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兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

保護者の知る権利について(その48)

[ 2014/04/16 11:39 ]
 2014年4月13日付デーリー東北新聞は

 愛媛県西条市で2012年7月、私立西条聖マリア幼稚園のお泊まり保育中に、
川遊びで流された吉川慎之介ちゃん=当時(5)=が死亡した事故で、自治体が
調査に応じなかったことから、遺族らが独自に原因を究明する調査委員会を発足
させることが12日、遺族の関係者への取材で分かった。15日に初会合を開く。
 遺族や事故当時の保護者らは既に「学校安全管理と再発防止を考える会」を設け、
幼稚園の安全対策の不備を指摘。独自の調査委は、考える会が設置し、
京都精華大の住友剛教授(教育学)ら3人の専門家を委員とする。
 住友教授らは、事故が起きた川の現地調査などを実施。詳しい原因のほか、
幼稚園を運営する学校法人のロザリオ学園(松山市)の対応も検証した上で、
年内に報告書をまとめる。
 事故は12年7月20日午後3時40分ごろ、西条市中奥の加茂川で発生。
約20~30センチだった水位が上昇、流された慎之介ちゃんが死亡し、別の園児
2人もけがをした。
 遺族らは13年9月、私立学校を所管する県私学文書課に調査委の設立を求めたが、
県は「私学の自主性を尊重するため踏み込んだ指導ができない」と拒否。西条市も
調査に乗り出さなかった。
 西条署は13年8月、業務上過失致死傷の疑いで、学園の前理事長ら9人を
書類送検。松山地検は今年3月、同罪で、引率していた幼稚園の前園長ら当時の
教員3人を在宅起訴した。
 慎之介ちゃんの母優子さんは「学園も行政も原因究明を置き去りにしたまま。
学校現場の安全管理の何が課題か、追及するような調査を期待したい」と話した。

と伝えました。

 愛媛県と西条市が、この事故について真剣にとらえているとはうかがえず、
その不誠実な対応には言葉を失います。
 事故の全容解明とロザリオ学園の事後対応における問題については、調査委の
報告を待ちたいと思います。
 しかし全国学校事故・事件を語る会の代表世話人、宮脇勝哉氏が
「事故の全容解明は、膨大な時間と労力を必要とする大変なもの。そんな作業を
遺族にさせるべきではない」と批判していること。
 13年3月、いじめを苦に自殺した奈良県橿原市立中1年生(当時)女子の母親が、
「学校と行政が保身に走らず、遺族と思いを共有し、適切に対処してくれたら
対立もなくなるだろうし、確実に再発防止につながるだろう」と訴えていることを、
わたしたちは忘れるわけにはいきません。

 優子さんは14年3月30日、前園長らの在宅起訴に際して
「私学は通わせる親の自己責任ということを、文部科学省にも愛媛県にも言われた」
と述べ、
「安全管理についても私学の自主性に基づき、学校法人が責任をもって行うべき
ことで、行政には指導監督する権限はないし事故調査も行わない、との回答を受けた。
 私立学校法に守られ、ひどい運営をしていても野放しになってしまう現状に愕然と
している」と心情を吐露しました。

 そのうえで、ロザリオ学園のレチョン前理事長(不起訴処分)は遺族に説明も謝罪も
しないままで、保護者会では
「死んだのはひとりだけ。死んだらなにもできない、仕方がない。世界中に苦しんでいる
子どもたちはいる。(慎之介くんには)祈りを捧げている」と発言していたことを
明らかにしています。
 この発言は論点をすり替えているもので、釈明になっていませんし、
「ひとりの子どもを大事にしない学園に、すべての子どもを大事にすることができるのか?」
という疑問を禁じ得ません。

 慎之介くんの両親らは、同学園などを相手取って松山地裁西条支部に損害賠償請求
訴訟を提訴し、すでに審理が行われています。
 今後、松山地裁で行われる刑事裁判においても「被害者参加制度を利用し、究明して
いきたい」との意向を表明しています。
 同学園や、在宅起訴された前園長らは裁判において「調査委は被害者の意向に沿って
設置されたものである」ことを理由に、その正当性に疑義を唱えるであろうことは
想像に難くありません。
 であるならば、被告らこそが愛媛県に対し、中立性・公正性・透明性を担保した調査委を
設置するよう申し入れるべきではないでしょうか?

 前出の橿原市の母親は4月14日、
「教育機関にとっては、子どもたちを心身ともに健全に親のもとに帰すことが最優先に
すべき仕事です。お子さんを失い、『親の知る権利』を侵害され、法廷闘争を余儀なく
されているご遺族は『立っているのがやっと』という状態でしょう。そんな状態のご遺族が
調査委を設置されたという事実を、行政は重く受け止めるべきです」とコメントしています。

 吉川優子さんも同日、
「本来であればロザリオ学園が行政に調査を依頼すべきですが、でも行わない。
 その発想に至らないのがロザリオ学園です。保育・教育現場での事故・事件対応が
野放し状態の中で模索しておりますが、できる事は何でもしたい、やりきりたいという
思いに変わりはありません」と述べています。
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heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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