兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

17年度第4回日体大研修会(その3)

[ 2017/12/19 06:21 ]
 10年6月7日、同学年の男子生徒4人から執拗ないじめを受け、
川崎市内の自宅トイレで硫化水素ガスを発生させて自死した
篠原真矢くん(当時中3)の母・真紀さんは、真矢くんが
「教室で休み時間に、女子生徒もいる前で4人に羽交い絞めにされ、
下着まで脱がされるという屈辱を味わわされていた」
ことを明らかにしました。
 このような壮絶な経験を、思春期の男子が家庭で話すわけもなく、
したがってこうした事実は市教委の職員2人が綿密な調査を行った結果、
判明したものです。

 真紀さんは
「市教委職員は毎週末自宅を訪問し、『現時点で明らかになっていること』
について、欠かさず中間報告をしてくれた。2人とも『夢に真矢くんが出てきた』
と話すくらい真摯に向き合ってくれた」
とし、上記のいじめに関しても一人の女性教諭が現場を目撃していながら
「『あんたたち、何してるの!』と声をかけただけで重大事案と判断せず、
男子生徒らの問題行動を野放しにしていた実態についても解明してくれた」
と述べました。

 そのうえで、
「市教委職員2人がまとめた記録は3000ページにも及ぶ膨大なものだった。
 その結果を報告書に集約してくれたが、わたしたち家族に向かって
『これだけしか調べられませんでした』と泣きながら手渡してくれた。
 川崎市にできることが、ほかの自治体でできないはずはない」
と自らの経験を語りました。
 そして
「日体生の皆さんは多くが教員志望だと聞いているが、いじめはクラスでも
部活でも起こりうる。
 生徒のそばにいるのは先生だし、生徒が頼りにできるのも先生だ。
 相談しやすい環境や関係性を築いてあげてほしい」
と呼びかけました。

 日体大には学校事故・事件の被害者家族や、現職教員も数多く参集して
いましたが、
「川崎市や名古屋市の対応は、わたしたちの経験とは正反対だ。
 こうした対応がなされていたら、提訴することはなかった」
「学生のうちに当事者の生の声に接することができるのは貴重な経験だし、
彼らが真剣に耳を傾けていたのが強く印象に残った。
 こうした取り組みは、多くの大学で実践してほしい」
という意見が異口同音に聞かれました。

 南部さおり・同大准教授は
「今年度は今回が最後だが、来年度も引き続き実施していく」
と明言しました。
スポンサーサイト

17年度第4回日体大研修会(その2)

[ 2017/12/17 22:13 ]
 11年6月15日、名古屋市立向陽高校柔道部の練習中に上級生から
大外刈りをかけられた際に頭部を強打して急性硬膜下血腫を発症し、
同年7月23日に亡くなった倉田総嗣くん(当時高1)の母・久子さんは
「事故発生当日、深夜になって当時の校長が救急搬送された病院にかけつけ、
開口一番『学校で起きたことはすべて学校の責任です』と明言し、深々と
頭を下げてくれた。この一事をもって学校との信頼関係が崩壊せずに済んだ」
と述べました。

 そのうえで、学校事故の被害者家族が望むことは
「道義的責任における誠意ある謝罪、迅速な事故原因の究明と納得のいく説明、
再発防止策の提示と実践の3点だ。向陽高校はこの要望に応えてくれた」
とし、
「当時の校長は『保護者からお預かりした生徒を、お預かりしたときの姿のまま
家庭にお返しするのが学校の使命』と話していた。
 こうした信念を持った校長だったからこそ、誠実に対応してくれたのだと思う。
 入院中は校長・教頭・柔道部顧問・担任の4人が、それぞれ都合に合わせて
毎日午前と午後の2回、休日も1回は病室に足を運んで、総嗣の枕元で声を
かけてくれていた。
 ほかの先生たちからも、励ましの声を吹き込んだMDや手紙をもらった」
と述べました。

