兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

日本子ども安全学会第3回大会開催のお知らせ(その2)

[ 2016/09/02 22:08 ]


 2016年8月31日付朝日新聞は

 大好きなピアノ教室に向かう車の中。吉川慎之介君(当時5歳)は突然言い出した。
「お母さん、僕が生まれてうれしかった?」
 「もちろん! すごいうれしかったよ」。母の吉川優子さんが答えると、慎之介君は
「ありがとう」と笑った。
 その次の日に事故は起きた。12年7月、愛媛県西条市。私立幼稚園のお泊まり
保育での川遊び中、水かさが増し、慎之介君が流された。150メートル下流で
見つかったが、助からなかった。園側はライフジャケットを着用させていなかった。
今年5月には、元園長に業務上過失致死傷罪で罰金50万円の有罪判決が
言い渡された。
(中略)
 事故を繰り返してほしくないとの思いは、吉川さんも同じだ。昨年、事故予防を
考える「子ども安全管理士講座」を始めた。「子どもの死を防ぐ制度を作らないと
いけない。それは、しんちゃんが生きた証しにもなる」
(後略)

と伝えています。
http://digital.asahi.com/articles/ASJ802JT1J80UBQU00B.html

 吉川優子さんは

 事故から4年が経過しました。
 刑事裁判が終わり、一つの区切りを迎えました。
 しかし、事故と向き合うことは、これからも続きます。
 文部科学省と内閣府から、学校事故および保育事故に関するガイドラインが
出されました。形ばかりのものではなく、現場で活かされていくことを願います。
 そして保護者をはじめ地域でも情報共有し、子どもの安全について考える
機会を積極的に築いていってほしいと思います。

とコメントしています。
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日本子ども安全学会第3回大会開催のお知らせ

[ 2016/08/11 14:48 ]
 日本子ども安全学会が、第3回大会を以下の要領で開催します。

日時:2016年9月10日(土)13時~17時
会場:中央大学駿河台記念館610号室
〒101-8324東京都千代田区神田駿河台3-11-5
http://www.chuo-u.ac.jp/campusmap/surugadai/

 詳しくは
http://shinnosuke0907.net/895/
をご参照ください。

 運営にあたる一般社団法人吉川慎之介記念基金の吉川優子・代表理事は、
「今年は水難事故のニュースが多いように感じられる。(同基金が主催している
子ども安全管理士資格認定講座などで)海や川での水遊びに際しての
リスクマネジメントについて啓発活動を続けているが、なかなか伝わらない」
と、もどかしさを吐露しながら
「だからこそ関心を高めたい。多くの方に参加してほしい」
と訴えています。
http://shinnosuke0907.net/cpp/

 なお12年7月20日、吉川さんの長男・慎之介くん(当時5歳)が、
西条聖マリア幼稚園(愛媛県西条市)のお泊まり保育中に川遊びで流されて
死亡した事故については、松山地裁(日野浩一郎裁判長)が16年5月30日、
当時の園長に罰金50万円の有罪判決を言い渡し、これが確定しています。
http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20160531/news20160531966.html

 判決はライフジャケットの有用性について、繰り返し言及しています。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/977/085977_hanrei.pdf

幼稚園児溺死事故、調査委が報告書を愛媛県などに提出(その2)

[ 2015/08/25 20:57 ]
 愛媛県は当該事故が発生した加茂川を管理していますし、同園の設立を認可し
補助金も交付しています。

 しかし中村時広・愛媛県知事は13年9月28日、事故調査委員会の設置を求めた
両親に、
「県は私立幼稚園の所轄庁でありますが、私立幼稚園を含めた私立学校においては、
私学の自主性を尊重する観点から所轄庁の権限は限定されており、教育現場に
踏み込んだ指導などはできない事から調査の実効性に大きな制約があるため、
事故調査委員会を設置する考えはありません」
と回答しました。
 また再発防止策についても
「私学教育の自主性の観点から私学自らが、その責任において学校保健安全法に
基づいた再発防止に取り組むべきと考えます」
と述べるにとどまりました。
 このため遺族らが調査委を設置しました。
 調査委の運営にかかる費用は、すべて遺族らが負担しています。

