兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

全国学校事故・事件を語る会、文科省に要望書を提出(その3)

[ 2015/09/18 06:48 ]
 「全国学校事故・事件を語る会」は今回、「現場対応」という概念を初めて示し、
有識者会議が検討課題としている「適切な事後対応」には精緻な事実解明と、
これに基づく実効性ある再発防止のための指針とともに、「現場対応」が不可欠
だと提言しています。

 具体的には

・被害者と家族の権利を保障すること
・事故や事件を目撃したり、事故や事件が発生するに至る事情を知っている
児童生徒に対する支援と教育的措置
・関係教職員に対する支援
・社会的信頼の確保等、学校現場で発生する課題への対応

をあげています。

 内海氏らは
「教職員や教育委員会職員の本務は教育活動やそれをサポートすることであり、
『重大な事故・事件が発生した際、いかに対応すべきか』という教育も訓練も
受けていない。できないことをやれと言われているに等しく、混乱し責任回避に
走るのは必然的な結果と言わざるを得ない。こうした現状に鑑みれば、常設機関
としてのコーディネーターが必要」
と提言した理由を示し、
「いかなる事故や事件でも被害者の救済が最優先されるべきことは明らかだ。
コーディネーターが『責任をもって対応する』姿勢を示すことで、被害者や家族との
信頼関係を維持することができる」
との認識を示しました。
 そのうえで
「被害者や家族との信頼関係が崩壊することで、被害者・家族と加害者、
学校関係者らとの関係調整が困難になり、事態を収束させることができなくなる。
 その結果、学校教育に対する社会的な不信感を招いているのは看過できない。
 信頼回復には、保護者や地域住民に対する情報公開と再発防止に関する説明が
不可欠だ」
と強調しています。

 15年8月30日付河北新報は

 三つの注意事項が生徒たちの心を再び波立たせた。
 「臆測で物を言わない」「個人情報は出さない」「個人情報を出すと名誉毀損になる」
 いじめを苦に自殺した仙台市立中1年の男子生徒=当時(12)=が通っていた
中学校。市教委による事実関係の公表から4日後の25日、教諭たちが生徒に示した
のは真実ではなかった。「事実上のかん口令」と生徒、保護者の多くが受け止めた。
 「うちと決まったわけではない」(教頭)。
 「本当の事が知りたい」という生徒や保護者の切実な願いに、学校側はかたくなな
態度を崩さない。
 校長が自校であったいじめ自殺に触れないまま、「命の重み」を説いた24日朝の
臨時全校集会。ある生徒は、いじめに関与したとみられる生徒たちに反省するそぶりが
ないことを知り、「もう駄目」とショックで寝込んでしまったという。保護者は「先生たちは
まるで人ごとのような態度。子どもたちは何を信じていいか分からなくなっている」と嘆く。
 インターネット上では、学校名や所在地など真偽不明のさまざまな情報が飛び交い
始めた。真実を明らかにしない市教委と学校の対応が臆測に次ぐ臆測を呼び、
ネット空間の過熱に拍車を掛ける。
 自殺した男子生徒と同級の中学2年生たちの間でも、無料通信アプリLINE(ライン)で
いじめに関する詳しい情報が出回り、動揺が広がっている。

と報じています。

 内海氏はこれを、
「生徒や保護者、地域住民から不信を招く典型的な対応」
と批判しています。
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全国学校事故・事件を語る会、文科省に要望書を提出(その2)

[ 2015/09/18 06:43 ]
 今回の要望書提出に関連して、15年9月16日付神戸新聞は

 民間団体「全国学校事故・事件を語る会」が16日、文部科学省などに対し、
いじめや体罰、部活動中の事故への対応に関する要望書を提出する。
同省の有識者会議が本年度中にまとめる事後対応の指針に、被害者や遺族の
視点を盛り込むよう求める。同会は「徹底した事実解明と、専門知識を持った
コーディネーターによる現場対応が必要」と指摘する。

 「遺族の気持ちに寄り添うことなく、保身最優先だ」
 8月末、神戸地裁。法廷で父が当時の校長に言い放った。
 川西市の兵庫県立高校2年の男子生徒=当時(17)=が12年9月、始業式前日
に自殺。その後、同級生3人から「ムシ」と呼ばれるなどのいじめを受けていたことが
判明した。両親が校長や同級生、県などを相手取り、損害賠償を求めた裁判での
一幕だった。
 両親は校長らとやり取りを重ねるうち、不信感が募った。「不慮の事故」として
生徒に公表しようとしたことや「遺族は理解してくれない」という教員の発言で、
「いじめを隠ぺいしようとしている」と考えるように。
 同会代表世話人の内海千春さんは「事故や事件の被害者が常に体験してきたこと」
と話す。
 遺族らが突然の出来事に戸惑う中、学校側は「子どもへの二次被害を防ぐ」
「学校は犯人捜しをするところでない」などの理由で徹底的な調査をせず、沈静化を
図ろうとするという。
 元中学教諭の内海さんは「もはやシステムエラー」と表現。事故などが起こると、
学校側にとって事実調査は自らの責任を明らかにすることになり、賠償責任も生じる。
「訓練も受けていない教員が、きちんと被害者に対応しながら事実解明することは
不可能に近い」。その結果、当事者や遺族が深く傷つく。
 文科省には、国や県が事後の現場対応を専門とする機関や組織(コーディネーター)
を設けるよう要望。内海さんは「航空事故などと同じように、専門知識を持った機関が
原因を調査し、被害者にも対応する。その上で真実を明らかにすることが、二度と
事故や事件を起こさないことにつながる」と強調する。

