兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

保護者の知る権利について(その9)

[ 2012/05/18 14:48 ]
 2012年5月16日付産経新聞に

 大津市のマンションで昨年10月、いじめを受けていた市立中学2年の
男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺したのはいじめが原因だったとして、
男子生徒の両親が、いじめ行為をした男子生徒3人とその保護者、大津市に
約7720万円の損害賠償を求めた訴訟で、市側が22日に大津地裁で
開かれる第1回口頭弁論で「市は自殺に過失責任はない」と主張することが
16日、わかった。
 訴状では、自殺前日の昨年10月10日に、男子生徒が加害生徒に
「ぼく死にます」と電話したとしていた。
 しかし、市側の答弁書によると、この電話について
「事実として不明。電話があったとしても、何が原因で自殺するかには一切
触れておらず、いじめを苦にして自殺したと断じることはできない」
としている。
 また、
「教員のだれがどこで、いかなるいじめを目撃し放置したか具体的な指摘がない」
としている。

という記事
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120516/waf12051613370028-n1.htm
がありました。

 しかし12年2月24日付産経新聞は

死亡後、加害生徒は電話があったことについて「あほや、あいつ」とほかの
生徒に話し、「死んでほしかったしよかった」と話したことも判明している。
 市教委と中学校は男子生徒の死後、全校生徒を対象にアンケートし、
男子生徒が加害生徒からいじめを受けていたことを確認。
 昨年11月2日、いじめの事実を発表したが、死亡との因果関係は不明とし、
「学校側の調査には限界がある」として調査を終了している。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120224/waf12022407110000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120224/waf12022407210002-n1.htm

と報じています。

 つまり11年10月10日、自殺した生徒から加害生徒に電話があった
ことは、けっして「事実として不明」などではありません。
 また「学校の調査に限界がある」のであれば、第三者委員会を設置し
徹底的に事実を究明すべきですが、これは行っていません。
 したがって、原告であるご両親が
「教員のだれがどこで、いかなるいじめを目撃し放置したか」
を具体的に指摘することが困難なのは、自明の理です。
 このように大津市の主張は支離滅裂で、無責任きわまりないものです。


 この事件に関連して、男子生徒4人からなるいじめグループの標的となった
親友をかばっているうちに自身がいじめの対象となり、ついに10年6月、
「困っている人を助ける・人の役に立ち優しくすることを目標にしてきたのに、
親友のことも護れなかった」
と、いじめグループを告発する遺書を残して自殺した篠原真矢くん(当時中3)
の父、宏明さんから当ブログにメッセージをお寄せいただきました。

 篠原宏明さんは12年3月、越直美・大津市長にメールを送りました。
 というのも越市長が12年3月13日、自殺した男子生徒が通っていた
大津市立中の卒業式に出席し、自身も小3と高1のときにいじめを受けたと
告白し、「いじめのない社会をつくる責任がある」と涙ながらに力説した、
との報道を目にし、遺族の思いを伝えたいと考えたからです。

 メールの内容は
(1)隠蔽をせず、事実を明らかにしてほしい。遺族はただ真実が知りたいだけ
(2)加害生徒にも反省する機会を与えてあげてほしい。それが本当の教育
というものです。

 数日後、越市長から篠原さんに
「(前略)最愛のご子息を亡くされたご家族の悲しみはいかばかりであったかと
お察し申し上げますとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。
篠原様からいただきましたご意見につきましては、今後の市政運営の参考に
させていただき、大津市におきましても一層の情報公開に努めてまいります(後略)」
という返信がありました。

 篠原さんは、メッセージのなかで

「この返信を見る限り、多少の期待はあったので、状況が好転すれば・・・
と想ったのですが、また悲しい方向に進んでいるようですね。胸が痛いです。

遺族が死を受け入れるには、全ての真実を知るということしかありません。
たとえ真実が全て分かったとしても、子どもが帰ってくることはないのですが、
隠蔽されてしまうと、子どもの死さえも受け入れられないのですから。

どうか本件がご遺族にとって、最良の結果になりますよう、
影ながら見守りたいと思っています」(以上原文ママ)

と痛切な思いをしたためています。

 事実を隠蔽するということが、被害者とご家族に対していかに残酷なことか。
 皆さんにも、ご理解いただけるものと確信しています。
 篠原宏明さんが指摘するとおり、加害生徒に反省の機会を与えないと、
彼らは社会的な規範を身につける機会を得ないまま大人になってしまいます。
 それは社会にとっても、彼らにとっても不幸なことです。
 にもかかわらず学校は、事実を隠蔽し責任を回避することに汲々とし、本来
果たすべき教育的な役割を放棄している、という構図がまざまざと見えてきます。
 たいへん由々しき問題です。
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heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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