兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

全国学校事故・事件を語る会、シンポジウムを開催(その3)

[ 2017/05/24 07:17 ]
 「全国学校事故・事件を語る会」の代表世話人、内海千春氏は議論を総括するなかで
「学校・教委と、被害者・家族を比較すれば、情報量・人的パワー・資金力・発信力
において10対1、100対1という圧倒的な格差がある。『中立性』というが、弱者の
視点に立って被害者を救済するという姿勢を担保しない限り、『中立』ではありえない
のではないか」
と、現状における問題点を指摘しました。
 さらに調査委は誰のためのものなのか?誰のためのものであるべきなのか?
と問いかけ、
「被害者救済を最優先課題とし、被害者と家族に寄り添うものであるべきだ。
 このためには、設置要綱において調査委の目的と所掌事務を明確化しなければ
ならないし、委員の人選においても被害者・家族の意向を反映させることは不可欠だ」
と述べました。

 参加者からは
「調査委が被害者と家族に寄り添うとすれば、それは『人間の尊厳を守る』
ことに行き着く。委員がこの感受性を有しているか否かに尽きる」
といった意見や
「報告書が公表されても、その内容に被害者と家族が納得できないものであれば、
必ず再調査を行うという方向にかじを切るべきだ」
「調査委が報告書を公表したところで、その内容を教育現場にいかに反映させるか?
というプロセスが定まっていない。したがって『報告書は出たが、出しっぱなし』
というのが現実だ」
という意見。
 さらに
「不審死の場合は、全件司法解剖して死因を特定しておくべきだ」
という意見も出ました。
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全国学校事故・事件を語る会、シンポジウムを開催(その2)

[ 2017/05/24 07:12 ]
 奈良県橿原市立中1年生女子生徒が2013年3月28日、いじめを苦に自殺した
事件について、母親が自らの経験を語りました。
 母親は、担任や学年主任、部活動の顧問ら複数の教諭がいじめに関する情報を
共有していながら事態を放置し、保護者にも伝えなかったために
「未然に防げたはすの自死事案が発生した」と告発しています。

 にもかかわらず橿原市は、森下豊市長、吉本重男教育長らが同市の顧問弁護士
だった北浦一郎氏(大阪弁護士会)を第三者委に送り込み、同氏に委員会の運営を
主導させることで事実を隠蔽し、「母親の虐待が自死の原因」と事実ではないことを
捏造し、これを流布することで学校側が負うべき責任を家庭に転嫁しようと画策しました。

 しかし、この試みは旧委員会の委員らが内部告発し、旧委員会を解散に追い込む
ことで頓挫しました。
 その後、出口治男弁護士を委員長とする新委員会が発足し、橿原市の姿勢を
痛烈に批判したことは既報のとおりです。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201310-3.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201504.html

 母親はシンポジウムで、
「情報の隠蔽・歪曲は、被害者と遺族に対する重大な人権侵害だ」
と訴え、
「加害生徒らから、謝罪と反省の機会を奪わないでほしい」
と要望しました。
 そのうえで、罰則規定が整備されないと「いじめ防止対策推進法」や、
文部科学省が17年3月に公表した「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」
が有効に運営されない、と指摘しました。

 12年7月31日、教師からの指導を受けた直後に自死した新潟県立高校3年生
男子生徒の父親は、
「第三者委が設置される場合、その設置要綱が生命線」
と強調しました。
 当初、新潟県教委は委員の選任についても遺族側の推薦は
「公正性・中立性・客観性に欠けるため認めない。公正性・中立性・客観性が
担保されているかどうかは、県教委が判断する」
としていました。

 当然ながら遺族側が了承できるものではなく、粘り強く交渉した結果、
調査委の所掌事務として
「原因究明と学校・県教委の事後対応の検証」
と明記させたことが大きな意味を持った、と振り返りました。
 この結果、16年7月25日付で、第三者調査委が調査報告書を県教委に提出し、
新潟県は16年8月31日付で公表しました。
http://www.pref.niigata.lg.jp/kyoikusomu/1356782190163.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-category-28.html

