兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

世田谷区立小組み体操事故訴訟、和解が成立

[ 2017/12/12 04:44 ]
 2014年4月14日、組み体操の練習中に発生した事故で脳脊髄液減少症
を発症した東京都世田谷区立武蔵丘小6年生(当時)男子と両親が、
担任の男性教諭(同)と世田谷区に損害賠償を求めた裁判は17年12月11日、
和解が成立しました。

 父親の定松佳輝さんによると、和解文書には
・世田谷区が謝罪すること
・組み体操を行うにあたっては安全に配慮すること
・事故が発生したときには適切に処置し、調査を行うこと
・校長が作成した事故報告書と、家族が作成した反論書を同時に閲覧
できるようにすること
・賠償金を支払うこと
の5点が盛り込まれています。

 元担任の男性教諭は謝罪を拒否しており、また国家賠償法の規定により
個人としては賠償責任を負わないと主張していて、原告・被告双方の主張は
平行線をたどるばかりだったため、やむなく提訴を取り下げたということですが、
「男性教諭に意見を述べたいと要望したが、拒否された」
と無念さをにじませました。
 全国各地で組み体操に関連する事故が発生していることについては
「一番つらいのは被害に遭った子ども自身だ。
 わたしたちは息子の同級生たちの保護者から支援してもらえた。
被害者は勇気をもって声をあげてほしい」
と述べました。

 母親の定松啓子さんは
「わたしたちは『息子の身に何が起こったのか?』を知りたかっただけなのに
担任は面談のたびに言を左右にしたため、事実を知ることができなかった。
おそらく上からの指示があったためだと思っている。
 仕方なく区教委に相談したが『これ以上してあげられることはない。
不満なら提訴してくれ』と言われたから、やむを得ず提訴した。ところが裁判が
始まったら、いきなり和解したいと言い出した。
 まったくすっきりしていない。時間の無駄だった」
とし、
「区が謝罪したのは『事後対応に問題があった』ということに対してであって、
『十分な安全対策を講じなかったために事故が発生し、息子が脳脊髄液減少症
による重篤な後遺障害に苦しんでいる』という事実に謝罪したわけではない。
 しかも区教委の職員は、わたしたちに挨拶もしなければ目を合わせることもない。
『謝罪』は和解文書に書いてあるだけで、彼らからはひとことも謝罪の言葉は
なかった。心ない対応にさらに怒りが増している」
と訴えています。

 啓子さんによると、被害に遭った男子は来春の高校進学を前に
「当時の担任や校長を反面教師として生きていきたい。
 くやしいが、自分の体とつきあいながら自立を目指す」
との意向を示しているとのことです。

 仮に世田谷区が、裁判を終結させることを至上命題とし、その手段として
形式的に和解文書を作成しただけならば、それは仏を作ったが魂を入れていない、
ということにほかなりません。
 裁判は終わっても、事故は終わりません。
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世田谷区立小組み体操事故、第4回進行協議

[ 2017/11/05 09:00 ]
 2014年4月14日、組み体操の練習中に発生した事故で脳脊髄液減少症を
発症した東京都世田谷区立武蔵丘小6年生(当時)男子と両親が、担任の
男性教諭(同)と世田谷区に損害賠償を求めている裁判で17年10月6日、
4回目となる弁論準備が非公開で行われました

 両親によると、
「世田谷区が男子生徒に対して正式に謝罪すること」、
「和解文書に事故防止への取り組みと、事故が起こった際の対応について
明記すること」、
「校長が作成した事故報告書と、原告が作成した反論書を同時に閲覧できる
状態にすること」
を条件に、和解することで合意した、とのことです。
 両親は
「この合意内容によって事故がなくなるとも、事故後の対応が万全になるとも
思ってはいないが、少なくともこれまでよりは安全に対する意識が高くなる
だろうし、万が一事故が起こった際も息子が事故に遭ったときのような対応は
できなくなる、との思いを込めて話し合ってきた。
 世田谷区議会の承認手続きを経なければならないので、正式に和解が成立
するのは12月になる見通しだ」
としたうえで、
「ここまで来られたのも、皆様のご指導と応援があったからだと、大変感謝して
おります。本当に有難うございました」
という支援者へのメッセージを発しています。

