兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

竹田高剣道部事件、福岡高裁は大分県の控訴を棄却(その3)

[ 2017/10/04 17:59 ]
 福岡高裁の判決言い渡し公判を傍聴し、報告集会にも参加していた
佐藤晋平・佐賀大学文化教育学部専任講師は、
「教師は、児童・生徒の生命を守ることに極めて重い責任を負っている。
 このことを教員養成学部に在籍する学生に徹底できているだろうか?
 ましてや現職教員の意識に浸透しているだろうか?
と、教育学の研究者は改めて検討することが必要なのだと思う」
とし、
「本件は裁判で『重過失』と認定されたが、では『過失』と『重過失』は、
どこで線引きされるのか?
 『過失』であっても児童・生徒の命が失われることは十分考えられるし、
『重過失』と認定されても、一命をとりとめれば結果責任を免れられるのか?
 こういったことに対して、教育学の研究者がより積極的に議論していく
必要があると痛感している」
との見解を表明しました。

 また教員養成学部の現状について、
「『自分が児童・生徒だった時期に理不尽な扱いを受けた記憶がある、
だから教員になって現場を改革したい』という意欲をもって入学してくる
学生もいる。
 しかし彼ら・彼女らは、あくまで少数派だ。多くは現行の学校教育システムに
全幅の信頼を置いており、少数派の意見に耳を傾けることは難しいのが現状だ。
 こうした状況にあって、国立大学についていえば、昨今進行している
いわゆるゼロ免課程廃止などの学部改変は、さらに学生の多様性を失うものと
ならないか、と危惧している」
と述べました。
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竹田高剣道部事件、福岡高裁は大分県の控訴を棄却(その2)

[ 2017/10/03 20:43 ]
 17年9月28日付朝日新聞大阪本社版は

 大阪市立桜宮高校バスケットボール部の男子生徒(当時17)が12年に
自殺した問題で、大阪市議会は27日、市が遺族に支払った損害賠償金など
計8723万円の半額を、部の顧問だった男性教諭に支払いを求める訴訟を
大阪地裁に起こす議案を可決した。
 バスケ部の主将だった男子生徒は12年12月に自殺した。元教諭は暴力を
ふるっていたなどとして懲戒免職となった。その後、遺族は市に損害賠償を
求める訴訟を東京地裁に起こし、元教諭の暴行などが自殺の原因として
約7500万円の支払いを命じる判決が確定。市が賠償金と遅延損害金を
16年に支払っていた。

と報じました。

 これに関連して、剣太さんの父・英士さんは
「大阪市議会は(桜宮高バスケ部の)元顧問教諭に重大な過失があったとして
国家賠償法第1条2項に基づいて求償権を行使する、と議決したのだろう。
 大分県議会にも、この気持ちを持って動いてもらいたい」
と述べました。
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000125&openerCode=1

 坂本忠文・元教諭が、大分県に対して支払うよう命じられているのは
100万円です。
 そして大分県教委は、坂本氏に懲戒免職処分を下してはいません。
 すなわち坂本氏は現在、教職に復帰してこそいませんが、大分県職員という
身分であることに違いはありません。
 つまり県民の皆さんが納められた税金で、坂本氏が給与等を得ている
状況には変わりないのです。

 大分地裁も福岡高裁も、坂本氏に対して「自己破産しても償え!」
と求める判決を言い渡しているわけではありません。
 もちろん工藤さんも、金額について争っているわけではありません。
 責任の所在を明らかにするため。
 すなわち、けじめをつけさせるために、あえて提訴してきたのです。

 あえて言いますが、自らの懐に1円も入るわけでもない。
 それどころか、訴訟にかかる費用を負担しながら行政訴訟を提訴した
工藤さんの思いは、
「県民が納めた税金を、『賠償金』として県議会で補正予算を組まざるを
得ない状況をもたらしたのは坂本忠文・元教諭にほかならず、県民が
連帯して責任を負うべきものではない。坂本氏の責任を問いたい」
という一点にあることは、繰り返し強調しておきたいと思います。

 このような事実を列挙すれば、
「大分県が法廷闘争を繰り広げるべき相手は、工藤さんではない」
ということが、皆さんにも十分ご理解いただけるものと思います。
 大分県議会議員および大分県職員、そして大分県民はもとより国民の
皆さんに、上記英士さんの発言を、改めてかみしめていただきたいと思います。