 父親は、同級生らの多くが高校卒業後、進学などで地元を離れていたにも
かかわらず、委員らが自ら事情聴取を行ったことが調査に2年半を要した
大きな要因だと指摘したうえで、
「遺族がここまで苦労しないと正当な調査委は設置できないのか、と疑問に思う。
遺族の理解と同意を得られない調査委はあってはならない」
と述べました。
 調査委のスタンスについては
「常に遺族の心情を理解し、最後まで中立・公正であり続けることこそ、
本来の第三者委員会のあるべき姿」
と、評価しています。

(この項、つづく)

全国学校事故・事件を語る会、シンポジウムを開催

[ 2017/05/23 21:48 ]
 「全国学校事故・事件を語る会」(代表世話人:内海千春氏・宮脇勝哉氏)は
2017年5月21日、神戸市内でシンポジウム
「被害者・遺族から見た第三者委員会の課題」を開催しました。
 前日の交流会と合わせて、2日間でのべ180人を超える参加者が
全国各地から集まりました。
 同会は、今回のシンポジウムを「現状の課題を洗い出す手続き」と
位置付けており、8月26-27日に「神戸ホテルフルーツ・フラワー」で
開催する次回シンポジウムで課題を整理する、としています。

 冒頭、渡部吉泰弁護士(兵庫県弁護士会)が、学校事故・事件の調査に
あたる第三者委員会の設置にあたっては、被害者が権利の主体だとし、
「意見を表明する権利とともに、第三者委が得た情報にアクセスする権利を
担保することで被害者を支援する視点を確保すべきだ」
と提言しました。

 このあと学校事故・事件の被害者遺族で、第三者委から報告を受けた
3つの事例について当事者から報告がありました。

 14年1月9日、兵庫県三木市立緑が丘中1年生だった北芝隆晴くんが、
同校4階教室の窓から転落して死亡しました。
 母親の嘉代子さんによると、学校は事故に関する調査をせず、三木市が
設置した第三者委に丸投げしました。
 嘉代子さんは、委員について
「市は『公平に選出した』というが、選出基準も遺族には示しておらず、
なにを基準に公平というのかわからない。事故後もうろうとしている遺族に
紙を示して意見を求められても、正常な判断ができる状況ではなかった」
と述べています。
 14年1月24日には第三者委(委員長:中村晴信・神戸大大学院教授)の
初会合が開かれ、同年6月20日には報告書を発表するなど、きわめて
短期間でことが進んだ結果、「インフルエンザなどウイルス性疾患が原因
であり、教師と離れた瞬間に発症し重症化したため、学校に責任はない」
と結論づけています。

 これについて嘉代子さんは
「三木市の第三者委は市教委のための組織でしかない。報告書の記載
内容は学校を守るために、もっともらしい話を作り上げたとしか思えない」
と厳しく批判し、その根拠として隆晴くんが転落する直前の体育の授業で、
持久走を走り終えたときの目撃証言や、搬送先の病院で医師が熱中症の
可能性に言及していたことなどを指摘しています。

 第三者委は、全校生徒と保護者を対象にアンケートを実施しましたが、
その結果は開示していません。
 北芝嘉代子さんは、自身が生徒たちから得た証言と報告書の記載内容に
大きなギャップがあることから不信感を抱き、「親の知る権利が担保されていない」
との思いからアンケートの開示を求めていますが、三木市は頑として応じない
ままです。
 このため、再調査とアンケートの開示を求める署名活動を続けているほか、
神戸地裁で損害賠償請求訴訟が継続中です。

(この項、つづく)

「学校・部活動における重大事件・事故から学ぶ研修会」のお知らせ

[ 2017/05/18 18:34 ]
 日本体育大学は、2017年度も
「学校・部活動における重大事件・事故から学ぶ研修会」を開催します。
 第1回は6月30日(金)17時30分~20時00分、日体大世田谷キャンパス
記念講堂で行われます。
http://www.nittai.ac.jp/access/index.html

