兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

隠蔽と捏造(その17)

[ 2013/12/05 08:57 ]
 サンデー毎日2013年12月8日号は、
「“教師のいじめ”指導死で弁護士が全国組織を結成」という記事を掲載しています。
 筆者の奈良林和子さんは、「指導死というのは先生のいじめと言えます」という
文部科学省関係者の発言を紹介したうえで、
「指導死は子ども同士のいじめ以上に教師の責任が問われるため、隠蔽される
ことが多く、遺族は自殺した我が子に何があったのかを知ることが非常に難しい」
と述べています。
 「指導死」親の会の代表世話人、大貫隆志氏は
「いじめ防止対策推進法の自民党案には当初、『教師によるいじめを含む』との
条文が入っていたが、あっという間に消えてしまった」と指摘しています。

 そして隠蔽工作の一環として行われるのが人事異動です。
 12年10月、広島県東広島市立中2年(当時)の男子生徒が、複数の教師から
不適切な指導を受けた直後に自殺するという事件が発生しました。
 同校では12年度末、指導にかかわった担任や男子生徒に陰湿ないやがらせを
行っていた数学の女性教師らが一斉に異動になり、野球部コーチだった非常勤講師は
任期満了で退任しました。
 特に数学教師は12年度に同校に着任したばかりだったにもかかわらず、
わずか1年で再び異動となったのです。
http://shidoushi.com/

 1994年9月、兵庫県龍野市(同、現・たつの市)立小6年男子(同)が
担任の男性教師から複数回にわたって暴行を受けた直後に自殺した事件も同様です。
 校長(同)は、事件当日には辞職する意向を表明していましたが結局は撤回し、
翌春、担任とともに人事異動で転出しています。
 その後の事態の推移を俯瞰すれば、西田正則・教育長(同、前たつの市長)ら
関係者は事件発生直後から事実を隠蔽し、事実ではない風評を流布して家庭に
責任を転嫁し、事態の沈静化を図ろうと画策していました。
 その矢先に、肝心の校長に辞職されれば、学校に責任があると認めたことになる
わけですから、なんとしても辞職を許すわけにはいかなかった、と推定できます。
 校長には事情を聴きたいと取材を申し入れる文書を複数回にわたって送りましたが
応答は一切なく、黙殺されたままです。
 当時の関係者で、「そうした推定は邪推にすぎない」とおっしゃる方は、
ぜひ取材に応じていただけますようお願いいたします。

 なお保護者が龍野市を相手取って提訴した損害賠償請求訴訟で、神戸地裁姫路支部は
00年1月、担任の行為を「体罰とさえ言えない、単なる暴行」と断じる原告勝訴判決
を言い渡し、これが確定しました。
 龍野市はその後、日本体育・学校健康センター(同、現・日本スポーツ振興センター)
とのあいだで死亡見舞金をめぐる不透明な工作を行っています。
 くわしくは拙著『ファウストの系譜』(文芸社)をご参照ください。

 「全国学校事故・事件を語る会」の代表世話人、宮脇勝哉氏は
「いじめ防止対策推進法の趣旨は、すべての子どもの『心身ともに健康に成長する権利』
が守られることにある」とし、仮に指導死やスポーツ事故について「いじめではないから
調査は不要」と、立法趣旨を矮小化するような動きがあったとすれば、
「断じてこれを容認することはできない」と述べています。
 住友剛・京都精華大准教授は、
「発生した事案に対する徹底した事実解明なしに、再発防止策を打ち出すことなど
ありえない」と指摘しています。
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隠蔽と捏造(その16)

[ 2013/12/05 08:32 ]
 2011年9月1日、鹿児島県出水市立米ノ津中学校2年生の女子生徒(当時)
がいじめを苦に、九州新幹線に飛び込み自殺しました。
 出水市教育委員会は「原因は不明」とし、生徒を対象に実施したアンケートも
開示していません。

 NPO法人・ジェントルハートプロジェクトの武田さち子理事によると、
1994年10月29日に同中3年生だった男子生徒もいじめを苦に自殺していました。
 このときもアンケートを実施しましたが、結果は開示しませんでした。
 「アンケートには『男子生徒はいじめられていた』と書いた」
という女子生徒の証言があったにもかかわらず、学校側は「いじめは一切なかった」
と一方的に決めつけました。
 校長(当時)は生徒に、
「本当のことを言えば亡くなった生徒の家にも、学校にも大変なことになる」
と箝口令を敷いた、といいます。
 出水市と米ノ津中は、判で押したような隠蔽工作を繰り返しています。

