兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

群馬県教委、スポーツ事故検証委を設置

[ 2018/02/19 06:23 ]
 NHK前橋放送局は2018年2月15日

 去年12月、群馬県立藤岡中央高校のグラウンドで陸上部の練習中に
3年生男子が投げたハンマー投げのハンマーがサッカー部の2年生男子の
頭に当たり死亡した事故を受けて、県教委は学識経験者や陸上競技の
専門家など5人からなる検証委員会を設置し、この日同高で初会合が
開かれました。
 笠原寛・県教育長が「教育関係者にとって、子どもたちの安全を守ることは
最大の使命で、専門的な知見から調査・検証をして、再発防止に向けた
提言をお願いしたい」と述べ、学校での事故に詳しい東京学芸大学の
渡邉正樹教授が委員長に選ばれました。
 県教委によりますと、これまで高校などが行った事故の原因などに関する
調査結果が報告されたうえで、今後、再発防止策などについて具体的に検討を
進めていくことを確認したということです。
 会合のあと委員たちは、グラウンドを視察し、事故当時の状況などについて
確認していました。

と伝えました。

 群馬県の笠原教育長は
「教育関係者にとって、子どもたちの安全を守ることは最大の使命」
という基本方針を明言し、これを実現するために
「専門的な知見から事故を検証し、再発防止に向けた提言」
を得ることが検証委を設置した目的だと述べたのです。
 そして特筆すべきは、この日の検証委で
「高校などが行った事故の原因などに関する調査結果が報告」
されたことです。

 兵庫県が龍野高女子テニス部事故をめぐる裁判において、
「龍野高は事故について調査していないが、保護者がすでに調査をして
いるので、同高があえて調査する必要はない」
と驚くべき主張を展開したこととは、まさに対照的です。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201510-2.html

 最高裁はこれを退け、兵庫県は敗訴が確定しましたが、今日に至るまで
その姿勢を崩していません。
 すなわち兵庫県と同県教委、そして龍野高の関係者は
「教育関係者にとって、子どもたちの安全を守ることは最大の使命」
とは考えていない、と判断せざるを得ません。
 兵庫県民の皆さん、この事実を当然のことと容認できますか?
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学校事故事件の事後対応における問題点について

[ 2018/02/06 09:00 ]
 朝日新聞は2018年1月30日から5日間、「小さないのち 悲しみと歩む」
とのタイトルで特集記事を連載しました。
 1月31日付紙面では、さいたま市立日進小6年生だった桐田明日香さんが
11年9月29日、駅伝メンバーを決めるための選考会で1000mを走り切った
直後に倒れて翌日死亡した事故と、その事後対応について取り上げています。
https://digital.asahi.com/articles/ASL1Z00FQL1YUUPI00D.html

 また2月2日付紙面では、10年6月7日、同学年の男子生徒4人から執拗な
いじめを受け、川崎市内の自宅トイレで硫化水素ガスを発生させて自死した
篠原真矢くん(当時中3)に関する記事。
https://digital.asahi.com/articles/ASL165V24L16UTIL01N.html

 さらに2月3日付紙面では、12年12月に発生した大阪市立桜宮高男子
バスケットボール部員の自死事案をめぐる記事を掲載しています。
https://digital.asahi.com/articles/ASL195QRVL19UUPI003.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201710-5.html

 さいたま市は、桐淵博教育長(当時)が真摯に対応した結果、遺族との
信頼関係が構築できました。
 その結果、明日香さんの母・寿子さんは
「さいたま市教委とは『想い』を共有している」
と述べています。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201507-3.html

 桐淵氏の姿勢は、名古屋市立向陽高および名古屋市教委の対応と軌を一に
するものです。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201712-3.html

 名古屋市教委スポーツ振興課の小川博通・指導主事(当時)は15年11月10日、
文部科学省の「学校事故対応に関する調査研究」有識者会議終了後、
わたしの取材に応じ、学校管理下で事故が発生した際の事後対応について
「校長がまず謝罪し、言い訳をしないこと。最初にボタンをかけちがうと、保護者
との信頼関係を修復することはきわめて難しい」
と述べています。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201511-1.html

 これは、川崎市教委職員が篠原真矢さんの遺族に向き合った姿勢とも通底
するものです。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201712-2.html