 講師は滋賀県愛荘町立秦荘中柔道部の練習中に頭部外傷を受傷して死亡した
村川康嗣くんの母・弘美さん。
 そして大分県立竹田高剣道部の練習中に熱中症による多臓器不全で死亡した
工藤剣太くんの両親・英士さんと奈美さんです。
 
 今年度は10月13日(金)、11月3日(金・祝)、12月14日(木)の全4回の日程で
開催する予定です。
 第2回以降は詳細が決まり次第、当ブログでもお知らせします。

 学外の方は、予約が必要です。
 お問い合わせは日体大総合スポーツ科学研究センター
(03)5706-0931(担当:中嶋・國嶋)まで

子どもやアスリートの重篤事故を防止するためにVol.2

[ 2017/04/24 21:59 ]
 2017年4月22日、「子どもやアスリートの重篤事故を防止するためにVol.2」が
日本体育大学世田谷キャンパスで開催され、全国各地から集まった40人を
上回る参加者が意見を交換しました。
 参加者には現職の中学校養護教諭も含まれ、生徒らの安全を確保するために
学びたいとの意欲を示していました。

 この日は13年8月24日、大阪市の障害者スポーツクラブでの水泳練習中に
死亡した国本考太さん(当時24歳)と、09年8月22日、大分県立竹田高剣道部の
練習中に死亡した工藤剣太さん(当時17歳)の事例について検証しました。
 いずれも死因は熱中症による多臓器不全ですが、指導者の注意義務違反が
事故を招いたという点でも共通しています。

 日本水泳連盟は『プール公認規則』で、水温について
「競技中を通じて常に25℃以上28℃以下に保たれるような設備を必要とする」
と規定し、『水泳指導教本第2版』で「室温と水温の合計は60℃前後が最適」との
指針を明示していますが、事故発生当日の室温は36.0℃、水温は32.7℃で
計68.7℃と日本水泳連盟の指針を大きく上回っていました。
 また屋内プールは湿度が高いため、日本生気象学会が公表している
『日常生活における熱中症予防指針』を参照すれば、WBGT(熱中症指数)が
31を上回り「危険」領域に達していた可能性が高いこともわかります。
http://seikishou.jp/pdf/news/shishin.pdf

 しかし指導者は給水や休憩も指示しないまま、過大な負荷をかけた練習を強制し、
考太さんには意識障害による異常行動がみられていました。
 緊急搬送された病院で測定したところ体温は41.9℃、脈拍・血圧・動脈血酸素
飽和度は測定できない状態で、まもなく死亡が確認されました。

 これについて永島計・早稲田大学教授は、
「WBGTは水中の環境は考慮していないので、プールからあがって休憩したと
しても、望ましい環境ではなかったと考えられる」
と指摘しています。

 竹田高剣道部顧問だった坂本忠文氏は、剣道場内の温度計が36℃を示していた
という猛暑のなか、剣太さんには特に過重な負荷をかけた練習を強要し、
そればかりか暴力を繰り返しました。
 永島氏は、竹田高剣道部で剣太さんが異変を示す前に嘔吐した部員がいた
事実に着目し、
「坂本氏は剣太さんの疲弊ぶりを『演技』と決めつけたが、人が嘔吐したら普通の
状態ではないと気付くのが当たり前だ。他の部員も寒気や足のけいれんを訴えて
いたというが、当時の室内の温度や、練習の時間・強度を考えると、これらの症状は
熱中症によるものと容易に判断できる。
 剣太さんの死因は熱中症による多臓器不全かもしれないが、そういう問題ではない」
と、坂本氏の指導メソッドを厳しく批判しました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201703-1.html

 南部さおり・日体大准教授は、これらの事案を「人災としての熱中症」と呼び、
「勝利至上主義の指導者は、生徒の異変に気付くことができない」
とし、ラグビー部の練習中に事故にあった被害生徒の父親の
「生徒は部活動に青春をかけているのであって、命をかけているのではない」
という警句を伝えました。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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