兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

エンジェルズアーチ、第3回勉強会を開催

[ 2017/07/31 21:54 ]
 スポーツ事故の撲滅を目指す「エンジェルズアーチ」が2017年7月30日、
第3回勉強会を早稲田大学東伏見キャンパスで開催しました。
 この日は、NPO法人・スポーツセーフティージャパンの佐保豊・代表理事
(米国公認アスレティックトレーナー=AT)、南部さおり・日本体育大准教授、
永島計・早稲田大教授が講演し、全国から集まった約30人の参加者が
意見を交換しました。

 佐保氏はスポーツ事故で死亡したり後遺症が残ったりする重大事故の
要因として、心臓疾患(HEART)、頭部外傷(HEAD)、熱中症(HEAT)の
「トリプルH」を指摘し、
「選手・指導者・施設および競技団体が、安全な環境を整備するための
責任を負う。ATがコーディネーターの役割を果たすのが望ましい」
と述べました。
 心臓疾患については、「指導者は最新のデータにアップデートしておく
必要がある」とし、心肺蘇生に関する講習会を受講することやAEDを
常時携行することの重要性を訴えました。
 頭部外傷については、「脳しんとうはCTスキャンやMRIでも画像に
写らないから、めまいや吐き気といった自覚症状に頼るしかない」と述べ、
選手自身が不調を訴えられる環境づくりが重要だと述べました。
 そして熱中症については、「初期症状がみられた際には緊急搬送に
先立って体温を38℃台まで下げておくこと。そのためには全身を氷水に
浸すのが最も効果的だ」という米国の研究結果を紹介しました。
 そのうえで、
「将来的には、各種の競技大会を開催するにあたって主催者は
あらかじめ緊急行動計画(EAP)を作成し、これをATが承認しない限り
大会を開催できない、という制度設計をすべきだ。当然ATには責任が
生じるから、国家資格として位置付けたうえで社会的・経済的な裏付けを
与えることが望ましい」
との見解を明らかにしました。

 南部氏は、指導者が医学的な知識を学ぼうとせず、自らの経験知のみに
依拠する勝利至上主義が「人災としての熱中症」を誘発すると指摘し、
熱中症の初期症状にみられるふらつきや吐き気を「気の緩み、怠け癖」と
決めつけることが症状の悪化を招いている、と警告しました。
 そのうえで佐保氏の講演に呼応するかたちで、
「日体大には製氷機を多数設置している。業務用の製氷機は十数万円で
購入できる。中学校や高校でも、体育館やグラウンドの近くに製氷機を
設置して、いつでも緊急時に利用できるようにすべきだ。
 予算上難しいというのであれば、例えば卒業生が記念樹やモニュメントの
代わりに、卒業記念品として学校に製氷機を寄贈するなどの運動が
全国に広がればいいと思う」
と提言しました。

 永島氏は、発汗による気化熱が体温上昇を抑えるうえで極めて重要な
ファクターだとしながら、
「有効に働く汗腺の数は幼少期に決定されてしまう。また、大人になっても、
上手に汗をかき、なおかつ脱水状態になりにくい体を作るための短期暑熱
順化を講じる必要がある」
とし、適度な運動を心がけることが重要だが、湿度が高い環境では汗が
蒸発しないため気化熱が発生せず体温調節機能にはならない危険が生じる
と警告しました。
 そのうえで、スポーツ事故防止に関するATの役割について
「学校スポーツにおいて重大事故が発生することは、本人や家族にとって
大きな不幸を生み出す。裁判になった場合、長期化することが多く、学校側に
責任があると判断された場合には賠償金の問題が当然、発生する。
 これらに伴う経済的損失のみを考慮しただけでも、地方公共団体がATを
採用し、事故予防に努める意義は大きいのではないか」
と述べました。
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プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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