 なお両親は17年5月16日、福岡高検に本件を刑事事件として立件するよう
申し入れていますが、英士さんによると
「なにも連絡はない。しかし今回の判決を受けて、何らかの動きがあるのでは
ないか、と期待している」
とのことです。

 剣太さんの母・奈美さんは
「剣太が亡くなってから8年。長い戦いだったが、家族だけで乗り切ることは
できなかった。多くの皆さんに支えられてきたからこそ、と感謝している。
 裁判が終わったからといって、『剣太の会』の活動は変わりなく続けていくし、
いまも全国各地で戦いを余儀なくされている学校事故・事件の被害者は
大勢いる。これからも、いっしょに支えあっていきたい」
と述べました。


(この項、つづく)

竹田高剣道部事件、福岡高裁は大分県の控訴を棄却

[ 2017/10/03 20:28 ]
 当ブログ2017年7月16日付記事の続報です。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201707-2.html

 17年10月2日、福岡高裁(佐藤明裁判長)は一審・大分地裁判決を支持し、
大分県の控訴を棄却する、との判決を言い渡しました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201612-2.html

 同日、福岡市内で行われた記者会見を兼ねた報告集会で、亡くなった
工藤剣太さん(当時17歳)の両親の弁護団は
「判決は、09年度に竹田高剣道部顧問だった坂本忠文・元教諭には、
剣太さんの身に深刻な事態が起こりうると予見する可能性があった
と認め、教員として当然負うべき安全配慮義務と注意義務に違反し、
重大な過失があったと認定した。
 画期的な判断であり、高く評価する」
と述べました。
 そのうえで、
「坂本・元教諭の言動。すなわち、生徒の体調に配慮することなく暴言を吐き、
パイプ椅子を投げつけ、熱中症による意識障害を発症し倒れこんでいた
剣太さんを『演技』と決めつけ、さらに殴る・蹴るという暴行を働いたことを
『重過失』であると認定した。
 このような蛮行に教育的効果があるかのような誤解が、いまだ教育現場に
あることに対し、警鐘を鳴らしたものだ」
と指摘しました。

 そのうえで、大分県が提出した控訴趣意書に
「大分地裁判決が確定すれば、教師が萎縮する」
との記載があったことを指摘し、
「萎縮してもらわなければ困る。
 自分の目の前に、足元がふらついて明らかな異状を示している人がいたら
速やかに119番通報し、同時に応急処置を講じるのは当たり前のことだ。
 にもかかわらず、暴行を加えるなど許されることではない」
「大分県は上告できないだろうし、高裁判決が判例として確定することの意味は
極めて大きい。
 この判決をきっかけに、部活動指導のあり方について好ましい影響が全国に
及ぶことを期待している」
と述べました。

(この項、つづく)

竹田高剣道部熱中症死亡事件、控訴審が結審

[ 2017/07/16 08:57 ]
 2009年8月22日、大分県立竹田高校剣道部の練習中に工藤剣太さん
(当時17歳)が熱射病による多臓器不全で死亡した事件について、
17年7月13日13時30分より福岡高裁(佐藤明裁判長)で控訴審
第2回口頭弁論が開かれ、結審しました。
 10月2日13時30分、判決が言い渡されます。

 本件については繰り返し指摘していますが、同部顧問教諭だった
坂本忠文氏が部員たち、特に剣太さんに対し過酷な練習を課したうえに
暴力をふるったことと、保健体育科教諭でありながら熱中症についての
正確な知識を持たずに判断を誤ったことが原因であり、これ以外の
要因はありません。
 坂本氏が顧問でなかったなら剣太さんが亡くなることはなく、大分県が
両親に対して賠償責任を負うこともあり得なかったことは論を俟ちません。
 したがって大分県に対し、坂本氏への求償権を行使するよう認めた
大分地裁の判断は極めて妥当なものです。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201612-2.html

 福岡高裁が大分地裁の判断を支持し、大分県の控訴を棄却することを
強く期待します。
 そして大分県は、17年6月30日に日本体育大世田谷キャンパスで
開催された「学校・部活動における重大事件・事故から学ぶ研修会」で
剣太さんの弟・風音さんが
「大会で優勝するなど結果を出して、自らが監督としての名声を得たいだけ。
 生徒はそのための道具にすぎず、生徒たちに対する愛情がなかった」
と坂本氏を厳しく批判した事実を重く受け止めるべきです。