 久子さんは、
「校長になるということは個人の名誉を手に入れることではなく、重大な責任を
引き受けるということ。その覚悟がない人間が校長になってはいけない」
と訴えました。

 倉田さんの事案については
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201511-1.html
および
http://judojiko.net/apps/wp-content/uploads/2016/07/bukatsu_anzen.pdf
の51ページに、詳細が記載してあります。
 併せてご参照いただけましたら幸いです。


(この項、つづく)

17年度第4回日体大研修会

[ 2017/12/16 07:47 ]
 日本体育大学スポーツ危機管理学研究室が主催する
「学校・部活動における重大事件・事故から学ぶ研修会」。
 2017年度では最終回となる第4回が17年12月14日18時00分から
20時30分まで、同大世田谷キャンパス記念講堂で開催されました。
 同日は学生や教職員ら学内関係者約250人に加えて、全国各地から
市民も約50人が集まり、当事者の声に耳を傾けました。
 今回は不幸にして事件・事故が発生したあとの学校や行政の対応について、
3人の遺族が自らの経験について語りました。

 徹底的に事実を隠蔽しようと画策し、教員の責任回避を至上命題とした
北海道の事案と、教員と教委の職員らが事実を解明し原因を究明し、
亡くなった生徒の命を無駄にしないよう懸命に努力した川崎市と名古屋市の事案。
 その対照ぶりが明らかになったことが、今回の特徴です。

 最初に登壇したのは13年3月3日、当時北海道立高校1年生で、所属していた
吹奏楽部の顧問教諭から繰り返し暴言を吐かれて部内で孤立させられ、
ついには自死するに至った悠太くんの姉です。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201711-1.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201710-3.html

 彼女は弟の死について
「同学年の部員とトラブルはあったが、顧問教諭は相手方の生徒の言い分を
鵜呑みにし、悠太には反論の機会すら与えず、弟の気持ちや背景について
配慮することもなかった。
 多くの人があたたかいベッドで死んでいくのに、わたしの大切な弟は、
死にたくなるほどのひどい扱いを受けて、たった一人で泣きながら、寒くて暗い
地下鉄で死んでいったということが、本当に悲しいです」
と涙ながらに訴えました。

 同高はその後、全校生徒を対象にアンケート調査も実施しましたが、これを
実施する以前の13年3月8日の段階で
「部内でいじめはなかった。顧問教諭の指導は適切だった」
と職員会議で決議し、これを公式見解として押し通しています。

 そして17年11月26日付朝日新聞の記事にもあるとおり、このアンケートの
内容を家族に開示しないまま破棄していた、という事実が判明しています。
 エビデンスが存在しない以上、軽々しく論評するわけにはいきませんが、
「よほど家族には開示したくない内容が記載されていたのだろう」
と推定できる、と言わざるを得ません。

 こうした学校の対応について、悠太くんの姉は
「弟が生きていたことを、死後でさえ否定されたような気がした。
 いま振り返っても、つらかった時期のことしか思い出せない。仲のいい姉弟
であり家族だったのに、楽しかった思い出が消えてしまいそうで怖い」
と、その心情を吐露しています。


(この項、つづく)

日体大研修会「命・人権について考えるシンポジウム」

[ 2017/11/06 20:49 ]
 日本体育大学スポーツ危機管理学教室は2017年11月3日、
「命・人権について考えるシンポジウム」を同大健志台キャンパスにて開催し、
学内外から約60人が参加しました。

 同日は、「全国学校事故・事件を語る会」の代表世話人・宮脇勝哉氏が講演し、
兵庫県川西市立中ラグビー部の練習中、顧問教諭(当時)の不適切な指導によって
熱中症を発症し、多臓器不全で亡くなった長男・健斗くん(当時13歳)について
「無知と無理が事故を招いた」
と指摘し、健斗くんの命を無駄にしたくないという思いから各方面に働きかけた結果、
「天気予報で『熱中症危険情報』を伝えるようになったことと、文部科学省と
独立行政法人・日本スポーツ振興センターがまとめた『熱中症を予防しよう』
というリーフレットを全国の幼稚園と小中高校、および高専に配布したことは、
息子に褒めてもらえるのではないか、と思っている」
と述べました。

