兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

全国学校事故・事件を語る会、シンポジウムを開催(その2)

[ 2017/05/24 07:12 ]
 奈良県橿原市立中1年生女子生徒が2013年3月28日、いじめを苦に自殺した
事件について、母親が自らの経験を語りました。
 母親は、担任や学年主任、部活動の顧問ら複数の教諭がいじめに関する情報を
共有していながら事態を放置し、保護者にも伝えなかったために
「未然に防げたはすの自死事案が発生した」と告発しています。

 にもかかわらず橿原市は、森下豊市長、吉本重男教育長らが同市の顧問弁護士
だった北浦一郎氏(大阪弁護士会)を第三者委に送り込み、同氏に委員会の運営を
主導させることで事実を隠蔽し、「母親の虐待が自死の原因」と事実ではないことを
捏造し、これを流布することで学校側が負うべき責任を家庭に転嫁しようと画策しました。

 しかし、この試みは旧委員会の委員らが内部告発し、旧委員会を解散に追い込む
ことで頓挫しました。
 その後、出口治男弁護士を委員長とする新委員会が発足し、橿原市の姿勢を
痛烈に批判したことは既報のとおりです。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201310-3.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201504.html

 母親はシンポジウムで、
「情報の隠蔽・歪曲は、被害者と遺族に対する重大な人権侵害だ」
と訴え、
「加害生徒らから、謝罪と反省の機会を奪わないでほしい」
と要望しました。
 そのうえで、罰則規定が整備されないと「いじめ防止対策推進法」や、
文部科学省が17年3月に公表した「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」
が有効に運営されない、と指摘しました。

 12年7月31日、教師からの指導を受けた直後に自死した新潟県立高校3年生
男子生徒の父親は、
「第三者委が設置される場合、その設置要綱が生命線」
と強調しました。
 当初、新潟県教委は委員の選任についても遺族側の推薦は
「公正性・中立性・客観性に欠けるため認めない。公正性・中立性・客観性が
担保されているかどうかは、県教委が判断する」
としていました。

 当然ながら遺族側が了承できるものではなく、粘り強く交渉した結果、
調査委の所掌事務として
「原因究明と学校・県教委の事後対応の検証」
と明記させたことが大きな意味を持った、と振り返りました。
 この結果、16年7月25日付で、第三者調査委が調査報告書を県教委に提出し、
新潟県は16年8月31日付で公表しました。
http://www.pref.niigata.lg.jp/kyoikusomu/1356782190163.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-category-28.html

 父親は、同級生らの多くが高校卒業後、進学などで地元を離れていたにも
かかわらず、委員らが自ら事情聴取を行ったことが調査に2年半を要した
大きな要因だと指摘したうえで、
「遺族がここまで苦労しないと正当な調査委は設置できないのか、と疑問に思う。
遺族の理解と同意を得られない調査委はあってはならない」
と述べました。
 調査委のスタンスについては
「常に遺族の心情を理解し、最後まで中立・公正であり続けることこそ、
本来の第三者委員会のあるべき姿」
と、評価しています。

(この項、つづく)

全国学校事故・事件を語る会、シンポジウムを開催

[ 2017/05/23 21:48 ]
 「全国学校事故・事件を語る会」(代表世話人:内海千春氏・宮脇勝哉氏)は
2017年5月21日、神戸市内でシンポジウム
「被害者・遺族から見た第三者委員会の課題」を開催しました。
 前日の交流会と合わせて、2日間でのべ180人を超える参加者が
全国各地から集まりました。
 同会は、今回のシンポジウムを「現状の課題を洗い出す手続き」と
位置付けており、8月26-27日に「神戸ホテルフルーツ・フラワー」で
開催する次回シンポジウムで課題を整理する、としています。

 冒頭、渡部吉泰弁護士(兵庫県弁護士会)が、学校事故・事件の調査に
あたる第三者委員会の設置にあたっては、被害者が権利の主体だとし、
「意見を表明する権利とともに、第三者委が得た情報にアクセスする権利を
担保することで被害者を支援する視点を確保すべきだ」
と提言しました。

