兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

大津検察審査会、元柔道指導者に起訴議決せず

[ 2014/11/24 09:50 ]
 2014年11月15日付京都新聞は

 滋賀県愛荘町の秦荘中で09年、柔道部員の村川康嗣君=当時(12)=が死亡した
部活中の事故で、大津地検が2度不起訴処分とした柔道部の元顧問の男性について、
業務上過失致死罪で再審査していた大津検察審査会は14日までに、「起訴議決に
至らない」と決定した。議決は10月21日付。
 議決によると、村川君は09年7月29日、同中の道場で行われた乱取りの練習中に
頭部に外傷を負い、8月24日に急性硬膜下血腫で死亡した。
 同審査会は議決理由で、元顧問が事故当日に村川君に課した上級生相手の無制限の
乱取りなどの練習について「適正な範囲を超え、十分に非難の対象となる」と指摘し、
頭部の血管を損傷させた可能性があると認めた。
 しかし、複数の医師の意見でも血管損傷の時点などが特定できないとし、「元顧問の
不適切な指示や過酷な練習方法が村川君の死亡に結びついたと言い切れるだけの
証明があるとはいえない」と結論付けた。
 議決について、村川君の母弘美さんは代理人の弁護士を通じて「『信じられない』の
一言」とのコメントを出した。弁護団も「極めて不合理な驚くべき内容だ」と批判した。
 大津地検は13年7月、傷害致死容疑で書類送検された元顧問を不起訴処分としたが、
同審査会は3月に業務上過失致死罪での起訴が相当と議決。再捜査した同地検は
7月に「死亡との因果関係は認められない」として再び不起訴としていた。

と報じました。

 南部さおり・横浜市立大医学部助教は
「『いつ、どのように』傷害が発生するに至ったかを特定するのは、医学的にもきわめて
困難」と指摘しています。
 すなわち「いつ血管が損傷したか特定できない」のは自明の理であり、これにこだわり
神学論争を展開することに意味はありません。

 一方、長野地裁(伊東顕裁判長)は14年4月30日、業務上過失傷害の容疑で
強制起訴された小島武鎮被告に対し、
「柔道指導者には技量・体格に配慮しながら、手加減する注意義務がある」としたうえで、
「未熟な者が強い力で投げられ、畳に打ちつけられれば、身体に何らかの障害が発生
することは十分に予見可能だ」とし、禁錮1年執行猶予3年の有罪判決を言い渡し、
これが確定しました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201405-5.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201405-1.html

 長野地裁判決は「重大事故が発生した」という事実そのものに着目し、
「不適切な指導がなかったら、重大事故は発生しなかった」という原則に立ち返って
判断したもので、スポーツ事故の再発防止につながる意義のあるものです。
 これに対し、大津検察審査会の議決は「木を見て森を見ない」もので、時計の針を
逆回転させるものと言わざるを得ません。

 村川弘美さんは中日新聞の取材に対し、元顧問の不適切な指導と康嗣くんが
亡くなったことの因果関係を解明することは困難とされたことについて、
「分からないならなぜ裁判にかけないのか。公開の場で争ってほしかった」
と訴えています。
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20141115/CK2014111502000012.html
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「剣太の会」in名古屋のお知らせ

[ 2014/11/09 06:27 ]
 2014年11月8日付朝日新聞「記者有論」で中小路徹記者が、

 虐待ともいえるスポーツ指導で重大事故を招いた賠償責任は、学校だけでなく
教師個人も負うべきではないのか――。部活動で中高生の息子を亡くした2組の家族が、
裁判所にそんな訴えを起こし、最高裁にそれぞれ上告中だ。
 一つは2009年7月、滋賀県愛荘町の町立秦荘中1年の柔道部員、村川康嗣さんが
急性硬膜下血腫で倒れ、翌月死亡した事故。初心者だった康嗣さんは、上級生ばかりと
実戦形式の乱取り練習を約50分続けさせられた後、顧問と対戦して返し技を受け、
意識を失った。顧問は日常的に部員たちに平手打ちや尻を蹴るなどしていた。
 もう一つは、大分県竹田市の県立竹田高で同年8月、剣道部主将の工藤剣太さんが
熱射病で亡くなった事故。竹刀を落とした後も竹刀を振るような異常行動を示した後に
倒れた剣太さんに、顧問は「演技するな」と馬乗りになって平手打ちを繰り返すなどの
暴力をふるった。
 一審はいずれも顧問らの過失を認め、町や県に損害賠償の支払いを命じた。
 だが、親たちが求めた顧問個人の責任は、公務員が職務上、違法に他人に損害を
加えた時は「国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる」とする国家賠償法の
規定に基づき認められなかった。控訴審でも棄却された。
 康嗣さんの母、弘美さんはこう話す。「日頃の暴力から部員は恐怖で練習を休みたい
とも言い出せない背景があった。正しい指導法を知らない大人の八つ当たりというべき
行為で、それが教師の職務であるわけがない」。
 剣太さんの父、英士さんと母の奈美さんも「リンチに等しい行為が公務員の職務なのか」
と納得していない。(中略)
 一昨年に大阪の桜宮高バスケットボール部主将が、顧問から受けた暴力が一因で
自殺した事件以降、スポーツ指導の在り方が問われている。2件の上告には、
子を失った親の無念を超えた意味がある。最高裁は教師個人の責任を問う方向で
判例を見直してほしい。

