兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

ともに闘う仲間について(その3)

[ 2010/10/28 09:59 ]
 09年8月22日。
 当時大分県立竹田高校2年生で剣道部主将だった工藤剣太くんが、
熱中症による多臓器不全で亡くなりました。

 この日は夏休み中ではありましたが、剣道部は8月30日の秋季大会を
控えて練習していました。
 剣道部には、道場の気温を測定して練習日誌に記入するというルールが
ありましたが、8月22日の日誌には気温は記載されていません。
 ただし練習が始まった午前9時ごろには30℃、正午過ぎには36℃に
達していた、との部員の証言があります。
 いずれにせよ、猛暑であったことには、まちがいありません。
 10時ごろ、いったん休憩を取り、多少の水分も補給しました。
 しかし10時25分ごろから約1時間半にわたって、一度も休憩を取って
いません。

 顧問教諭は09年4月の人事異動で竹田高校に着任したばかりでしたが、
日頃から剣太くんに対して
「おまえは精神的に弱い!」と罵倒するなど、特に厳しく接していました。
 ただし、顧問のいう「精神的に弱い」とは、具体的にどういうことを意味
するのかは、わかっていません。
 この日も剣太くんにだけ、他の部員よりはるかにきつい練習を命じました。
 剣太くんほどきつくはない練習内容を課せられた部員たちも
「暑いはずなのに寒気がしていた」とか、「足がつって普通に歩けなかった」と
証言しています。
 これらは明らかに熱中症の症状です。

 足元がふらついた剣太くんが、「もう無理です」と訴えても、顧問は
「まだできるやろうが!」と練習を続けさせました。
 そう判断した根拠は不明です。
 そのうち剣太くんは、竹刀を払われ道場の床に落としましたが、そのことも
認知できずに、竹刀を構えたような仕草をするようになりました。
 つまり、この段階ですでに意識障害が発生していたと推定できます。
 しかし顧問教諭は、「芝居やろうが!きついふりをすんな!」と言い、
剣太くんの体が「くの字」に折れ曲がるほどの強さで蹴った、といいます。

 剣太くんの父、英士さんは剣道の指導者で、自身が「剣道から沢山のことを学んだ」
ことを踏まえ、「心と体を鍛え、人を思いやれる人間に育ってほしい」との願いを
こめて第一子に「剣太」と命名しました。
 そして剣太くんは小1から11年間、剣道に打ち込んでいました。
 つまり道場で練習しているとき、いかなる行動をすべきかということは十分に理解
していました。
 その彼が、面と胴を外しかけました。
 練習中に勝手に防具を外すなどありえないことです。
 おそらく、体力が限界に達していたと推定できます。
 顧問は「何しよるんか!」と怒鳴りつけ、剣太くんは「本能です」と答えましたが、
これに対してなおも「演技すんな!」と言ったといいます。

 剣太くんは、もはや立っていることもできなくなり、道場の壁にぶつかり
額にケガをしました。
 そして大きな声で「あーー!!」と叫び、仰向けに倒れました。
 誰が見ても異常事態です。
 にもかかわらず顧問は、左ひざで剣太くんの胴を押さえつけ、左手で胸ぐらをつかみ、
右手を肩の上まで振りかぶって
「目を開けろ!聞こえちょるんか!おれは熱中症の人間を何人も見ている!
そういうのは熱中症じゃねぇ!演技じゃろうが!」
と言いながら、顔面を10発ほども殴り続けました。
 その様子は、部員の言葉を借りると「ケガの血が飛び散る勢い」で
「首が飛ぶくらい」だった、といいます。
 これが指導でしょうか?
 これが教育者と呼ばれる人間のすることでしょうか?

 竹田高校剣道部は夏合宿を「追い込みをかける期間」と位置づけ、厳しい練習を
行うため、熱中症を発症する部員が出るのが通例になっていました。
 現に剣太くんも前年の夏合宿中に、熱中症を発症していました。
 剣道部保護者会会長だった英士さんは、こうした状況に危機感をおぼえていました。
 このため09年8月の合宿前、顧問教諭に対して、
「病院関係者から、『熱中症の疑いがあるときには、きちんと診察してもらえるよう、
最寄の病院に事前に要請しておいたほうがいい』と言われました。よろしくお願いします」
と申し入れました。
 しかし顧問教諭は「きつい練習はしませんから」と答えるのみで、英士さんの言葉に
真摯に耳を傾けることはなかった、といいます。
 顧問の無頓着な反応に不安を覚えた英士さんは、保護者会会長として最寄の病院に
申入書を送りました。
 8月10-13日の合宿では、幸い大事には至りませんでした。
 しかし英士さんの不安は、最悪のかたちで現実のものとなってしまいました。

 副顧問教諭は08年度も竹田高校剣道部副顧問を務めていました。
 したがって例年夏合宿でなにが起こっていたのか、は十分知りえる立場にありました。
 当ブログでは何度も指摘していますが、文部科学省は「学校には安全配慮義務がある。
これが大前提である」と明確に回答しています。
 顧問と副顧問は、文科省のガイドラインを逸脱していた可能性が高い、
と指摘せざるを得ません。

 顧問教諭は剣太くんの防具を外し、扇風機の風をあて、保冷剤で首や脇を冷やすよう
部員に指示しました。
 そして剣太くんが飲ませてもらった水を吐いて、さらに5-10分経過してから、
やっと救急車の出動を要請しました。これが12時19分ごろのことです。
 すなわち、きわめて危険な状況にあったにもかかわらず、その状況を把握できず、
適切な判断ができなかったことから時間を空費したことも、部員たちの証言によって
明らかになっています。
 搬送先の病院で、剣太くんはついに意識を回復することなく天に召されました。
 「将来は救急救命士になって、ひとのいのちを救う仕事に就きたい」という
17歳の少年の夢は、残念なことにかなうことはありませんでした。

 これに対して大分県教委が下した処分は、顧問教諭は停職6カ月、
副顧問教諭は停職2カ月にすぎません。
 この処分内容について、皆さんはどのような感想をお持ちでしょうか?
 ご両親は、両教諭を業務上過失致死容疑および重過失致死容疑で刑事告訴すると
ともに、民事でも損害賠償請求訴訟を提訴されました。
 民事訴訟の次回口頭弁論は11月4日13時10分@大分地裁です。
 どうか万障お繰り合わせのうえ、傍聴にご参加くださいますよう、お願いいたします。
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heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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