兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

教育現場に蔓延する隠蔽体質と無責任体質

[ 2018/01/23 13:32 ]
 2018年1月22日付毎日新聞オンライン版は、

 聖カタリナ学園高(松山市藤原町)で、女子ソフトボール部監督の男性教諭(30)が
部員に体罰やセクハラ発言を繰り返していた問題について、芳野敬三校長は、
問題が報道されるまで学園の理事会に報告していなかった。
(中略)
 同校が、保護者からの訴えで最初に問題を把握したのは昨年12月15日。
同18日付で教諭を「校長訓戒の懲戒処分」とし、教諭の監督としての活動は
無期限で停止とした。
 しかし、この処分は芳野校長が独断し、教諭に口頭で通達したもので、
同22日に開かれた理事会で問題や処分について報告していなかったという。
 理事会へ報告したのは、問題が最初に報道された1月17日。独断で処分した
ことや理事会への報告が遅れた理由について、芳野校長は20日の記者会見で
「部員が復帰しやすい土壌を作りたかった。事態が収束しつつあり、和解したら
報告するつもりだった」などと釈明し、「極めて不適切な処分だった」と謝罪した。
 学園は事態を重視し、19、20日に理事会を開いて教諭を19日付で諭旨解雇、
芳野校長を減給とする処分を決めた。

と伝えました。

 12年7月20日、西条聖マリア幼稚園(愛媛県西条市)のお泊り保育に
参加した際、増水した川に流されて死亡した吉川慎之介くん。
 西条聖マリア幼稚園の設立母体である学校法人・ロザリオ学園の
ホームページによると、ロザリオ学園と聖カタリナ学園には密接なつながりがあり、
「ロザリオ学園BigFamily」と称しています。
www.rosario.ac.jp/main/bigfamily/

 慎之介くんの母・優子さんは、西条聖マリア幼稚園について
「教諭らからは『川が悪い』、『安全対策について学んでいないのだから
責任はない』など、残念な主張を繰り返し聞かされる。
 わが子を亡くした親として心穏やかではいられず、精神的な負担は大きい」
と述べています。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201609-6.html

 また同園の園長以下関係者は、吉川さん夫妻が設置した調査委員会の
聞き取りにも応じていません。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201508-1.html

 こうした事実を踏まえて吉川優子さんは
「隠蔽体質や、事実をうやむやにしてしまおうという無責任体質は、
聖カタリナ学園とロザリオ学園の双方に共通している。
 西条聖マリア幼稚園のお泊り保育事故から学ぶべき教訓が、“BigFamily”と
称する組織内で活かされていないのは、極めて遺憾だ。
 しかし聖カタリナ学園は、少なくとも事実をうやむやにしようとしたことを認め、
記者会見で謝罪をしている。
 一方ロザリオ学園は、事故から5年以上経過しているにもかかわらず
謝罪もせず、説明責任も果たしていない」
と厳しく批判しています。


(この項、つづく)

愛媛県と栃木県の私立高、部活顧問教諭の暴行が発覚

[ 2018/01/19 07:42 ]
 2018年1月18日付朝日新聞は

 松山市藤原町の私立聖カタリナ学園高校で、女子ソフトボール部監督の
男性教諭(30)が2年生の女子部員4人に体罰を繰り返し、うち1人に
セクハラ発言もしていたことがわかった。
 同校が17日夜に会見を開き、同日、事実関係を県に報告したと明らかにした。
うち2人は現在も登校できていないという。
 同校によると、昨年4月から監督に就いた教諭は同7月ごろから、部員4人に
対し、手のひらや拳で殴ったり、バント練習時に打撃マシンの球を素手で
受けさせたりした。
 また、1人には「彼女にしてやろうか」「女子なんだからむだ毛は剃らないと」
などと発言したという。「部活に来ないなら奨学金を受ける資格はない」
「お前たちでは勝てない。退部届を出せ」とも言ったという。
 先月15日に保護者から報告があって同校は把握。教諭は事実関係をほぼ認め、
部員や保護者に謝罪した。同校は同18日付で訓戒処分とし、部の指導から
無期限で外したが、今も被害生徒のクラスを含めて授業を担当しているという。
 同校女子ソフト部は県内屈指の強豪で、昨年の全国高校総体にも出場。
芳野敬三校長は会見で「ご心配をおかけして申し訳ない」と謝罪した。