 このあと学校事故・事件の被害者遺族で、第三者委から報告を受けた
3つの事例について当事者から報告がありました。

 14年1月9日、兵庫県三木市立緑が丘中1年生だった北芝隆晴くんが、
同校4階教室の窓から転落して死亡しました。
 母親の嘉代子さんによると、学校は事故に関する調査をせず、三木市が
設置した第三者委に丸投げしました。
 嘉代子さんは、委員について
「市は『公平に選出した』というが、選出基準も遺族には示しておらず、
なにを基準に公平というのかわからない。事故後もうろうとしている遺族に
紙を示して意見を求められても、正常な判断ができる状況ではなかった」
と述べています。
 14年1月24日には第三者委(委員長:中村晴信・神戸大大学院教授)の
初会合が開かれ、同年6月20日には報告書を発表するなど、きわめて
短期間でことが進んだ結果、「インフルエンザなどウイルス性疾患が原因
であり、教師と離れた瞬間に発症し重症化したため、学校に責任はない」
と結論づけています。

 これについて嘉代子さんは
「三木市の第三者委は市教委のための組織でしかない。報告書の記載
内容は学校を守るために、もっともらしい話を作り上げたとしか思えない」
と厳しく批判し、その根拠として隆晴くんが転落する直前の体育の授業で、
持久走を走り終えたときの目撃証言や、搬送先の病院で医師が熱中症の
可能性に言及していたことなどを指摘しています。

 第三者委は、全校生徒と保護者を対象にアンケートを実施しましたが、
その結果は開示していません。
 北芝嘉代子さんは、自身が生徒たちから得た証言と報告書の記載内容に
大きなギャップがあることから不信感を抱き、「親の知る権利が担保されていない」
との思いからアンケートの開示を求めていますが、三木市は頑として応じない
ままです。
 このため、再調査とアンケートの開示を求める署名活動を続けているほか、
神戸地裁で損害賠償請求訴訟が継続中です。

(この項、つづく)

「学校・部活動における重大事件・事故から学ぶ研修会」のお知らせ

[ 2017/05/18 18:34 ]
 日本体育大学は、2017年度も
「学校・部活動における重大事件・事故から学ぶ研修会」を開催します。
 第1回は6月30日(金)17時30分~20時00分、日体大世田谷キャンパス
記念講堂で行われます。
http://www.nittai.ac.jp/access/index.html

 講師は滋賀県愛荘町立秦荘中柔道部の練習中に頭部外傷を受傷して死亡した
村川康嗣くんの母・弘美さん。
 そして大分県立竹田高剣道部の練習中に熱中症による多臓器不全で死亡した
工藤剣太くんの両親・英士さんと奈美さんです。
 
 今年度は10月13日(金)、11月3日(金・祝)、12月14日(木)の全4回の日程で
開催する予定です。
 第2回以降は詳細が決まり次第、当ブログでもお知らせします。

 学外の方は、予約が必要です。
 お問い合わせは日体大総合スポーツ科学研究センター
(03)5706-0931(担当:中嶋・國嶋)まで

竹田高剣道部熱中症死亡事件、控訴審第1回口頭弁論

[ 2017/05/17 23:07 ]
 2009年8月22日、大分県立竹田高校剣道部の練習中に工藤剣太さん
(当時17歳)が熱射病による多臓器不全で死亡した事件について、
17年5月16日13時30分より福岡高裁(佐藤明裁判長)で、控訴審第1回
口頭弁論が開かれました。
 審理が行われた502号法廷に傍聴席は24席しかなく、しかも11席は
記者席としてあらかじめ割り振られていました。
 このため福岡高裁は急遽長椅子4脚を法廷に運び入れ、なるべく大人数が
傍聴できるよう配慮しましたが、それでも入りきれず廊下で待機していた
支援者が出たほどで、この裁判に対する関心の高さを物語っています。