 男性教諭については、あくまで謝罪はできないという態度を崩さなかったため、
和解は不成立に終わりました。
 両親は
「いまだに嘘をつきとおし、国家賠償法を隠れ蓑に逃げている者に対して、
戦いを続けることは無駄だと判断しました」
として、提訴を取り下げるという苦渋の決断をしたことを明らかにし、
「息子はまだ心身ともに元に戻ったわけではありませんが、来年度から高校に
進学しますので、これで区切りをつけたいと思います」
とコメントしています。

 男性教諭の不適切な指導がなければ事故に遭うこともなく、当然のことながら
脳脊髄液減少症という重篤な後遺障害に苦しむこともなかった男子生徒に思いを
はせることもなく、自ら責めを負うこともないばかりか、謝罪さえ拒否し続ける
男性教諭の姿勢には大いに疑問がありますし、教諭の不誠実きわまりない
対応を是認し、謝罪するよう指示することもなかった世田谷区の態度にも
失望を禁じ得ません。
 武蔵丘小と世田谷区教委が、不幸にして起きてしまった事故から得た教訓を
風化させないことで、最低限の誠意を見せるよう期待してやみません。

世田谷区立小組み体操事故、第3回進行協議

[ 2017/09/17 11:06 ]
 2014年4月14日、組み体操の練習中に発生した事故で脳脊髄液減少症を
発症した東京都世田谷区立武蔵丘小6年生(当時)男子と両親が、担任の
男性教諭(同)と世田谷区に損害賠償を求めている裁判で17年9月5日、
3回目となる弁論準備が非公開で行われました。

 世田谷区は事後対応の一環として、
「事案に応じて中立的な外部専門家が参画した調査委員会の設置を検討する」
という文言を、和解文書に盛り込むことを了解しました。
 これは16年3月に文科省が公表した「学校事故対応に関する指針」に、
「被害生徒の保護者の要望があれば、学校設置者が調査委員会を立ち上げて
詳細調査を行う」
との記載があることに基づくものですが、問題は当該事故の全容解明が
進んでおらず、したがって実効性ある再発防止策については同区から
具体的な提案がないまま、という点にあります。
 しかも「事案に応じて」とは、どのような事案を対象とするのか?
だれが「調査委の設置を検討し」決定するのか?は明記されていません。

 学校が作成した「事故報告書」については、記載内容の書き換えには応じない
ものの、男子生徒と保護者がまとめた反論書を事故報告書と一緒に保管する、
との意向を示しました。
 すなわち、同区役所などで事故報告書を閲覧する際には反論書もセットとして
閲覧することが可能になるため、原告もこれを了承しました。
 そのうえで次回以降、世田谷区が賠償金額を提示する運びとなりました。

 世田谷区は事故を発生させたことにより男子生徒と保護者に身体的・精神的苦痛を
与えたことは遺憾であるとし、事後対応に問題があったことも認めて謝罪する、
としています。
 しかし男性教諭は国家賠償法第1条を根拠として「個人として賠償責任を負うことは
ない」という姿勢を崩さず、いまに至るまで男子生徒と保護者に対して謝罪していませんし、
今後も謝罪しない意向です。
 