と伝えています。

 内海氏らは
「被害者や家族が学校や加害者に強い処罰感情を持つようになるのは、事故・事件が
発生したことだけでなく、事後対応で学校や加害者が自らの責任を回避する言動に
終始することに起因することを改めて認識すべきだ」
と訴えています。

(この項、つづく)

全国学校事故・事件を語る会、文科省に要望書を提出

[ 2015/09/18 06:38 ]
 「全国学校事故・事件を語る会」の代表世話人、内海千春氏と宮脇勝哉氏は
2015年9月16日文部科学省を訪ね、学校管理下で発生した事故や事件の
事後対応について検討している有識者会議に、要望書を提出しました。
 これは15年2月、大阪教育大が文科省の委託を受け「学校事故対応に関する
調査研究調査報告書」を公表しましたが、その内容が「あまりにも被害者と家族の
実感と乖離している」ことを受けたものです。

 上記報告書によると、「当該の事件・事故災害発生直後、被害者の遺族・家族への
対応は適切に行えたか」との設問に、回答した学校関係者の82.7%が「とても思う」
と認識し、同66.4%が「学校側からの説明には、被害者家族の理解が得られている」
と評価しています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/__icsFiles/afieldfile/2015/03/25/1339096_01.pdf

 しかし「語る会」が15年6月から8月にかけて、会員を対象に大阪教育大が行った
調査と同様の設問でアンケート調査を実施したところ、41人から回答がありましたが、
「事故・事件の発生後1週間以内に学校側が適切に対応してくれたと考えている
被害者や遺族は一人もいなかった」
ということです。
 設問は
http://katarukai.jimdo.com/お知らせ/
をご参照ください。

 要望書は大阪教育大の調査報告書について、
「対象となった832件のうち、公立校でその3割、私立校で約半数が調査に協力して
いない。その理由として、事後対応の様子を明らかにすることがはばかられる事案で
あった可能性も考えられる」
とも指摘しています。

 内海氏らは同日、文科省スポーツ・青少年局の和田勝行・学校健康教育課長に、
要望書とともに回答があったアンケート全件を提出しました。
 和田氏はこれを受理し、
「当事者によるアンケートはたいへん重要なものだと思っている。(9月25日に
行われる次回)『学校事故対応に関する調査・研究』有識者会議にも提出するか、
渡邉正樹座長(東京学芸大教授)とも相談する」
と明言しました。

(この項、つづく)

第三者機関のあり方について(その28)

[ 2014/05/11 20:52 ]
 NHK松山放送局は2014年5月8日、

 おととし7月、西条市の加茂川で幼稚園の園児31人と教諭8人が水遊びをしていた
ところ、川が増水して園児3人が流され、このうち当時5歳の男の子が流されて死亡
しました。
 亡くなった男の子の両親は、事故の原因を究明し、同じような事故の再発を防ごうと、
学校の安全や法律の専門家など3人でつくる第三者委員会を独自に立ち上げ、8日、
委員らが、西条市の事故現場を視察しました。(中略)
 第三者委員会は会見を開き、委員長を務める京都精華大学の住友剛教授が、
幼稚園が学校法人の運営する私立であったことを指摘し、「事故や事件が起きた
場合、公立では行政が第三者委員会を立ち上げるが、私立はその原因を究明する
システムが無い。この第三者委員会では、子どもの立場に立って、丁寧に話を聞き、
二度と同じような事故が起きないようにしたい」と述べました。(後略)

と伝えました。

 公立であっても、行政が第三者委を設置するとは限りません。
 07年5月24日、龍野高女子テニス部の練習中に発生した事故について、
保護者らが2度にわたって第三者調査委の設置を要望したにもかかわらず、
井戸敏三・兵庫県知事が、いずれも拒否したことは既報のとおりです。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201212-6.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201307-9.html

 また14年5月9日付山形新聞は

 学校でのいじめに悩んでいた天童市の中学1年の女子生徒=当時(12)=が
自殺したとみられる問題で、遺族が8日、市教育委員5人と初めて会い、第三者に
よる調査委員会について公正、中立を担保するよう求めた。佐藤通隆教育委員長は
「事件を防げなかったことを申し訳なく思う」と陳謝した上で、遺族の意向を反映した
設置要綱に修正するよう協議を進め、早期に第三者委員会を設置することを約束した。
(中略)
 第三者委員会の設置要綱は、市教委学校教育課などが遺族の了承を得ずに策定し、
臨時教育委員会で可決された経緯がある。
 会議後の取材で、当時の判断を問われた佐藤教育委員長は「遺族との話し合いや
情報共有が不足していたことは反省している」と述べた。一方、教育委員による
この日の協議内容は明らかにせず、事務局の設置部署やいじめアンケートの開示と
いった要望に応えるかについては「慎重な議論が必要」と明言を避けた。