 剣太さんの両親によると、控訴しないよう求める署名は全国から少なくとも
3100筆が大分県教委に送られていますが、大分県はこれを無視しました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201703-1.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201702-3.html

 広瀬勝貞・大分県知事が提出した控訴理由書には、新たな証拠は示されて
おらず、一審での主張をなぞっているにすぎません。
 これに対して剣太さんの母・奈美さんは約15分にわたって意見陳述し、
控訴理由書に
「今後発生する多くの部活動事故の事案でも、部活動顧問に対する求償権
行使が認められることとなると思料される」
との記載があることを指摘し、
「大分県は事故が再発することを前提に論理を組み立てている。県は剣太の
死後、『二度とこのようなことが起きないように』と繰り返し表明していたが、
『再発防止』は実現していない。学校内でなにをしても国家賠償法で守られると
教員が思っている間は、悲惨な事件は何度も繰り返される」
と述べ、
「学校は、部活動の存続が危ういとか、教員が萎縮するなどという以前に、
将来にたくさんの希望を持てるような子どもたちを育てる場所だ」
と訴えました。
 次回口頭弁論は7月13日、13時30分から福岡高裁502号法廷で行われます。

 口頭弁論終了後の記者会見で両親は
「大分地裁判決をなんとしても維持したい。教師がカッとなって手を振り上げたとき、
『事故が起きたら個人でその責めを負わねばならない』という思いが頭をよぎれば
暴力を抑止する効果がある。二度と私たちのような家族を生まないことを願っている」
と述べました。

 両親は口頭弁論に先立って福岡高検を訪れ、大分地検が顧問教諭だった
坂本忠文氏を不起訴処分としたことに対し、不服を申し立てました。
 これについては大分合同新聞が17年5月16日付夕刊で、以下の通り報じています。

 竹田高校剣道部で09年、練習中に熱中症で倒れて死亡した工藤剣太さんの両親が
16日、業務上過失致死容疑で書類送検された元顧問らを大分地検が14年までに
不起訴処分としたことを不服とし、刑事事件として再捜査するよう福岡高検に申し立てた。
 両親は、元顧問らに賠償責任を負わせるために県を訴えた民事訴訟で16年12月、
一審大分地裁判決が元顧問の重過失を認めたと指摘。「民事裁判で重過失が認められ、
刑事事件は不起訴で終わるなどというのは誰も納得できない」と申し立てた。両親に
よると、高検側は「書類を読んで判断する」と答えたという。
 大分地検は12年、県警が書類送検した当時の顧問と副顧問について、嫌疑不十分で
不起訴処分とした。両親の不服申し立てを受けた大分検察審査会は13年、不起訴は
不当だと議決したが、地検は14年、再び不起訴処分として捜査を終えた。
 福岡高検によると、地検の処分に不服がある場合は、検察審査会とは別に高検に
申し立てができる。

 この問題について、首都大学東京の木村草太教授は東京新聞の取材に応じ、
「元顧問の重過失行為は現場で厳禁すべき内容。地裁判決は妥当だ。検察が元顧問を
起訴して、刑事責任を負わせるべきだった」
との見解を明らかにしています。(17年2月7日付同紙)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201702/CK2017020702000155.html

水泳練習中の熱中症死亡事故、判決期日のお知らせ

[ 2017/05/08 07:30 ]

 2013年8月24日、大阪のNPO法人が主催する障害者向け水泳教室で
練習中に熱中症を発症して死亡した国本考太さん(当時24歳)の遺族が、
指導者と水泳教室を相手取って提訴した損害賠償請求訴訟の判決が
6月23日13時10分、大阪地裁1008号法廷で言い渡されます。
 多くの皆さんの傍聴をお願いいたします。

 事故の概要は以下をご参照ください。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201704-1.html

 また朝日新聞の中小路徹編集委員も、17年4月29日付同紙コラム
「縦横無尽」で、この事案を取りあげています。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12915291.html

 併せてご参照ください。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

最新トラックバック