と書いています。

 大津地裁・大阪高裁も、大分地裁・福岡高裁も
「なぜこんな人物を法律で守るのですか?」
という遺族の問いかけに答えてきませんでした。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201410-5.html
 最高裁には真摯な対応を強く求めます。

 そして第27回「剣太の会」が以下のとおり開催されます。

 日時:14年11月15日(土) 12時30分開場
 会場:愛知県スポーツ会館1階大会議室
    〒462-0846 名古屋市北区名城1-3-35【TEL】052-991-9151

 村川さん、工藤さんがそれぞれの思いを語ります。
 また内田良・名古屋大大学院准教授が「教育が生む熱中症」と題して講演します。

 詳細は「剣太の会」フェイスブック
https://ja-jp.facebook.com/pages/%E5%89%A3%E5%A4%AA%E3%81%AE%E4%BC%9A/235348386600798
をご参照ください。

「剣太の会」in東京2

[ 2014/10/16 12:01 ]
 2014年10月4日、第26回「剣太の会」が東京都内で開催され、30人を超える
市民が参加しました。
 損害賠償請求訴訟では勝訴したものの、事故を発生せしめた張本人である
顧問教諭個人の責任は問わないとする判決には納得いかないとして、工藤剣太くんの
両親と同様に最高裁に上告している、滋賀県愛荘町立秦荘中柔道部事故で死亡した
村川康嗣くんの母・弘美さんも登壇し、思いの丈を伝えました。

 この日、康嗣くんの妹がB5用紙4枚にわたる手記を寄せました。
 このなかで、信頼し尊敬し誇りに思っていた兄が柔道部の練習中、顧問教諭(当時)
Iの不適切な指導によって死亡したことによる喪失感を切々と綴り、
「お兄ちゃんじゃなくてわたしが死ねばよかった」
と、一時は自暴自棄になったことも赤裸々に描いています。
 Iは康嗣くんを死に至らしめただけではなく、妹まで生死の境に追いつめたのです。
 「なぜこんな人を法律で守るのですか?」という弘美さんの問いかけに、大津地裁も
大阪高裁も正面から答えることを避けてきました。
 最高裁には明確な回答を望みます。
 弘美さんはいまも、
「顧問教諭は依願退職したのだから、それでいいじゃないか」
「賠償金が得られたのだから、もう十分だろう」
といった周囲の心ない声と戦い続けています。

 14年9月10日の大分県議会定例会では、同県立竹田高剣道部顧問教諭(同)Sと
副顧問教諭(同)Wに、国家賠償法第1条2項に定める求償権を行使しないのか、
という質問が出ました。
 これは当然のことです。
 たとえばSらが交通事故を起こし賠償責任を負ったとしても、これを県費で賄うことは
ありません。
 しかし学校管理下で行われていた剣道部の練習中、Sの暴力によって剣太くんは
死亡しました。
 言い換えれば、Sの暴行がなければ剣太くんが死亡することはあり得ず、この点に
おいて交通事故と何ら変わるところはありませんし、むしろ悪質です。
 その賠償責任を、なぜ大分県民全員が連帯して負担しなければならないのでしょう?
 このシンプルな問いかけに大分県当局は、
「大分地裁判決は『Sらに過失はあった』と認めたが、『重大な過失があった』とは
認めていない」として、求償しない方針だと回答しました。

 剣太くんの両親は
「賠償金が欲しいのではない。『公務員であろうと個人の責任が明白な場合、国賠法の
適用除外とする』と司法が認めれば教師に自制心が働く。これが二度と同様の事故を
起こさせないための、抑止力となることを願っている」と強く訴えました。
 そのうえで
「Sは保健体育の教師だった。教科書には熱中症予防について記載があるし、研修も
受けている。だれよりも熱中症について詳細に知っていなければならない立場だ。
 にもかかわらず起訴しなかった、大分地検の姿勢に疑問を感じている」と述べました。

 大津地検は検察審査会の「起訴相当」議決を経てもなお、再度不起訴処分としました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201407-1.html

 大津検察審査会が強制起訴することを切に願うところです。

秦荘中柔道部事件の遺族、最高裁に署名を提出

[ 2014/08/05 12:25 ]
 共同通信は2014年8月4日付で

 滋賀県愛荘町で2009年、柔道部の練習中に倒れ死亡した町立秦荘中1年の
村川康嗣君=当時(12)=の遺族が、元柔道部顧問の男性に損害賠償を求めた
訴訟で、弁護団が4日、上告審での適切な審理を求める約4千人分の署名を
最高裁に提出した。
 訴訟では、一審大津地裁が従来の判例を踏まえ「公務員の過失による損害は
公共団体に賠償責任がある」と判断し、町にのみ約3700万円の支払いを命じた。
原告側は元顧問について控訴したが、二審大阪高裁も同様に退け、上告した。
 一、二審判決によると、村川君は09年7月、元顧問との乱取り後に意識を失い、
約1カ月後に急性硬膜下血腫で死亡した。