 こうした事案が特筆されているのは、事実を隠蔽し被害者家族と向き合わない
教員や教委関係者が多数を占めているという、由々しき状況があるからこそ
といえます。
 そしてさいたま市や名古屋市、川崎市に見られた事後対応の実例も
「人事異動によって偶然、遺族に寄り添う人材が在籍していただけ」
であったのならば、
「将来において同様の事案が発生した際、同様の対応が期待できるかといえば、
はなはだ心もとない」
と言わざるを得ません。

 「全国学校事故・事件を語る会」の代表世話人、内海千春氏は
「学校に調査能力はあるし、これを過小評価すべきではない」
としたうえで、
「謝って済むことなら、教員がきちんと調査し保護者にも報告するが、謝って済まない
ことが発生したら『なかったことにしてしまおう』という圧力が働き、教員が思考停止
状態に陥っている。
 教員間で議論し、当事者意識をもって思考しなければ、解決は望むべくもない」
と指摘しています。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201708-1.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201712-6.html

群馬県立高と龍野高の共通点と相違点

[ 2017/12/24 07:53 ]
 2017年12月20日、群馬県立藤岡中央高で陸上部員が投げたハンマー投げの
ハンマーがサッカー部員の2年生男子の頭を直撃し、同日夜この生徒が死亡する
事故が発生しました。

 この件について読売オンラインは、17年12月21日付で

 市川敏美校長は「学校の管理下でこういった事故が発生してしまったことに、
責任を感じています」と語った。

と伝えました。

 さらに翌12月22日付で

 事故が起きた時、陸上競技部の顧問は近くにいなかった。部員たちに練習を
終えるよう指示し、学校を離れた後だった。市川校長は「事故の直前までは
練習に立ち会っていた。最後まで面倒をみるべきで、通常はあり得ない対応。
反省すべき点がある」と語った。
(中略)
 市川校長は「事故が起きたということは安全管理に問題があったということ。
原因究明とともに、再発防止策を考えていきたい」と話した。

と報じています。

 本件は、07年5月24日に龍野高女子テニス部の練習中に発生した事故と
酷似している部分と、対照的な部分があります。
 共通点は、顧問教諭が練習開始時点では立ち会っていたものの、途中で
練習場を離れ、教員不在のまま練習が行われていたこと。
 対照的なのは、石原元秀氏・清重安男氏をはじめとする歴代の龍野高校長が
責任回避を至上命題として、部活動を行う際の安全管理体制に問題があった
ことを認めず、原因を究明するための調査を実施せず、再発防止策を策定
しないまま今日に至っていることです。

 石原氏は12年12月7日、神戸地裁に証人として出廷し
「謝罪すれば、道義的責任が法的責任にすり替えられるおそれがある」
ことを被害者と保護者に謝罪していないことの根拠として主張しました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201212-9.html

 道義的責任と法的責任は、あくまで別問題です。
  これは17年12月14日の日体大研修会で、学校事故・事件の被害者家族
らから
「川崎市や名古屋市の対応は、わたしたちの経験とは正反対だ。
 こうした対応がなされていたら、提訴することはなかった」
という声があがっているという事実に鑑みれば。
 校長以下教職員や教委職員らが誠実に対応して、道義的責任を十分に
果たしていれば、被害者家族には法的責任をあえて追及しないという
選択肢もあり得るのだ、ということを立証しています。
 すなわち石原氏の発言に妥当性も説得力もないことは明らかですし、
石原氏の言動を追認している兵庫県教委の無為無策も、到底看過できる
ものではありません。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201212-6.html

 大分県立竹田高や専修大附属高のように、校長が代わることによって
学校の体質が大きく変わった例もあります。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201710-2.html

 龍野高と兵庫県教委に、自浄能力を発揮するよう期待するのは
無理なのでしょうか?

秋田県知事と兵庫県知事の資質の違いについて

[ 2017/11/29 07:36 ]
 2017年11月28日付河北新報は

 秋田県立能代松陽高で14年度と15年度に女子生徒が所属する運動部の
部員からいじめを受けた問題で、佐竹敬久知事は27日、被害女性の請求を
認め、同校と県教委の対応に関して再調査することを決めた。同日の定例
記者会見で明らかにした。
 女性は、県教委の第三者委員会が16年7月に公表した報告書を
「いじめ被害の実態解明が不十分だ」などとし、今年7月にいじめ防止対策
推進法に基づく再調査を請求。県は再調査の必要性の有無を検討してきた。
(中略)
 佐竹知事は「被害者の主張をより真摯に受け止めたい。再調査で学校の
対応に瑕疵があれば、今後の参考事例にしていきたい」と話した。
(後略)

