兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

兵庫県の上告に大義はあるのか?(その2)

[ 2015/06/07 08:16 ]
 2015年6月5日付朝日新聞は、第97回全国高等学校野球選手権大会を
8月6日から阪神甲子園球場で開催する、との社告を掲載しています。
 このなかで
「この大会は、青少年の健全育成を目的にしています」
と明記しています。

 これに鑑みれば、徳島県立阿波西高野球部監督が11年6月、2年生部員
(当時)が「熱けいれんを起こして走り方に異常があったのに、100メートル
ダッシュを中止させなかった」のは、「青少年の健全育成」という趣旨から
逸脱することは明らかです。
 したがって高松高裁(吉田肇裁判長)が15年5月29日付判決で、監督の
過失と生徒死亡の因果関係を認め、
「生徒の異常に気付き、即座に練習を中止させるべきだった」として、県に
慰謝料など約4500万円の支払いを命じたのは妥当な判断です。

 これに対して飯泉嘉門・徳島県知事が15年6月1日、高松高裁判決を
不服として上告する方針を示し
「部活動での事故で学校が生徒にどう対応するかは、徳島だけでなく
全国的な課題。最高裁の判断を仰ぎたい」と述べたことは既報のとおりです。
 しかし監督の過失がなければ、生徒が死亡するという重大事故は
起こり得なかったわけですから、飯泉知事の主張には無理がある
と言わざるを得ません。

 そして学習指導要領も、「部活動は学校教育の一環」と規定しています。
 すなわち野球に限定した話ではなく、ラグビー・剣道・柔道・バレーボール・
テニスなど、すべてのスポーツにあてはまります。
 文部科学省も「学校には注意義務・安全配慮義務がある。これは大前提である」
としたうえで、12年7月に「学校における体育活動中の事故防止について(報告書)」
を公表するなど、いささか遅きに失した感があるとはいえ、スポーツ事故防止に
努める姿勢を示しています。

 こうしたことを勘案すれば。
 兵庫県が、07年5月24日に発生した龍野高女子テニス部事故について、
大阪高裁(森宏司裁判長)が15年1月22日付判決で、
「顧問教諭(同)には(リサさんら部員が)熱中症を予防するための措置を講ずる
義務があったが、これを怠り過剰な負荷をかけた練習を強要した」
ことが事故の原因だと認定し、事後対応においても
「学校長は調査報告義務・誠実対応義務を負う」
と認めたことを不服とし、上告したこと。
 ましてや遷延性意識障害という重篤な後遺障害に苦しんでいるリサさんと家族の
苦境を慮ることもなく、「賠償金が高額だ」という、耳を疑うような心ない発言をした
井戸敏三・兵庫県知事には、大いに疑問があると言わざるを得ません。

 1999年7月、兵庫県川西市立川西中ラグビー部の練習中に顧問教諭(同)の
不適切な指導によって熱中症を発症し、多臓器不全で亡くなった宮脇健斗くん
(当時13歳)の父親で、「全国学校事故・事件を語る会」の代表世話人、
宮脇勝哉氏は
「徳島県も兵庫県も、控訴審判決で示された司法の常識を受け入れるべきだ。
 地方自治体は学校災害損害賠償保険に加入しており、不測の事態に備えて
いるはずだ。両県ともに被害者救済という視点が欠落していることは言うまでもなく、
上告によっていたずらに裁判を長期化させるなど由々しき問題だ」
とコメントしています。
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heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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