 10年6月、川崎市立中3年だった次男がいじめを苦に自殺した篠原宏明さんによると、
同中でも06年に自殺未遂事件が発生しましたが、学校側は当該学年以外には事実を
話さず、教訓は生かされませんでした。
 篠原さんが当時の校長に詰め寄ると
「風化させたと言われれば、そうなるかもしれません」
と開き直った、ということです。

 これは龍野高校も同様です。
 当ブログでも繰り返し指摘していますが、04年1月16日に1年生男子(当時)が
体育の授業中に亡くなるという重大事故を発生させています。
 このとき真摯に事実に向き合い、事故の全容を解明して実効性ある再発防止策を策定し、
全教職員に徹底を図っていれば07年5月24日、リサさんが部活動中に倒れるという
事故は未然に防止できたのではないでしょうか。

 在校生が死亡し、あるいは重篤な後遺障害に苦しむという事故・事件を発生させたと
いうことは学校にとって最大の痛恨事です。
 事実を隠蔽しない、事実ではないことを捏造しない、記憶を風化させないで教訓として
語り継ぐというのは、被害者と家族に対する最低限の誠意ではないでしょうか。

 しかし当ブログ13年10月12日付記事でもご紹介しましたが、奈良県橿原市教委
教育総務部副部長が遺族に対し
「早く忘れたいので、早く調査を終わらせたい」
と言い放つなど、一片の誠意もみられないのが実情です。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201310-4.html

 こうしたなか、藤原崇能・大分県立竹田高校長が8月22日を同高「健康・安全の日」
と宣言し、語り継ぐ姿勢を示していることは特筆に値します。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201308-4.html

 優れた事例はあります。
 ではなぜ、優れた事例に学ぼうとしないのでしょう?
 なぜ悪しき前例を踏襲しようとするのでしょう?
 それが教育者と呼ばれる人たちにとって、ふさわしい行為でしょうか?

保護者の知る権利について(その39)

[ 2013/06/10 10:08 ]
 共同通信は2013年6月7日付で、

 内閣府の公益認定等委員会は7日、暴力指導問題や助成金の不正受給など
不祥事が続く全日本柔道連盟(全柔連)に、一連の問題の報告書再提出を
5日付で求めたと発表した。
 同委は全柔連への文書で、最初の報告書を「事実関係を真摯に報告する
内容となっておらず、極めて遺憾」とした。再提出期限は25日。(中略)

 文書によると、全柔連は指導陣の暴力行為などを告発した女子日本代表
15人のうち、実際に暴力を受けたのは「0~2名」と報告し、同委は
「曖昧な事実認識」と指摘。
 助成金問題では、全柔連が依頼した第三者委員会の報告にもかかわらず
「内容に違和感がある」と記したことに対し、組織としてのガバナンス(統治)
の在り方に疑念を抱くと強く批判した。(後略)

との記事を配信しました。

 07年5月24日、龍野高校テニス部の練習中にリサさんが倒れた事故に
ついて石原元秀校長(当時、現・岡山白陵中高校長、兵庫県上郡町教育委員)は
07年5月31日付で事故報告書を作成し、兵庫県教育委員会に提出しました。
 この事故報告書は、わずかA4用紙1枚にすぎず
「部活動が学校敷地外で行われていたにもかかわらず、校外教育活動承認申請
手続きを順守していなかったこと」
「事故当日の練習メニューについて、女子テニス部顧問のM教諭(当時、
現・姫路南高教諭)が、主将だったリサさんに詳細に指示していたこと」
「教諭が、だれも練習に立ち会っていなかったこと」
「事故発生時の対応マニュアルを作成していなかったこと」
など重大な事実が記載されていない杜撰なもので、保護者に対する説明責任を
果たしていないことは、当ブログでも繰り返し指摘してきたところです。

 にもかかわらず兵庫県教委はこれを受理し、石原氏に対して
「事実関係を真摯に報告する内容となっておらず、極めて遺憾」
と指導することもなく、再提出も求めていません。