と伝えています。

 秋田県はいじめという重大な人権侵害事案が発生したという事実に基づき、
第三者委を設置して調査を行いましたが、その内容が不十分だとの当事者の
意見を尊重し、再調査を行うと決定しました。
 佐竹知事は同日の記者会見で
「弱い立場にある人の言い分をより真摯に受け止める」
とも述べています。
http://www3.nhk.or.jp/lnews/akita/6015341801.html
 佐竹知事の英断に敬意を表します。

 ひるがえって兵庫県。
 07年5月24日、龍野高女子テニス部の練習中に発生した事故について
調査していませんし、第三者委の設置も拒否したまま今日に至っています。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201212-6.html

 リサさんの母親は裁判で陳述し、
「娘は事故当時16歳。進学して将来はキャビン・アテンダントになりたいという
夢を語っていました。恋をして、結婚もして、子育てもしたかっただろうに、
その無念を思うと胸が張り裂けそうになります」
と涙ながらに訴えました。
 この言葉が、なぜ兵庫県教委に届かないのか?大いに疑問です。
 
 熱中症は予防できるものです。
 しかし同部顧問(当時)の三木教郎教諭が、適切な予防策を講じることを
怠ったため、不幸にして事故が発生してしまいました。
 これが重大な人権侵害であることは論を俟ちませんが、それでも兵庫県は
重い腰を上げようとしていません。
 石原元秀校長(同)に至っては、12年12月7日、神戸地裁で行われた
証人尋問において
「原因究明が再発防止につながるとは思わない」
と驚くべき発言をして傍聴席を唖然とさせましたが、兵庫県はこれを追認して
いるのが現状です。
 秋田県との対応の違いには言葉を失いますし、なぜ兵庫県は行動に
移さないのか?その理由はまったくわかりません。

 一方、17年11月28日付神戸新聞によると、同年2月に神戸市の私立高
2年生(同)の女子生徒がいじめを苦に自殺を図ったことについて、
井戸敏三知事は11月27日の定例記者会見で
「いじめへの対応は、できるだけ多くの関係者と情報共有していくことが不可欠。
周知徹底していく」
と話したということです。

 学校管理下で行われる部活動の練習中に発生した熱中症事故について、
「できるだけ多くの関係者と情報共有していくことが不可欠」
であることは言うまでもないことですし、事故発生に至る機序を調査し、
全容を解明したうえで実効性ある再発防止策を打ち出し、これを関係者に
「周知徹底していく」
ことは、県民の身体生命の安全を守ることを第一義とする知事として当然
果たすべき責務であり、リサさんと両親に対して示すべき最低限の誠意です。
 裁判は終結しましたが、事故は終わっていません。

 そして、17年11月14日付神戸新聞は

 兵庫県内の小中学校で15、16年度に起きた組み体操の事故件数が、
2年連続で全国最多だったことが13日、大阪経済大の西山豊教授(数学)の
調査で分かった。15年度は857件(うち骨折265件)、国や県が安全対策を
強化した16年度もなお601件(同173件)に上った。児童生徒1万人に対する
負傷率も47都道府県中、15年度が1位、16年度2位となっており、さらなる
対策が求められている実態が浮き彫りになった。(後略)

と伝えています。
 部活動と組み体操は形式こそ異なりますが、生徒たちの安全に対する
配慮が十分ではない、という点において一致しています。
 兵庫県には早急な対策を求めます。

日体大研修会&「指導死」シンポジウム(その4)

[ 2017/10/17 17:47 ]
 竹田高は、工藤剣太くんが亡くなった8月22日を「健康・安全の日」として
毎年全校集会を開催していますし、
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201308-4.html
専大附高は「恵杯」を毎年開催しています。

 生徒は毎年入学と卒業を繰り返しますし、人事異動によって事故・事件が
発生した当時の状況を知る教諭がいなくなるのは避けられないことです。
 しかし、吉川優子さんが言うように
「事故の教訓を風化させてはいけない」
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201709-2.html
のですから、竹田高と専大附高の取り組みには敬意を表します。

 ただし、いずれも事故発生時の校長が退任し、後任校長が着任してから
対応が変わったという事実を付記しておきます。

 一方、龍野高は07年5月24日に発生した女子テニス部事故について
調査をしないまま、今日に至っています。
 そして井戸敏三・兵庫県知事と県教委は、部活動の安全指導と事後対応に
ついての要請文を受理しておきながら、
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201602-1.html
誠意ある回答をしないままです。

 これでは、悲しい事故をなくせません。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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