、亡くなった
工藤剣太さん(当時17歳)の両親の弁護団は
「判決は、09年度に竹田高剣道部顧問だった坂本忠文・元教諭には、
剣太さんの身に深刻な事態が起こりうると予見する可能性があった
と認め、教員として当然負うべき安全配慮義務と注意義務に違反し、
重大な過失があったと認定した。
 画期的な判断であり、高く評価する」
と述べました。
 そのうえで、
「坂本・元教諭の言動。すなわち、生徒の体調に配慮することなく暴言を吐き、
パイプ椅子を投げつけ、熱中症による意識障害を発症し倒れこんでいた
剣太さんを『演技』と決めつけ、さらに殴る・蹴るという暴行を働いたことを
『重過失』であると認定した。
 このような蛮行に教育的効果があるかのような誤解が、いまだ教育現場に
あることに対し、警鐘を鳴らしたものだ」
と指摘しました。

 そのうえで、大分県が提出した控訴趣意書に
「大分地裁判決が確定すれば、教師が萎縮する」
との記載があったことを指摘し、
「萎縮してもらわなければ困る。
 自分の目の前に、足元がふらついて明らかな異状を示している人がいたら
速やかに119番通報し、同時に応急処置を講じるのは当たり前のことだ。
 にもかかわらず、暴行を加えるなど許されることではない」
「大分県は上告できないだろうし、高裁判決が判例として確定することの意味は
極めて大きい。
 この判決をきっかけに、部活動指導のあり方について好ましい影響が全国に
及ぶことを期待している」
と述べました。

(この項、つづく)

シンポジウムのお知らせ

[ 2017/09/26 21:13 ]
 2017年10月14日、「エンジェルズアーチ」と「指導死」親の会が、
下記の要領にてそれぞれシンポジウムを開催します。

 エンジェルズアーチは、獨協大学法学部で「法心理学b」の講座を担当している
南部さおり・日本体育大学准教授が、オープン授業として
「重篤事故を防止するために!Vol.4~知っておくべき最新応急手当~」
を、獨協大学東棟E-202教室にて開催します。
 埼玉県草加市学園町1-1
 東武スカイツリーライン獨協大学前<草加松原>駅西口
http://www.dokkyo.ac.jp/daigaku/a02_02_j.html

 開場10時30分、開講10時45分。
 資料代500円。
 講師は兵庫県川西市立川西中ラグビー部事故で1年生だった長男を亡くした
宮脇勝哉さん。
 大分県立竹田高剣道部事故で2年生だった長男を亡くした工藤奈美さん。
 NPO法人・スポーツセーフティージャパン代表理事で、米国公認アスレティック
トレーナー(ATC)の佐保豊氏です。

 事前のお申し込みが必要です。
 お名前、所属先、連絡先、授業終了後の懇親会に参加するか否かを明記して
 netu.jikobousi@gmail.com(担当:宮脇)までご連絡ください。


 「指導死」親の会は、13時00分から「指導死」シンポジウム7
「『指導死』とその周辺~きょうだいらが語る『指導死』~」を
人権ライブラリー(公益財団法人・人権教育啓発推進センター)にて開催します。
 東京都港区芝大門2-10-12 KDX芝大門ビル4階
 JR浜松町駅、都営三田線芝公園駅、都営浅草線・大江戸線大門駅
 http://www.jinken.or.jp/houjingaiyou/access

 資料代800円。
 同会は
「今回のシンポジウムでは、『指導死』できょうだいを失った複数の当事者の発言を
中心に、『指導死』そのものや、学校の事後対応、自らの学校生活やその後の
生き方など、『指導死』がもたらした様々な影響を、きょうだいならではの視点を含め、
これまでとは少し違った角度から考えていきたいと思います」
としています。
 大阪市立桜宮高バスケットボール部の元部員も登壇します。

 同会によると、「席に限りがありますので、事前のお申し込みをおすすめします」
とのことです。
 メールで4104@2nd-gate.com、またはFAXで03-6804-2926まで。

世田谷区立小組み体操事故、第3回進行協議

[ 2017/09/17 11:06 ]
 2014年4月14日、組み体操の練習中に発生した事故で脳脊髄液減少症を
発症した東京都世田谷区立武蔵丘小6年生(当時)男子と両親が、担任の
男性教諭(同)と世田谷区に損害賠償を求めている裁判で17年9月5日、
3回目となる弁論準備が非公開で行われました。

 世田谷区は事後対応の一環として、
「事案に応じて中立的な外部専門家が参画した調査委員会の設置を検討する」
という文言を、和解文書に盛り込むことを了解しました。
 これは16年3月に文科省が公表した「学校事故対応に関する指針」に、
「被害生徒の保護者の要望があれば、学校設置者が調査委員会を立ち上げて
詳細調査を行う」
との記載があることに基づくものですが、問題は当該事故の全容解明が
進んでおらず、したがって実効性ある再発防止策については同区から
具体的な提案がないまま、という点にあります。
 しかも「事案に応じて」とは、どのような事案を対象とするのか?
だれが「調査委の設置を検討し」決定するのか?は明記されていません。