 兵庫県教委は本来、内閣府の公益認定等委員会に相当する役割を担うべき
存在ですが、問題意識に欠け、果たすべき機能を果たしておらず
「組織としてのガバナンスの在り方に疑念を抱く」と言わざるを得ません。

保護者の知る権利について(その37)

[ 2013/05/06 22:35 ]
 当ブログ2013年4月6日付記事の続報です。

 13年5月1日付新潟日報は

 10年6月に県立高校3年の女子生徒が自殺した問題で、
県は学識経験者ら第三者による調査委員会の委員6人を選定し、
初会合を5月14日に県庁で開くと発表した。いじめの有無を
含め、高校が行った調査結果を検証する。
 委員会は新潟大医歯学総合病院の精神科講師兼総括医長ら
精神保健、心理、福祉、法律、教育、青少年問題の6分野の
専門家で構成。両親の申し立てを受け、いじめがあったとして
高校に勧告を行った県弁護士会からは、勧告に関わらなかった
弁護士が参加する。

と報じました。

 これとは別に、NHK新潟放送局は13年5月2日

 12年7月、県立高校3年の男子生徒が自殺した問題について、
泉田裕彦知事が「教育委員会がしっかり対応すべきだ」と述べ、
第三者委員会を設置して調査するのが妥当だとする考えを示した
ことを受け、石井充・新潟県教委高等学校教育課長が、なるべく
早い時期に第三者委員会を設けて対応する方針を明らかにした、

と伝えました。

 また13年5月2日付京都新聞は

 大津市の中学2年生自殺を受けて滋賀県が設置した、有識者による
「いじめ対策研究チーム会議」が1日、中間報告を県の対策本部に
提出した。一般的ないじめの構造や問題点を挙げ、対策の方向性
として、常設の第三者機関設置を示した。(中略)
 対策本部長の嘉田由紀子知事は「第三者機関は条例化を含め、
先進事例を検討したい。子どもや保護者らに、その存在をどう
届けるかもポイントになる」と話した。(後略)

と報じています。

 これらは泉田新潟県知事と嘉田滋賀県知事が、子どものいのちと
人権について前向きに取り組む姿勢を示したものであり、
高く評価すべきものだと思います。

 一方、13年5月3日付朝日新聞は

 昨年9月に自殺した兵庫県川西市の県立高校2年の男子生徒が
いじめを受けていた問題で、高校側が設けた第三者委員会が2日、
調査報告書をまとめた。
 「孤立するなか、いじめが自尊心を低下させ、無力感をより強めた」
といじめを認定したが、自殺の原因と直接結びつけるのは困難だと
結論づけた。
 報告書は、「教員側にいじめは許されないという毅然とした構えが
十分でなかった」と述べた。
 遺族との関係については、当時の校長が男子生徒の自殺後、
「在校生には『不慮の事故』として伝えたい」と発言したことなどに
言及し、初期対応のつまずきを指摘。思い違いやずれを修正できない
まま日数が過ぎ、遺族がより学校に不信感を抱く結果になったと、
学校側の対応を批判した。(後略)

と伝えています。

 住友剛・京都精華大学准教授は、川西市の第三者機関・子どもの
人権オンブズパーソンが13年3月28日、「いじめを受け続けたことや、
学校での人間関係が自殺の原因となった可能性は極めて高い」
とする調査報告をまとめたこと。
 兵庫県警が13年5月1日、自殺した生徒に暴言を浴びせるなど、
いじめを繰り返していた男子生徒3人を侮辱容疑で書類送検したことを
ふまえ、
「調査報告書には疑問がある。さらに詳細な検証が必要だが、
すくなくともオンブズは『できる限り死亡した生徒の気持ちに寄り添った』
と判断できよう。県教委が設置する第三者委には限界があることを
露呈したのではないか」
と指摘しています。

 そして自殺した生徒の父親は13年5月2日、記者会見で
「第三者委は設立当初から学校寄り、県教委寄りの感じだった。
その結果が報告書にも出ている」
と痛烈に批判しています。(関西テレビ「ニュースアンカー」より)

 NPO法人・ジェントルハートプロジェクトの大貫隆志理事は
「精緻な調査に基づき全容を解明しないと同様の事故・事件が再発する。
実効性ある再発防止策を講じないことは、加害行為に等しい」
と警鐘を鳴らしています。

