2011年9月29日16時04分ごろ、さいたま市立日進小6年生だった
桐田さんの長女・明日香さんが駅伝の練習中に倒れました。
しかし教諭らは救急車が到着するまでの11分間、AEDの使用を含む
心肺蘇生処置を行わず、翌30日夜、明日香さんは死亡しました。
同級生は「明日香さんは倒れた直後、けいれんしていた」と証言しました。
しかし校長らが作成したA4用紙2枚の資料にはそのような記述はなく、
両親の質問にも「資料に書いてあることがすべて」と述べるにとどまり、
あとは無言での対応に終始し、謝罪の言葉はありませんでした。
そんななか同年11月、桐淵博・さいたま市教育長(当時、現・埼玉大教授)が
桐田さんの自宅を訪問し、
「きょうはひとりの人として来ました。お子さんを元気にお帰しすることができず、
申し訳ない」と謝罪しました。
さいたま市教委は検証委を設置し、検証委は12年2月21日付で報告書を
まとめましたが、遺族はもとより桐淵教育長も「この報告書の内容では、
現場レベルでの再発防止策として活用できない」と判断しました。
このため市教委内部にプロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、明日香さんの
1周忌にあたる12年9月30日付で
「体育活動時等における事故対応テキスト~ASUKAモデル~」
を作成しました。
これは(1)日常における重大事故の未然防止(2)体育活動時等における
重大事故の未然防止(3)重大事故発生時における対応(4)事故発生後の対応、
の4本柱からなるもので、PTは
「たいへん不幸な事故でしたが、これを決して無駄にすることなく再発防止の
ために、また潜在しているリスクを少しでも低減していくためにも、今後も
努力を重ねていきたいと思います」との決意を表明しています。
桐田さんは当初、学校側の不誠実な対応に「提訴やむなし」との意向を
固めつつあった、といいます。
結果として提訴を見送りましたが、その理由として
「桐淵教育長は『子どもたちを守りたい。成長というお土産をつけて、元気に
保護者のもとに帰すことが自分たちの役割だ』と述べ、市教委職員も真摯に
対応してくれたため、協調関係が築けた」ことを挙げ、
「さいたま市教委とは『想い』を共有している」と述べました。
吉川慎之介記念基金の吉川優子・代表理事は
「慎之介がいないという現実も、死別の悲しみも喪失感も変えることはできない。
しかし防げたはずの事故で、子どもたちが被害に遭うことがないよう、社会を
変えていきたい。
事故を未然に防止することの重要性を共有することで社会全体の意識を
変えられるし、子どもたちによりよい環境を提供できる。受講生の皆さんと
一緒にいのちを守りたい。
子ども安全管理士資格認定講座は、いまも成長段階にあると思っている」
と述べて、第2期を締めくくりました。
第3期は10月、大阪で開催されます。
http://shinnosuke0907.net/cpp/course01/
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