竹田高剣道部熱中症死亡事件、控訴審第1回口頭弁論

[ 2017/05/17 23:07 ]
 2009年8月22日、大分県立竹田高校剣道部の練習中に工藤剣太さん
(当時17歳)が熱射病による多臓器不全で死亡した事件について、
17年5月16日13時30分より福岡高裁(佐藤明裁判長)で、控訴審第1回
口頭弁論が開かれました。
 審理が行われた502号法廷に傍聴席は24席しかなく、しかも11席は
記者席としてあらかじめ割り振られていました。
 このため福岡高裁は急遽長椅子4脚を法廷に運び入れ、なるべく大人数が
傍聴できるよう配慮しましたが、それでも入りきれず廊下で待機していた
支援者が出たほどで、この裁判に対する関心の高さを物語っています。

 剣太さんの両親によると、控訴しないよう求める署名は全国から少なくとも
3100筆が大分県教委に送られていますが、大分県はこれを無視しました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201703-1.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201702-3.html

 広瀬勝貞・大分県知事が提出した控訴理由書には、新たな証拠は示されて
おらず、一審での主張をなぞっているにすぎません。
 これに対して剣太さんの母・奈美さんは約15分にわたって意見陳述し、
控訴理由書に
「今後発生する多くの部活動事故の事案でも、部活動顧問に対する求償権
行使が認められることとなると思料される」
との記載があることを指摘し、
「大分県は事故が再発することを前提に論理を組み立てている。県は剣太の
死後、『二度とこのようなことが起きないように』と繰り返し表明していたが、
『再発防止』は実現していない。学校内でなにをしても国家賠償法で守られると
教員が思っている間は、悲惨な事件は何度も繰り返される」
と述べ、
「学校は、部活動の存続が危ういとか、教員が萎縮するなどという以前に、
将来にたくさんの希望を持てるような子どもたちを育てる場所だ」
と訴えました。
 次回口頭弁論は7月13日、13時30分から福岡高裁502号法廷で行われます。

 口頭弁論終了後の記者会見で両親は
「大分地裁判決をなんとしても維持したい。教師がカッとなって手を振り上げたとき、
『事故が起きたら個人でその責めを負わねばならない』という思いが頭をよぎれば
暴力を抑止する効果がある。二度と私たちのような家族を生まないことを願っている」
と述べました。

 両親は口頭弁論に先立って福岡高検を訪れ、大分地検が顧問教諭だった
坂本忠文氏を不起訴処分としたことに対し、不服を申し立てました。
 これについては大分合同新聞が17年5月16日付夕刊で、以下の通り報じています。

 竹田高校剣道部で09年、練習中に熱中症で倒れて死亡した工藤剣太さんの両親が
16日、業務上過失致死容疑で書類送検された元顧問らを大分地検が14年までに
不起訴処分としたことを不服とし、刑事事件として再捜査するよう福岡高検に申し立てた。
 両親は、元顧問らに賠償責任を負わせるために県を訴えた民事訴訟で16年12月、
一審大分地裁判決が元顧問の重過失を認めたと指摘。「民事裁判で重過失が認められ、
刑事事件は不起訴で終わるなどというのは誰も納得できない」と申し立てた。両親に
よると、高検側は「書類を読んで判断する」と答えたという。
 大分地検は12年、県警が書類送検した当時の顧問と副顧問について、嫌疑不十分で
不起訴処分とした。両親の不服申し立てを受けた大分検察審査会は13年、不起訴は
不当だと議決したが、地検は14年、再び不起訴処分として捜査を終えた。
 福岡高検によると、地検の処分に不服がある場合は、検察審査会とは別に高検に
申し立てができる。

 この問題について、首都大学東京の木村草太教授は東京新聞の取材に応じ、
「元顧問の重過失行為は現場で厳禁すべき内容。地裁判決は妥当だ。検察が元顧問を
起訴して、刑事責任を負わせるべきだった」
との見解を明らかにしています。(17年2月7日付同紙)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201702/CK2017020702000155.html
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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