 井戸敏三・兵庫県知事と県教委には、これらの声に耳を傾けてほしい、
と切に願います。

筋金入りの隠蔽体質@神戸市(その11)

[ 2013/05/02 06:56 ]
 当ブログ2013年4月9日付記事の続報です。

 05年度、神戸市立小学校で発生したいじめ・恐喝事件の
被害児童(当時)の保護者らは、13年4月5日付で
森本純夫・神戸市教育委員長あて内容証明郵便を送りました。
 これに対して雪村新之助・神戸市教育長が13年4月23日付で

 平成25年4月5日付けでいただきました文書について回答いたします。
 お問い合わせの平成25年3月29日付の指導課生徒指導係からの
回答は、平成25年3月25日付「平成17年度に神戸市立小学校で起こった
『いじめ事件』について教育委員長との面談申し入れ」を受けて、
教育委員会事務局からの正式な回答としてお送りしましたものです。
 教育委員会としましては、神戸地方裁判所に提出しました
「調査委託書(回答)」の記載内容や「生徒指導に関する状況報告」
への記載の件などについて、市会の常任委員会において答弁しています
とおり「いじめ・恐喝の事実があったかなかったかは断定できない。」
というこれまでの判断に変わりありません。
 従いまして、教育委員長との面談申し入れにつきましては、
前回の指導課からの回答(平成25年3月29日付)のとおり、お会いする
必要がないと考えております。(以上、原文ママ)

との文書を送ってきました。

 確認しておきますが、保護者らは
「いじめ・恐喝の事実があったかなかったかは断定できない」
という神戸市教委の判断に異議を唱えているわけではありません。
 「なぜそのように判断したのか?その根拠を明示してほしい」
と求めているのですが、これに対する回答はありません。

 今回、雪村教育長が作成した文書でも、
「従来の判断が変わることはない」
と言い切っていますが、なぜそのようなことが言い切れるのか?
という素朴にして重大な疑問に対して、その理由は示していません。

 永井秀憲・教育長と林弘伸・指導部長(いずれも当時)は、
市民からの問いかけにも一切回答しないまま退任してしまいました。
 そして今回も森本委員長に文書を送ったにもかかわらず、
雪村教育長が「回答」文書を送ってきました。
 その理由も不明です。

 なお森本氏は05年度、神戸市教育委員会事務局指導部指導課長
の職責を担っていました。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2013/01/img/20130115840101-4.pdf

 すなわち森本氏は、いじめ・恐喝事件が発覚した当時、当該校の
校長だった片寄八朗氏から報告を受ける立場にあったのです。
 そして06年4月、森本氏は同市立山田中学校長に転出し、後任の
指導課長に就任したのが林氏だった、という事実を付言しておきます。

 神戸市教委は、保護者らが求めている中立性・公正性・透明性を
担保した第三者調査委員会の設置には応じない、という姿勢に
変わりはありません。
 すなわち森本氏・永井氏・林氏らにとって、事件の全容解明とは
「できるかできないか」という問題ではなく、「やるかやらないか」
という問題です。
 そして「絶対やらない」という結論ありきであり、これを断固として
堅持するという方針は、現在事務局を統括する立場にある雪村教育長
にも引き継がれている、ということです。

 ということは、森本氏・永井氏・林氏らには
「いじめ・恐喝事件の全容を解明させてはならない」
なんらかの理由がある、との推定が成立しますし、しかもその理由は
合理的でも合法的でもない、との推認もできます。
 森本氏・永井氏・林氏らが、「そのような見方は邪推に過ぎない」
というのであれば、「邪推に過ぎない」ことを立証できるだけの
材料を公表するのは当然のことです。

 なお13年3月29日付で「教育委員会事務局 指導課 生徒指導係」
が作成した文書には文書番号もなく、公印の押捺もありませんでしたが、
13年4月23日付で雪村教育長が作成した文書には文書番号も公印押捺
もあって、公文書としての体裁を調えています。
 すなわち、仮にこの文書に事実ではない事柄が記載されていた場合、
刑法第156条および同第158条(虚偽有印公文書作成・同行使)に
抵触する可能性が高い、と指摘しておきます。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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