2013年1月11日付毎日新聞福岡都市圏版は、
山口県下関市立川中中学校で05年、3年生だった安部直美さん
(当時15歳)がいじめを苦に自殺した問題を受け、同市は命日の
4月13日を「下関市いのちの日」と制定した。
いじめ防止に向け、市を挙げた取り組みを進めている。
「長い間ご心痛をおかけしました」。
昨年5月、中尾友昭市長は直美さんの両親宅を訪れ、頭を下げた。
市長の訪問は初めてで、制服姿の直美さんの遺影を前に「二度と
このようなことが起きないようにしたい」と再発防止を誓った。(中略)
直美さんの自殺を巡っては、市教委は当初「いじめがあったとの
認識はない」と否定。その後一転、いじめの事実を認めた。
山口地方法務局は06年、「教諭らがいじめを知りながら放置して
いたのは人権侵害」と指弾。校長や市教委に再発防止を図るよう
要請した。
一方、直美さんの両親は、当時の市教委の対応や、第三者機関
(市教委が05年に設置)が聞き取りをしないなど行政側の対応に
不信感を募らせていた。
市長の訪問に、父慶光さんは「ようやく一つの区切りがついた」
と理解を示し「今後の取り組みに期待している」と話した。(後略)
と報じました。
また13年1月24日付神奈川新聞は、
2010年6月、「友人をいじめから救えなかった」と遺書を残し、
川崎市内の自宅で自ら命を絶った篠原真矢さん=当時(14)=の
父宏明さんと母真紀さんが29日、市教育委員会主催の校長研修で
講演する。
市教委が遺族に講師を依頼するという「画期的なケース」と評価する
宏明さん。こうした行政の取り組みが他都市へ広がることに期待し、
「遺族として今伝えるべきこと」を語る。(中略)
子の苦しみをどこまで想像できたか。子どもたちを生きづらい
世の中にしているのは誰か。宏明さんは、自分たちや教員ら大人の
いじめへの感度の低さが、悲劇を生んだと断言する。
「いじめは人ごとではない。大人の責任だということを自覚しないと、
同じ悲劇が繰り返される。それを教えてくれたのは真矢であり、
自殺していった子どもたちです」。
市立学校の校長172人を前に、そう伝えようと思っている。
市教委指導課の安部賢一担当課長は「篠原さんの経験をわが身に
置き換え、子どもたちとの向き合い方をじっくり考える時間にしたい」
と話す。(後略)
と伝えています。
また当ブログ12年8月31日付記事でもご紹介しましたが、
藤原崇能・大分県立竹田高校長は、工藤剣太くん(当時2年)が
剣道部の練習中に熱中症で倒れたにもかかわらず、顧問教諭(当時)
から暴行を受け死亡した8月22日を、竹田高「健康・安全の日」
とすると宣言しました。
このように、事実を隠蔽せず風化させず、むしろ語り継ぐことによって
「子どものいのち」について考えようという動きも出てきています。
こうした先進的な事例については、素直に評価したいと思います。
そして多くの自治体や教育関係者のあいだに、「先進事例に学ぼう!」
という機運が高まることを願ってやみません。
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