 保護者は
「これを受け入れるつもりはない。あまりにも不愉快だ」
と述べています。

世田谷区立小組み体操事故裁判、第2回弁論準備

[ 2017/08/04 08:44 ]
 2014年4月14日、組み体操の練習中に発生した事故で脳脊髄液減少症を
発症した東京都世田谷区立武蔵丘小6年生(当時)男子と両親が、担任の
男性教諭(同)と世田谷区に損害賠償を求めている裁判で17年7月28日、
非公開で弁論準備が行われました。
 原告は世田谷区に対して、本件に限らず区立小中学校で被害に遭った
児童・生徒に後遺症が残る、あるいは完治に数カ月を要するといった
重大事故が発生した場合、校名や被害者の状況、学校および区教委の
対応などを区のホームページで公開すること、中立な立場の第三者調査委員会を
設置して事故を検証することを求めていますが、世田谷区はいずれも拒否しています。
 これについて両親は、事故の全容解明なくして再発防止策の策定はあり得ない、
との立場から
「少なくとも第三者調査委の設置は、なんとしても和解条項に盛り込みたい」
としています。

 もう一つの懸案である事故報告書の書き換えについて、世田谷区は
「公文書なので訂正はできない」
と突っぱねたうえで、保護者が提出した文書を一緒に保管し、双方の言い分が
同時に閲覧できるよう配慮する、としています。
 世田谷区にしてみれば、被害者と保護者に一定の譲歩をした結果、こうした提案を
したということかもしれません。
 しかしあくまで「双方の主張を同時に閲覧できる」ということで、双方の主張が
平行線をたどっている現状に変化をもたらすものではありませんし、当然事故の
全容解明につながるものとは言えません。
 一方、12年9月2日に兵庫県立高2年(同)男子がいじめを苦に自殺した事件では、
17年5月になって同高が追加報告書を作成して県教委に提出し、学校が行った
調査について事実上誤りを認めた、という前例があります。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201705.html

 組み体操事故は「すでに終わったこと」ではありません。
 発生から3年以上経過しても被害者の体調が改善しているわけではありませんし、
残念ながら今後も劇的な変化が見込める状況にはありません。
 これほど重大な事故が発生したのは、担任教諭(同)の無理な指導に原因があった
との疑いが払拭できていない以上、第三者委が精緻な調査を行って全容解明に
努めたうえで実効性ある再発防止策を策定し、その運用の徹底に努めることが、
せめてもの誠意ではないでしょうか。

 なお両親によると、和解金額の提示は今回もなく、担任教諭からの謝罪についても
回答はなかった、ということです。
 次回は9月5日18時30分から、3回目の弁論準備が行われます。

組み体操事故裁判、世田谷区が和解案を提示

[ 2017/07/18 06:53 ]
 2014年4月14日、組み体操の練習中に発生した事故で脳脊髄液減少症を
発症した東京都世田谷区立武蔵丘小6年生(当時)男子と両親が、担任の
男性教諭(同)と世田谷区に損害賠償を求めている裁判で、7月12日
16時30分から非公開で弁論準備が行われました。

 世田谷区は男子と両親に対して謝罪したうえで、
「『組体操に係るガイドライン』を基に、子どもの実態や教員の指導体制を
踏まえて再発防止に努める」
としていますが、当該事故が発生するに至った経緯について、改めて検証する
ことはない、との姿勢です。
 同区は17年4月25日に行われた第1回口頭弁論で話し合いによる解決を
提案していますが、区が支払う和解金の額については、現時点では
提示していません。
 また武蔵丘小が作成した事故報告書について、両親は
「事実ではないことが記載されているので、訂正してほしい」
と要望していますが、世田谷区は「検討する」としています。

 両親は
「世田谷区からの和解案には『謝罪』、『事故防止策』、『事故後の対応』の
項目があった。事故発生直後の取り付く島もないような対応からは、
考えられないほどの内容だ。
 しかし第三者調査委員会を設置して事故の全容を解明したうえで家族に
報告する、などの私たちの要望については『持ち帰って検討する』としており、
予断を許さない状況だ」
と述べたうえで、
「事故防止や事後対応については、私たちのように何年もかけて法廷で争う
のではなく、もっとシンプルに解決できるはずだと思っているので、今後機会が
あれば発信したい」
との意向を示しています。

 次回は7月28日、今回と同様に非公開の弁論準備が行われます。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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