兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

第三者機関のあり方について(その5)

[ 2012/09/15 07:00 ]
 2012年9月14日付京都新聞は、

 大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺し、いじめとの
関連が指摘されている問題で、市議会は13日、市子どものいじめ防止条例の素案
をまとめた。
 いじめを受けたり、発見した場合に家族や学校などに相談するとした子どもの役割
を明記し、いじめの通報や相談があれば独自に委員会を設けて調査することなどを
盛り込んでいる。
 素案では、夏休み前の毎年6月をいじめ防止啓発月間とすることを規定。市は、
いじめの情報の一元化を図り、関係機関と適切な対応ができる体制を強化し、
相談体制を整えることとした。
 市や学校、保護者の責務に加え、子どもの役割も表記している。
 委員会は委員を5人以内とし、弁護士や臨床心理士などを市長が委嘱、任命する。
調査結果を受け、必要があれば市長が関係者に是正指導できるとした。
 市議会は、7月20日に政策検討会議を設置。各会派の代表議員10人が条例案
について議論してきた。共産党は「第三者調査委員会などの結果を受け、課題が
明確になってから議論すべきで、時期尚早だ」と反対に転じた。
 素案は10月中旬から市民の意見を募り、結果を踏まえて、12月市議会に議員
提案する方針。

と報じています。

 これについて尾木直樹・法政大教授は、12年9月14日付毎日新聞で
「条例で子どもの行動を規定するのは強者の論理で、それ自体がいじめだ。
子どもは、いじめを止められなかったことに悩み、自責の念を持つのに、子どもの
立場が全く分かっていない。いじめの防止は教師をはじめ大人や社会の責任で
あり、発達段階の子どもを同列に扱うべきではない」
と批判しています。

 一連の報道に、「全国学校事故・事件を語る会」代表世話人、宮脇勝哉氏は
「尾木氏の『子どもを大人と同列に扱うべきでない』というコメントに賛同するとともに、
子どもの権利を代弁できるようなシステムの必要性を痛感している」
と、コメントしています。

 住友剛・京都精華大准教授は、
「中2男子(当時)自殺事件に関する第三者委員会が発足して間もない時期に、
こうした動きがあることに違和感がある」
とし、いじめの相談や通報があれば独自に委員会を設置する、ということは、
「子どもの人権を救済し擁護する第三者機関は常設しない、ということであって、
あくまで例外的な措置にとどめたいとの思惑があるのではないか」
と指摘しました。

 また「子どもの役割」を条例で規定することで、
「『学校の対応には問題があったのではないか』という申し立てがあったとき、
学校と市教委には『子どもの対応にも問題があった』と反論し、責任を転嫁する
余地が生まれうる」
としたうえで、
「尾木氏も、この点を指して『子どもの行動を規定すること自体がいじめ』だと
指摘しているのだろうと思う。わたしの危惧が杞憂に終わることを切に願っている」
と述べています。

 京都新聞の記事には、「必要があれば市長が関係者に是正指導できる」
とありますが、だれが、いかなる基準と権限に基づいて「必要」と判断するのかは
わかりません。
 言い換えれば、学校と市教委関係者に「必要なし」と判断させる余地を残す
可能性がある、ということです。
 このように公平性・中立性・透明性を担保できるのか、という点において疑問が
あると言わざるを得ず、個々の自治体が独自の意向に基づいて制定する、
条例の限界を露呈したものです。

 そして繰り返し指摘しますが、大津市の条例は大津市が設置する学校にのみ
適用されるもので、学校設置者が滋賀県・国立大学法人・学校法人などであった
場合、適用対象外となります。
 すべての学校に在籍する、すべての子どもを対象とする法律の制定が必要と
強調する所以です。
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heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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