 住友委員長は、こうした愛媛県の対応について
「遺族や保護者の立場からは納得できないだろうが、現行法制の枠内では、
やむを得ないものと言わざるを得ない」
としたうえで、
「調査委が15年1月29日に西条市役所、同年2月17日に愛媛県庁を訪問した際、
いずれもヒアリングに応じてくれた。子どもの事故防止に真摯に取り組んでいる
自治体の担当者にしてみれば、『民間保育所や私立幼稚園における事故防止や、
発生時の調査・検証等に関して、自治体として取り組めるなんらかの制度的な
条件整備がほしい』と思っているのではないか」
と述べています。
 そのうえで、記者発表時のこととして、
「事故の記憶を風化させないという思いから、先月には西条市職員有志が
(慎之介くんらが滞在していた)『石鎚ふれあいの里』のスタッフらとともに、河原からの
避難路の草刈りをした。
 さらに加茂川の上流に水位変化を計測する装置を取り付け、急な増水があったとき
には、『ふれあいの里』近辺の河原にいる人たちに避難を呼びかける体制を整えている、
とも聞いている」
と述べ、西条市の取り組みには一定の評価をしています。

 慎之介くんの母・優子さんは、
「子どもの安全に関しては、公立私立関係なく平等であるべきだと考えています。
 子どもに関わる重大事故に関する調査・検証については、教訓がしっかりと活かされる
仕組みを切望いたします」
とコメントしています。

 調査報告書はhttp://shinnosuke0720.net/1080/で公開されています。
 委員を務めた小佐井良太・愛媛大准教授が提唱している「対話促進型紛争解決」
に関する提案も盛り込んでいます。
 対話促進型紛争解決については
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201506-5.html
をご参照ください。

幼稚園児溺死事故、調査委が報告書を愛媛県などに提出

[ 2015/08/25 20:47 ]
 2015年8月22日付愛媛新聞は

 12年7月に愛媛県西条市中奥の増水した加茂川で、西条市の私立幼稚園の
お泊まり保育中に吉川慎之介ちゃん=当時(5)=が流され死亡し、園児2人が
けがをした事故で、原因究明や再発防止のために遺族らが設立した調査委員会は
21日、西条市と県に調査報告書を提出した。
 報告書では、園の行事に際しては子どもの成長段階や安全に考慮し、保護者らの
意見を取り入れた柔軟な計画を立てる必要があるとしたほか、各園の主体性が
尊重される一方で規模の差が大きい私立幼稚園では、行政が各園の事故防止活動
を支援する体制づくりも課題などと提言した。
 調査委員長で京都精華大の住友剛教授=教育学=は、事故の背景には、
過密スケジュール▽浮輪やライフジャケットの準備不足▽過去に事故がなかった
ことからの過信―などがあったと説明。
 慎之介ちゃんの父豊さんは「未来の子どもたちの安全を守る啓発のために報告書を
役立てたい」と話した。

と伝えています。

 調査委は14年10月8日付で同園と、経営母体である学校法人ロザリオ学園、
そして当時の園長をはじめとする事故当日に引率していた教諭らに、調査への協力を
依頼する文書を送りました。
 その際、「亡くなった慎之介くんの声に耳を澄ますということを一番に考えた」
といいます。
 しかし全員から同年10月20日付で
「民事・刑事事件係争中のため協力できない」旨の、まったく同じ内容の回答が
ありました。

  これに対して調査委は、遺族らの
「自分の言葉で、自分の気持ちを正直に話して頂きたい、という思い」
を尊重し、同月22日付で再度文書を送りました。
 しかし今度は園側の代理人弁護士から内容証明郵便で、
「事故調査・検証には協力できない」
という回答がありました。

 このため調査委は14年11月12日付で、
「今後、当委員会は、学園側の当事者に対する調査を行うことなく、本件事件の原因
及び背景要因の解明を行わざるを得ませんが、調査結果につきましては、開示する
所存です」
という声明を発表しており、これに基づいて報告書を公表しました。
http://shinnosuke0720.net/946/

 園が主催した行事において発生した事故ですから、園が主体となって真相を究明し、
保護者に対する説明責任を果たすべきことは論を俟ちません。
 ましてや同園は現在も引き続き園児を受け入れているのですから、係争中であろうと
なかろうと、責務を果たすのは当然です。
http://www.rosario.ac.jp/saijo-st-maria/