という記事を配信しました。

 大津地裁も大阪高裁も、「国家賠償法の規定にしたがって、元顧問は個人として
賠償責任を負わない」と判断しています。
 これに対し、村川くんの母・弘美さんと弁護団は記者会見で
「国賠法には公務員個人の責任を免責するとの明文規定はない。にもかかわらず
最高裁は免責すると判断しているが、その理由について説明したことはない」とし、
「検察官が『リンチ』とまで表現した指導法が、『公務の執行』といえるのか?
大津地裁も大阪高裁も説明していない。最高裁には、この素朴な疑問に答えてほしい」
と訴えました。

 大津地裁判決は元顧問が不適切な指導を行ったとし、その過失責任を認めて
いますが、賠償責任についてはうやむやにしています。
 弘美さんは
「安全であるべき部活動の場で、指導の名を借りた暴力がはびこっている。こうした
異常行動が許されるのか?を問うている」としたうえで、
「不適格な指導者を排除することで、事故・事件の撲滅につなげたいと願っている」
と力説しました。

 なお全日本柔道連盟は、14年7月30日に開催した全国柔道事故被害者の会
(村川義弘会長)との協議会について、ホームページで報告しています。
http://www.judo.or.jp/p/33622

 全柔連は「事故ゼロ」の実現に向けて全力を尽くすと表明しています。
 これは弘美さんの訴えと軌を一にするものです。
 最高裁が弘美さんの問いかけに真摯に答えることを、切に希望します。

秦荘中柔道部暴行致死事件、遺族が集会を開催

[ 2014/07/29 19:45 ]
 2014年7月28日付京都新聞は

 滋賀県愛荘町の秦荘中で09年に柔道部員の村川康嗣君=当時(12)=が
亡くなった部活動中の事故から、29日で5年を迎える。遺族は今も悲しみが
癒えない中、再発防止を願い活動を続ける。柔道部元顧問の責任を求める
民事訴訟の上告審が続く中、遺族が「公務員は個人責任を問われない」とする
判例解釈の変更を求めて集めた署名は3千筆を超えた。「二度と柔道事故が
起こらないように」との思いを込め、8月4日に最高裁へ提出する。
 「元顧問は暴行まがいの指導をしたのに、公務員だからといって責任が
問われないのはおかしい」。
 村川君の母弘美さんは27日に東京都内で開いた集会で訴えた。部活中の
事故をめぐる過去の民事訴訟で、職務上の事故で公務員個人の責任を認めた
判例はないという。
 弘美さんは「今も元顧問から謝罪はない。反省もしていない指導者が放置され、
また同じ事故を起こすかもしれない」と話す。
 村川君は09年7月29日、部活中に元顧問に技を掛けられた後、意識を失い、
約1カ月後に急性硬膜下血腫で死亡した。遺族は11年3月、町と元顧問に
損害賠償を求めて提訴。昨年5月の大津地裁判決は町側に約3700万円の
支払いを命じたが、元顧問については過失を認めたものの「国家賠償法上、
公務員個人の責任は問わない」と退けた。
 このため、遺族は元顧問の個人責任に訴えを絞って控訴したが、大阪高裁も
棄却。遺族は最高裁に上告した。(後略)

と報じました。

 この集会には約70人が参加しました。
 内田良・名古屋大大学院准教授は記念講演で、
「『体罰」という言葉を使っているから事実認定に混乱を招く。暴行・殴打など
具体的な行動レベルの言葉に置き換えるべきだ」との認識を示しました。
 その例として、秦荘中柔道部の元顧問が12年12月4日大津地裁で、
「『もっと頑張れ』という気合付けでたたいたことはあるが、体罰とは思っていない」
と主張したことをあげておきます。
 内田氏は
「柔道の特性として、乱取りという練習形態がそのまま暴力に転化しうるが、
『指導の一環』として片づけられてきた。リスクを無視して教育的価値を説く体質が
重大事故を招いてきた」と警告を発しました。

 南部さおり・横浜市立大助教は、大阪高裁が村川さんの控訴を棄却した判決
において
「たとえ、『身体に外傷が生じるおそれのある暴行』や、『生徒のコンディションに
配慮しなければ身体・健康障害を生じうる練習方法を強制する』ものであっても、
部活動の『指導』である以上、公務員の職務執行に相当するから個人として
賠償責任を負わない」としたことを指摘し、
「大阪高裁は虐待を容認したに等しい」と厳しく批判しました。
 そのうえで、
「最高裁がこの判断を維持するのであれば、危険な指導方法や不適格な指導者を
排除することができず、結果として安全な部活動を実現することが困難になる」
との危機感を表明しました。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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