兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

保護者の知る権利について(その6)

[ 2012/02/09 00:19 ]
 2012年2月7日。
 衆議院第一議員会館で開催された
「第2回 学校における柔道事故に関する勉強会」
に出席してきました。

 これは、中根康浩衆議院議員と初鹿明博衆議院議員(ともに民主)が
発起人となって、学校現場において毎年、柔道事故が繰り返し発生し、
多くの生徒が亡くなり、あるいは重篤な後遺障害に苦しんでいるという
現状について国会議員および地方議員が学び、文部科学省の見解を
聞くことが趣旨です。

 今回は国会議員と地方議員(都道府県議会および市区町村議会議員)
あわせて100名を超える参加者があり、この問題に対する関心の高さを
伺わせるものとなりました。

 会の冒頭、学校現場における柔道事故の現状について、文科省
「体育活動中の事故防止に関する調査研究協力者会議」委員である
野地雅人医師(神奈川県立足柄上病院)が基調講演を行い、
当事者として「全国柔道事故被害者の会」(小林泰彦会長)の会員3人が、
それぞれ被害に遭った状況と、その後の実態について訴えました。

 そして小林会長と村川義弘副会長が、柔道競技において事故を防止する
ための諸外国の取り組みを紹介するとともに、実効性ある安全対策導入に
向けて提言を行いました。
 これに対して文科省スポーツ・青少年局参事官から説明がありました。

 勉強会の詳細については、
「全国柔道事故被害者の会」ホームページhttp://judojiko.net/
および
「滋賀県愛荘町立秦荘中学校柔道部事件」http://judojiko.blog58.fc2.com/
を、ご参照ください。

 今回の勉強会においては非常に活発な質疑応答があり、当初の予定では
午後1時から2時15分まで、ということでしたが、質問が相次いだため
およそ30分の延長を余儀なくされたことを付記しておきます。

 当ブログでは、学校事故全般における問題点について以下に記します。

 文科省は学校事故発生状況について、都道府県教育委員会に対して
報告を義務づけてはいません。
 したがって文科省が独自に把握しているデータはなく、独立行政法人・
日本スポーツ振興センターに提出された災害共済給付申請件数に
依存しているのが現状です。

 しかし日本スポーツ振興センター学校安全部災害共済課の前澤定良課長は
ぼくの取材に対し、
「校長が作成した事故報告書の記載内容と、センターに提出した災害報告書の
記載内容を突合することはない」
と明言しています。

 すなわち
「学校管理下で発生した事故であっても、校長が虚偽の記載をすれば、
学校管理下で発生した事故としてカウントされない」
ことに加えて、
「本来ただちに実行されるべき災害共済給付が、実行されない」
おそれがあるのです。

 そして日本スポーツ振興センターは、情報開示を徹底的に拒みます。
 文書開示請求に対しては、不開示通知を行うのが常です。
 これを黙って受け入れるわけにはいきませんから、請求者、
すなわちぼくは、不服を申し立てました。
 これによって同センターは、法律の定めるところにしたがって、
内閣府情報公開・個人情報保護審査会に諮問することになります。

 その結果、同審査会が「不開示決定を取り消す」よう命じたのですが、
日本スポーツ振興センターは、黒塗りにした文書を開示しておいて、
「文書の一部を開示した」
と、うそぶいています。

 こうした日本スポーツ振興センターの姿勢は、国民の知る権利を
侵害するもので、到底容認できるものではありません。
 ぼくは内閣府情報公開・個人情報保護審査会に抗議しましたが、
同審査会は
「諮問案件について審査する権限を有してはいるが、独立行政法人が
保有する文書を開示するにあたって、その開示方法について指示する
権限は有していない」
としています。

 つまり、
「学校で発生した事故について、校長がどのような内容の報告をしたのか?」
という、きわめて基本的な疑問に対して。
 学校と教委と日本スポーツ振興センターは知りえる立場にありますが、
当事者たる保護者が知る方法は、担保されていないのです。
 これが日本の現状なのです。

 したがって、当ブログ11年12月18日付記事でもご紹介しましたが、
福島県須賀川市のように、記載内容を捏造する自治体が後を絶ちませんし、
石原元秀・龍野高校長(当時、現・岡山白陵中高校長)が、事故報告書に
重大な事実を記載しなかったこと。
 すなわち事実を隠蔽したことなど、彼らにとっては「常識」なのです。
 まさに由々しきことで、到底看過できることではありません。

 事故報告書は公文書です。
 文部科学省初等中等教育局のAさんは、ぼくの取材に対し
「事故報告書の作成は、実態を把握して今後の教育行政に生かすこと。
すなわち再発防止が目的」
であって、
「正しい情報をとらえるべく努めるのは自明のこと。予断を持たず状況を
把握し、再発防止に努めることがなによりも必要であり、けっして
教職員および教育委員会の自己正当化が目的であってはならない」
と明言しています。

 この発言に依拠するならば。

 事故報告書の作成に際して事実を隠蔽し、事実ではないことを捏造した
校長は、虚偽有印公文書作成・同行使容疑で逮捕されてしかるべき、
ではないでしょうか?

 国会議員の皆さんには、国民の権利を守り、実効性ある再発防止策の策定と
その徹底した運用を実現するために、一刻も早く法制化を実現すべく、
ご尽力賜りたいと強く祈念いたします。

 なお、独立行政法人・日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度は、
公平性・公正性・透明性を担保しているとは、とてもいえません。
 その実例を、拙著『ファウストの系譜』(文芸社)に詳述しております。
 こちらもご参照いただけましたら幸いです。
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Re: 検証結果
> 駅伝事故の検証結果が出ました。
> 学校寄りの結果になっていました。
> 都合の良いところは「玄人のように」、都合の悪いところは「素人だから」との表現。唖然としました。
> 遺族サイドが望む「事故分析」はされていませんでした。
> 「事故分析」がされずに「再発防止」ができるのだろうか?
> 疑問だらけです。
> 残念です。
> いろいろな検証委員会が立ち上がっていますが、「所詮こんなもの?」と言うことがわかりました。
> これから柔道事故も多発するでしょう。学校現場の危機管理体制が整っていない中での強行。
> 事故が起こっても、相変わらず学校側の言い分だけが通用していくのだろうと、改めて認識させられました。
> 学校事故はなかなか表には出ません。
> そんな中で今回の事故を事例として、全国に発信できればと思っていたのですが。
>
> 明日、合同記者会見に臨みます。
[ 2012/02/26 12:14 ] [ 編集 ]
検証結果
 上記コメントは「駅伝」さんからお送りいただいたものです。
 申し訳ありません。お詫びのうえ、訂正いたします。
 確認できているわけではありませんが、当ブログ2011年11月1日付
記事でご紹介した、さいたま市立小で駅伝の練習中、6年生の女子児童が
倒れたにもかかわらず、学校関係者が自動体外式除細動器(AED)を含む
心肺蘇生法を行わなかったことに関する検証委員会報告について、ご指摘
いただいたものと推察されます。
[ 2012/02/26 12:28 ] [ 編集 ]
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heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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