 学校が作成した「事故報告書」については、記載内容の書き換えには応じない
ものの、男子生徒と保護者がまとめた反論書を事故報告書と一緒に保管する、
との意向を示しました。
 すなわち、同区役所などで事故報告書を閲覧する際には反論書もセットとして
閲覧することが可能になるため、原告もこれを了承しました。
 そのうえで次回以降、世田谷区が賠償金額を提示する運びとなりました。

 世田谷区は事故を発生させたことにより男子生徒と保護者に身体的・精神的苦痛を
与えたことは遺憾であるとし、事後対応に問題があったことも認めて謝罪する、
としています。
 しかし男性教諭は国家賠償法第1条を根拠として「個人として賠償責任を負うことは
ない」という姿勢を崩さず、いまに至るまで男子生徒と保護者に対して謝罪していませんし、
今後も謝罪しない意向です。
 
 保護者は
「これを受け入れるつもりはない。あまりにも不愉快だ」
と述べています。

日本子ども安全学会第4回大会

[ 2017/09/11 20:26 ]
 2017年9月9日、「日本子ども安全学会」第4回大会が都内で開催され、
全国各地から約70人が参加しました。

 石井拓児・名古屋大准教授が
「学校事故・部活動問題の教育法的・制度論的検討」
と題する基調講演を行い、
「部活動の指導者になりたいから教員を目指している」
という学生が相当数いることに加え、
「部活は保護者からクレームが来るからやめられない」
という現役教員の声を紹介したうえで、
「部活動が過熱するのは、教員と一部保護者の共犯関係に原因がある」
と指摘しました。
 またユネスコが15年に発表した「体育・身体活動・スポーツに関する国際憲章」に、
「スポーツに専門的責任を負うすべての人材は、適切な資格を有し、トレーニング
を行い、継続して専門的力量の向上に努める」
との記述があることを指摘し、
「わが国にも米国公認アスレティック・トレーナー(ATC)に準じる資格制度を確立し、
公立・私立を問わず、すべての学校に有資格者のトレーナーを配置すべきだ。
 その際、トレーナーには顧問教諭や外部指導者が適切な指導を行えるよう、
指導監督する権威と権限を与えることも不可欠だ。文部科学省には資格認定と
予算措置について提言しているが、彼らは『スポーツ庁の管轄だ』として及び腰だ。
 しかし学校管理下でスポーツ事故が相次いでいる現状に鑑みると、なんとも
歯がゆい限りだ」
と述べました。

 プラムネット株式会社の渡辺直史氏は、未就学児の保育施設が登山を行った際、
4歳児と5歳児それぞれ1名が約3時間にわたって行方不明になるという事態が
発生した際、当該園と自治体から第三者委員会による検討を依頼され、委員として
参加した経験について発表しました。
 同氏は
「重大事故が発生した場合、どうしても責任の所在や過失の有無、法的責任や
賠償責任という話になってしまう。そうなると関係者は口を閉ざし、結果として
情報が開示されず、したがってリスク要因について共有できないという事態に
陥りやすい。『快復可能な傷病』や、命に関わった可能性のある『ヒヤリ・ハット』など、
重大事故に至る一歩手前の段階における検証こそ、子どもの命を守る上で重要だ」
との見解を示し、
「委員が持つ専門性・客観性・公平性が、検証の過程で遺憾なく発揮されるならば、
当事者も含めた垣根のない情報交換の場を作り出すことができる。そしてそこでは、
『誰が』悪いのか?よりも、『何が』事故につながったのか?に光を当てることによって、
再発防止に向けた教訓を導き出すことが可能となる。
 そして生徒や保護者への説明責任は、あくまで学校・園にある」
と述べました。

 日本子ども安全学会を運営している一般社団法人吉川慎之介記念基金の
吉川優子・代表理事は、水遊びの際は必ずライフジャケットを着用するよう
訴える活動を続けています。
http://digital.asahi.com/articles/ASK7V5TS4K7VUBQU01F.html

 グローブライド株式会社の吉川隆氏は、吉川優子さんの活動に賛同して
同基金に子ども用ライフジャケット100着を寄贈すると発表しました。
www.globeride.co.jp

 吉川優子さんは、長男・慎之介くんが12年7月、幼稚園のお泊り保育に
参加した際、川遊び中に流されて死亡した愛媛県西条市にこれを寄付する
との意向を示し、
「事故の記憶が年月とともに風化するのは避けられないかもしれないが、
事故の教訓が風化することはあってはならない」
と述べました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201609-6.html

 同学会の第5回大会は18年9月8日、中央大学駿河台記念館で開催されます。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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