と報じています。

 また同日付毎日新聞には

 佐野日大高(栃木県佐野市石塚町)で女子バレーボール部の顧問だった
男性教諭(53)が3年前に部員に太ももを蹴るなどの体罰を加えていたことが
17日、同校への取材で明らかになった。
 同校によると、男性教諭は15年10月、同校で行われた練習試合中に当時
3年生だった部員1人の右太ももを3回蹴り、拳で胸を5回殴ったという。部員は
打撲など全治約2週間のけがをした。部員が痛みを訴えたことで体罰が発覚。
男性教諭は同校の聞き取り調査に対し、「チームを引き締めて、他の選手と
連帯感を持たせようと思った」などと説明しているという。
 男性教諭は約3週間の出勤停止と減給の懲戒処分を受け、昨年3月に顧問を
解任された。
 同校は今月、県文書学事課や県高体連などに報告。同校の榊原茂明教頭は
「体罰の報告が必要という認識がなかった。今後は教員に対する指導を更に
徹底していきたい」と話した。
 私立学校を所管する県文書学事課は足利工大付高(足利市福富町)の
男子バレーボール部の男性コーチが昨年6月に部員を蹴るなど暴行した
問題を受け、12月に県内の私立学校長に対して教員の適切な指導を徹底する
よう通知したほか、私立学校長の出席する会合で体罰などの問題があれば
速やかに関係機関に報告するよう指導していた。

という記事があります。

 大分県立竹田高剣道部事件で、大分地裁と福岡高裁が生徒に対して
暴力を振るった顧問教諭(当時)の行為を重過失と認定し、賠償責任を認める
判決を言い渡したのは記憶に新しいところです。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201710-8.html

 亡くなった工藤剣太さんの母・奈美さんは、大分地裁判決を受けて
「この判決で、教師は自らの言動に責任を問われることになった。
 カッとして生徒に対して暴力を振るおうとしたときの抑止力となりうる。
 これが全国に広まることを願っている」
と述べていましたが、
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201612-2.html
大変残念なことに、奈美さんの願いが教育現場に浸透しているとは言い難い、
と判断せざるを得ません。

神戸市立高で不適切な生徒指導

[ 2017/12/30 16:18 ]
 2017年12月26日付神戸新聞は

 神戸市東灘区の市立六甲アイランド高校で1年の男子生徒が校舎5階から
転落し、重体となっている問題で、男子生徒は転落直前、会員制交流サイト
(SNS)を巡る生徒間のトラブルについて約8時間にわたり教諭らから事情を
聴かれ、反省を促されるなどの指導を受けていたことが25日、神戸市教育
委員会などへの取材で分かった。(中略)
 学校関係者らによると、男子生徒は今月発覚したツイッター上のトラブル
について22日、始業前から1階の個室でトラブルの内容や経緯などを
聴かれるなどした後、休憩や自習を挟みつつ、翌日以降に別室での指導を
受けることを告げられた。指導を終えた十数分後の午後5時ごろ、敷地内で
倒れているのが見つかった。校舎5階の窓が開いており、ここから転落した
とみられる。
 同校の関係者によると、同様の指導では、朝から1人で別室に入り、一日の
予定を書き出し、それを実践できたかなどの反省を記したり、学校や家族に
ついて作文を書いたりするという。期間は2週間近くに及ぶこともあったといい、
生徒指導担当教諭から「高校を辞めるか」などと強い口調で言われた生徒も
おり、関係者は「指導を受けた後、かなり落ち込んだ様子の生徒もいた」
と話した。
 市教委は、男子生徒に関して「指導の中身や期間については明らかに
できない」とする一方で、「指導の際は、生徒の人権に十分配慮している」と
強調。「男子生徒の転落と指導の関係については、現段階では分からず、
詳細は差し控える」としている。

と報じました。

 「『指導死』親の会」の共同代表・大貫隆志氏は、
「『指導』の名を借りた教員の不適切な言動が児童生徒らに精神的な圧迫を加え、
心理的視野狭窄状態を生み出して突発的な自死を招くことがある」
と警告し、不適切な言動の例として
・長時間の身体的拘束、
・複数の教員が1人の生徒を取り囲む集団圧迫、
・暴言や恫喝によって心理的外傷を負わせること、
・反省や謝罪の強要、
・子どもを1人にする安全配慮義務違反、
などをあげています。

 同日付毎日新聞大阪本社版夕刊は

 指導は教員3人が複数の生徒を対象に、2日間にわたり実施された。
21日は7時間半、22日は8時間半かけ、教員の面談による事実確認・指導は
各30分~1時間で、残りの時間は反省文の作成や自習をさせた。25、26日は
面談の予定だった。生徒が転落したのは、22日の指導終了後、保護者の
迎えを待つ間だった。

と伝えました。

 これによると六甲アイランド高の対応は、大貫氏の指摘している項目の
多くに該当します。
 一方、大谷真一・神戸市教委学校教育部長は12月26日の記者会見で
「実質的な指導は35分と1時間。ほかは反省文を書かせるなど、自主的な
学習の時間。比較的軽い指導と考えている」
との見解を示しています。(同日付神戸新聞夕刊)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201712/0010849955.shtml


(この項、つづく)

群馬県立高と龍野高の共通点と相違点

[ 2017/12/24 07:53 ]
 2017年12月20日、群馬県立藤岡中央高で陸上部員が投げたハンマー投げの
ハンマーがサッカー部員の2年生男子の頭を直撃し、同日夜この生徒が死亡する
事故が発生しました。