 にもかかわらず調査委の聞き取りにすら応じなかったということは、自らが果たすべき
責務を放棄したということであり、同時に釈明の機会を与えられたにもかかわらず、
自らこれを放棄したということです。

 松山地検は14年3月28日、当時の園長ら3人を業務上過失致死傷容疑で在宅起訴
しており、両親は学校法人ロザリオ学園などを相手取って損害賠償請求訴訟も提訴
しています。
 今後、刑事裁判や民事裁判で、法人や当時の園長らが調査報告書に対して反論する
場面があるとすれば、「それは筋違いだ」と指摘しておきます。

(この項、つづく)

保育事故の被害者家族、事故報告の透明化を求める

[ 2015/03/04 08:35 ]
 2015年3月3日付毎日新聞は、

 今年4月から新たに始まる「子ども・子育て支援新制度」を前に、保育事故で
子どもを亡くした親たちで作る「赤ちゃんの急死を考える会」(櫛毛冨久美会長)が
2日、認可外保育所など新制度外で子どもを預かる全ての施設・事業に対して
重大事故が起きた場合に報告を義務化することなどを求める要望書を内閣府
などに提出した。
 要望書では、ほかに▽事故の再発防止のために事故後の検証の仕組みを確立
▽子どもを預かる全ての施設・事業を公的に補償される災害共済給付の対象と
するよう法整備を行う−−などを求めた。
 記者会見した同会のメンバーは「4月から認可外施設に子どもを預けざるを
得ない人も多いが、事故報告も義務化されず再発防止策も確立されていない。
預け先によって対応に差が出ることに疑問と不安を感じる」と訴えた。
 厚生労働省によると、昨年、全国の保育施設で死亡した乳幼児は17人で、
うち12人が認可外保育施設での事故だった。
 政府は昨年9月に有識者検討会を設け、事故情報の収集・公表のあり方や
再発防止策などを検討中だ。新制度では、国の財政支援の対象となる保育施設や
事業には、重大事故が起きた場合の報告が義務化されるが、検討会の昨年11月
の中間まとめでは、新制度外の認可外保育所やファミリー・サポート・センター
事業などは、報告の対象としたが義務化はしなかった。

と伝えました。

 同会の会員が望んでいるのは、再発防止にほかなりません。
 しかし小山義夫副会長によると
「1995年から活動を続けているが、(厚労省などから)一度も事情を聞かれた
ことはない」ということです。
 国も自治体も当事者である保護者の意見に耳を傾けようとせず、もう一方の
当事者である事業者、すなわち幼稚園や保育園の経営者などからの報告を
鵜呑みにしてきた、という実態があります。
 この結果、死亡した児童の月齢はもとより、性別まで間違っているのに訂正
されないまま放置されているという実例が複数ありますし、事故が原因で死亡
したとの疑いが払拭しきれないにもかかわらず、「病死」や「不明」とされた例も
多数あります。
 小山氏は「不都合な事実ほど隠蔽されやすい」と力説しました。

 同会の藤井真希さんは、事業者が作成した事故報告書に対して
「保護者が記載内容を確認したうえでコメントを書き込めるなど、積極的に
関われるようにしてほしい」と要望し、原因究明についても
「人間の記憶は曖昧なもの。客観的・科学的な検証法を確立してほしい」
と訴えました。

 阿部一美さんは、さいたま市が認可外保育施設に対して「午睡中の様子を
抜き打ち調査する」と通告していることを指摘し、
「同市職員は、これが抑止力になっていると証言している。こうした先進的な
取り組みを具体的な施策として生かしてほしい」
と要望しました。

 吉川優子さんは、私立校・園で事故・事件が発生した場合、行政が
「建学の精神」を重視するとの建前から原因究明に消極的だとし、
「安全対策は別問題。少子化が問題だというなら、せっかく生まれてきた
子どもたちを大事にするのは当たり前。不幸にして我が子を亡くした親の
声を聞いて、再発防止に努めてもらいたい」
と強調しました。
http://eclairer.org/

 こうした要望に対し、厚労省と文部科学省の担当者は
「検証には事実誤認の訂正は不可欠。情報が正しく伝わる工夫が必要」とし、
「当事者の要望をできるだけ取り入れていく」と回答しました。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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