と伝えています。

 また14年5月9日付河北新報は

 東日本大震災で児童と教職員計84人が死亡・行方不明になった宮城県石巻市
大川小の津波災害をめぐり、児童23人の19家族が市と宮城県に約23億円の
損害賠償を求めた訴訟で、亀山紘市長は8日、河北新報社の取材に「和解はしない」
と答え、争う姿勢を明らかにした。第1回口頭弁論は19日、仙台地裁で開かれる。
 亀山市長は「提訴内容は納得できない。裁判でわれわれの主張をしていく」
と語った。(中略)
 大川小の津波災害に関しては、第三者の事故検証委員会が「避難の意思決定の
遅れと避難場所を北上川堤防沿いに選んだことが直接的要因」とする最終報告書を
市に提出している。

と報じました。

 大川小事故検証委がまとめた報告書については、遺族から

火事の現場を調べた後、「この火事の原因は『火』である」と言うことと何ら
変わらないように思います。

という指摘があるほど杜撰なものです。
http://311chiisanainochi.org/?p=195

 「全国遷延性意識障害者・家族の会」の桑山雄次会長が
「事故が起これば調査をするのがあたりまえで、調査しないなど非常識きわまりない」
と批判しているとおりであり、
「『あってはならないこと』は『なかったこと』にする」という、学校と教委の無責任
体質が、事故・事件の再発を招いているのです。
 そしてこれこそが、被害者と家族の思いを踏みにじるものです。

 「全国学校事故・事件を語る会」は6月1日9時30分からシンポジウム、
「学校事故・事件の事後対応の過去・現在・未来」を開催します。
 くわしくは
http://katarukai.jimdo.com/お知らせ/
をご参照ください。

第三者機関のあり方について(その27)

[ 2014/04/28 08:39 ]
 2010年10月23日、群馬県桐生市立新里東小6年生だった上村明子さんが
自殺した問題で、前橋地裁(原道子裁判長)は14年3月14日、いじめと自殺の
因果関係を認め、校長や担任教諭ら学校側の責任を指摘し、桐生市と群馬県に
計450万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
 桐生市と群馬県は判決を不服として控訴しました。

 それはさておき14年3月15日、わたしが桐生市に
「再調査し、第三者委員会が作成した調査報告書の記載内容について訂正する
考えはないのか」と問い合わせるメールを送ったところ、桐生市教育委員会
学校教育課教育支援室教育支援係から、14年4月4日付で以下のとおり回答が
ありました。


 回答が遅れてしまったことに深くお詫び申し上げます。
 ご指摘の第三者委員会の調査につきましては、判決の中で事実誤認がありました
ので、第二審で明らかにしていきたいと考えております。そのため、現在は審理の
動向を注視していきたいと思います。


とのことです。

 前橋地裁判決は第三者委について
「重要な資料を踏まえず、必要な補足調査も行われていないから、適正な調査報告が
されたということはできない」とし、
「第三者委が新たな事実調査を行わず、第三者委を設置したことで新たに判明した
事実は存しないのに、『家庭環境等の他の要因も加わり自死を決意して実行した』
との結論を示した」ことは、桐生市が保護者に対する
「調査報告義務を果たしたということはできない」と厳しく批判しています。

 NPO法人・ジェントルハートプロジェクトの武田さち子理事は、第三者委について
「委員の氏名を公表しないなど、遺族は当初から不信感を抱いていた。しかも桐生市の
顧問弁護士が委員になっていた」ことを明らかにしたうえで
「調査結果をどこまで遺族に開示するか、第三者委は判断せず桐生市に一任した。
 報告書はA4用紙28枚だったが、桐生市は弁護士が要約したA4用紙2枚の概要
だけを公表し、遺族にも概要を渡したにすぎない」と、その中立性・公正性・透明性に
疑問を呈しました。
 そのうえで
「判決は、各地で乱立している第三者委の調査のあり方や、第三者委の調査結果を
鵜呑みにすることの危険性に警鐘を鳴らしている」と指摘しました。

 武田さんは
「従来どんないい加減な調査報告であっても、学校や教委の裁量権の範囲とされていた。
 しかし前橋地裁判決は、学校が両親に事情を聞いていないことを重くみて
『調査報告義務を果たしていない』と判断した。校長が作成した報告書については
『組織防衛を目的としたもの』とまで書いている」と評価し、
「多くの学校裁判で、原告側が学校や教委の隠蔽工作を訴えても顧みられなかったが、
前橋地裁はきちんと取り上げた。今後は学校や教委が積極的に情報開示することを
期待したい」と述べています。

 そして
「判決文には、原告代理人弁護士は1人の名前しか書かれていないにもかかわらず、
被告代理人は13名もの弁護士が名を連ねている。
 被告に、この時間と労力、熱心さと予算があるなら、明子さんが亡くなった直後の
調査と再発防止にこそ、使ってほしかった」と批判しています。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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