 「『指導死』親の会」共同代表の安達和美氏は、
「生徒指導は、『子どもの権利条約』が規定している『子どもの最善の利益』のために
行われるべきものだが、教師の暴言暴行によってPTSD(心的外傷後ストレス障害)
を発症したり、死に至るケースが多数ある」
とし、
「子どもは間違いながら成長するもの。親も教師も迷い、悩みながら子どもとともに
成長していくのではないか。
 しかし『子どもの権利条約』の理念が、教育現場には全く浸透していない」
と訴えました。

 同会共同代表の大貫隆志氏は、17年3月14日に福井県池田町立中2年生
男子が自死した事件について
「指導死の典型的な事例だ。教師は暴力をふるってはいないが、執拗に暴言を
繰り返したことで生徒を自死に至らしめた。
 本件は人目がある場面で行われていたので、目撃した生徒らから証言が
得られたが、多くの場合は密室で行われるので、学校は事実を隠蔽しやすい」
と指摘しました。
http://digital.asahi.com/articles/ASKBK7L2TKBKUTIL05Z.html

 そのうえで
「生徒指導は教員個々の判断によって、計画性がないまま行われるので、
十分な教育的配慮に基づいた生徒指導教育活動とは乖離したものになる。
 『厳しい指導』とは、大声で生徒を罵倒し人格を傷つけることなのか?
静かな口調で説諭し、納得を得ようとしないのであれば、それは教員の手抜きだ」
と述べました。

 大貫氏の指摘は、日体大が16年12月15日付で発行した
『スポーツ指導者のためのガイドライン』に
「教師が生徒に体罰を加える時、多くの場合理性的な行動としては行われません。
感情に任せてふるわれる暴力は、コントロールが困難となります。
 もしそこでの暴力が原因となって、子どもが心身に深い傷を負ったり、死に
追いやられたりした場合、それでも『信頼関係』の下での『愛のむち』として
許されるのでしょうか」
という記述があることと軌を一にするものです。

 日体大の「学校・部活動における重大事件・事故から学ぶ研修会」、次回は
12月14日17時30分から、同大世田谷キャンパス記念講堂で行われます。
 学外の方は、予約が必要です。
 お問い合わせは日体大総合スポーツ科学研究センター
(03)5706-0931(担当:中嶋・國嶋)まで

日体大研修会のお知らせ

[ 2017/10/24 16:42 ]
 日本体育大学スポーツ危機管理学教室は2017年11月3日
13時30分から16時30分まで、「命のメッセージ展」共同企画
「日体大 命の授業」を、同大健志台キャンパスにて行います。
http://www.nittai.ac.jp/access/yokohama.html

 当日は「全国学校事故・事件を語る会」の代表世話人・宮脇勝哉氏が
記念講演を行い、「『指導死』親の会」共同代表の大貫隆志氏・安達和美氏
らが登壇しシンポジウム「指導死」を開催します。

 南部さおり・同大准教授は
「本研修会では『安全だと信頼して』大切なわが子を託した学校で、
子どもや大切なきょうだいが傷つけられ、命を落とすという、決して
あってはならない悲しい体験をされた方々にお話を頂きます。
 登壇者の方々の気持ちは一つ。『教員志望の日体生が、将来決して
加害者になることがないように、自分たちのつらい経験を少しでも
役に立てて欲しい』ということです」
とのメッセージを発しています。

 一般の方も参加できますが、事前申込が必要です。
 お問い合わせ・お申込みは、
日本体育大学 総合スポーツ科学研究センター
TEL:03-5706-0931(担当:中嶋・國嶋)まで。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

最新トラックバック