 この件について読売オンラインは、17年12月21日付で

 市川敏美校長は「学校の管理下でこういった事故が発生してしまったことに、
責任を感じています」と語った。

と伝えました。

 さらに翌12月22日付で

 事故が起きた時、陸上競技部の顧問は近くにいなかった。部員たちに練習を
終えるよう指示し、学校を離れた後だった。市川校長は「事故の直前までは
練習に立ち会っていた。最後まで面倒をみるべきで、通常はあり得ない対応。
反省すべき点がある」と語った。
(中略)
 市川校長は「事故が起きたということは安全管理に問題があったということ。
原因究明とともに、再発防止策を考えていきたい」と話した。

と報じています。

 本件は、07年5月24日に龍野高女子テニス部の練習中に発生した事故と
酷似している部分と、対照的な部分があります。
 共通点は、顧問教諭が練習開始時点では立ち会っていたものの、途中で
練習場を離れ、教員不在のまま練習が行われていたこと。
 対照的なのは、石原元秀氏・清重安男氏をはじめとする歴代の龍野高校長が
責任回避を至上命題として、部活動を行う際の安全管理体制に問題があった
ことを認めず、原因を究明するための調査を実施せず、再発防止策を策定
しないまま今日に至っていることです。

 石原氏は12年12月7日、神戸地裁に証人として出廷し
「謝罪すれば、道義的責任が法的責任にすり替えられるおそれがある」
ことを被害者と保護者に謝罪していないことの根拠として主張しました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201212-9.html

 道義的責任と法的責任は、あくまで別問題です。
  これは17年12月14日の日体大研修会で、学校事故・事件の被害者家族
らから
「川崎市や名古屋市の対応は、わたしたちの経験とは正反対だ。
 こうした対応がなされていたら、提訴することはなかった」
という声があがっているという事実に鑑みれば。
 校長以下教職員や教委職員らが誠実に対応して、道義的責任を十分に
果たしていれば、被害者家族には法的責任をあえて追及しないという
選択肢もあり得るのだ、ということを立証しています。
 すなわち石原氏の発言に妥当性も説得力もないことは明らかですし、
石原氏の言動を追認している兵庫県教委の無為無策も、到底看過できる
ものではありません。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201212-6.html

 大分県立竹田高や専修大附属高のように、校長が代わることによって
学校の体質が大きく変わった例もあります。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201710-2.html

 龍野高と兵庫県教委に、自浄能力を発揮するよう期待するのは
無理なのでしょうか?

17年度第4回日体大研修会(その3)

[ 2017/12/19 06:21 ]
 10年6月7日、同学年の男子生徒4人から執拗ないじめを受け、
川崎市内の自宅トイレで硫化水素ガスを発生させて自死した
篠原真矢くん(当時中3)の母・真紀さんは、真矢くんが
「教室で休み時間に、女子生徒もいる前で4人に羽交い絞めにされ、
下着まで脱がされるという屈辱を味わわされていた」
ことを明らかにしました。
 このような壮絶な経験を、思春期の男子が家庭で話すわけもなく、
したがってこうした事実は市教委の職員2人が綿密な調査を行った結果、
判明したものです。

 真紀さんは
「市教委職員は毎週末自宅を訪問し、『現時点で明らかになっていること』
について、欠かさず中間報告をしてくれた。2人とも『夢に真矢くんが出てきた』
と話すくらい真摯に向き合ってくれた」
とし、上記のいじめに関しても一人の女性教諭が現場を目撃していながら
「『あんたたち、何してるの!』と声をかけただけで重大事案と判断せず、
男子生徒らの問題行動を野放しにしていた実態についても解明してくれた」
と述べました。

 そのうえで、
「市教委職員2人がまとめた記録は3000ページにも及ぶ膨大なものだった。
 その結果を報告書に集約してくれたが、わたしたち家族に向かって
『これだけしか調べられませんでした』と泣きながら手渡してくれた。
 川崎市にできることが、ほかの自治体でできないはずはない」
と自らの経験を語りました。
 そして
「日体生の皆さんは多くが教員志望だと聞いているが、いじめはクラスでも
部活でも起こりうる。
 生徒のそばにいるのは先生だし、生徒が頼りにできるのも先生だ。
 相談しやすい環境や関係性を築いてあげてほしい」
と呼びかけました。

 日体大には学校事故・事件の被害者家族や、現職教員も数多く参集して
いましたが、
「川崎市や名古屋市の対応は、わたしたちの経験とは正反対だ。
 こうした対応がなされていたら、提訴することはなかった」
「学生のうちに当事者の生の声に接することができるのは貴重な経験だし、
彼らが真剣に耳を傾けていたのが強く印象に残った。
 こうした取り組みは、多くの大学で実践してほしい」
という意見が異口同音に聞かれました。

 南部さおり・同大准教授は
「今年度は今回が最後だが、来年度も引き続き実施していく」
と明言しました。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

最新トラックバック