兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

神戸市教委と兵庫県教委の無責任体質について

[ 2018/05/20 13:42 ]
 2018年4月28日付神戸新聞は

 神戸市垂水区で16年10月、市立中学3年の女子生徒=当時(14)=が
自殺した問題で、「破棄された」とされていた他の生徒への教員の聞き取り
メモが見つかったことを受け、市議会文教こども委員会が27日、開かれた。
長田淳教育長は「不誠実な取り扱いで、ご遺族の気持ちに寄り添った対応では
なかった」と陳謝し、「教育委員会の組織風土を変えていかないといけない」
と述べた。
 この問題を巡っては、市教委が設置した第三者委員会が昨年8月、容姿
中傷発言などをいじめと認定する調査報告書をまとめたが、遺族が
「内容が不十分」として再調査を申し入れている。さらに、自殺直後に教員が
他の生徒6人に聞き取ったメモについて、第三者委の報告書が「破棄された」
としたことに学校側が「保管している」と報告しながらも市教委が放置していた。
久元喜造市長は26日、新たに調査委員会を設置し、再調査する方針を発表した。
 文教こども委員会では、大谷真一学校教育部長がメモの確認を怠った点に
ついて「生徒に聞き取った内容が報告書に反映されているかどうかの確認だけ
で済ませてしまった。さまざまな事案の対応で忙殺されていた」とし、謝罪した。
 今後、再調査を担当する市こども家庭局は「委員選任には遺族の意見を聞き、
スタートから信頼を得られる形にしたい」と答弁。市教委の後藤徹也教育次長は、
再調査の決定を受け、「一連の市教委の対応がご遺族に寄り添ったものであった
のかを厳しく見つめ直し、組織の自浄を進めたい」と述べた。

と伝えました。

 神戸市教委の無責任体質は改まっていません。
 長田教育長の「教育委員会の組織風土を変えていかないといけない」
という言葉がその場しのぎの釈明であったならば、市民からの信頼は
完全に失われることを指摘しておきます。

 もちろん、龍野高女子テニス部の練習中に発生した事故の被害者である
リサさんと保護者に対する石原元秀氏・清重安男氏らの「不誠実な取り扱い」
も、断じて看過できるものではありません。
 そして、「組織風土を変えていかないといけない」のは、龍野高にも
兵庫県教委にも共通する課題であることは論を俟ちません。
 あえて言えば。
 神戸市教委が不十分ながらも調査を実施したことを勘案すれば。
 「事故に関する調査は必要ない」と言い切った、兵庫県教委よりはまだまし、
かもしれません。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201802-1.html

 09年度、清重安男・龍野高校長はリサさんの保護者に対して復学手続きを
するよう求め、授業料および学年費・修学旅行費などを徴収しながら
通学は認めなかった、という事実があります。
 約束が守られなかったことから、保護者が納入済み諸費用の返還を求めた
にもかかわらず清重氏はこれを無視し、そのうえ「返還済み」と記載した
虚偽公文書を作成し配布した、という重大な問題があります。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201103.html

 清重氏から保護者に対する説明も謝罪もなく、保護者から面談を求めても
「会いたくない」の一点張りで、諸費用も返還されないまま今日に至っています。
 そして兵庫県教委は清重氏を指導することもなく、事実を承知しているにも
かかわらず、見て見ぬふりを続けています。
 リサさんの保護者は、「清重氏に対する刑事告訴も視野に入れている」
とのことです。
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兵庫県立高、自殺といじめの因果関係認める追加報告書を提出

[ 2017/05/28 21:36 ]
 2017年5月28日付朝日新聞東京本社版は

 12年に兵庫県川西市の県立高校2年の男子生徒(当時17)が自殺した問題で、
同校が自殺といじめの因果関係を事実上認める内容の追加報告書を県教委に
提出していたことがわかった。当初は認めておらず、生徒の両親が報告書の訂正
を求めていた。両親は取材に「息子の無念を少しは晴らすことはできたと思う」
と話した。
 男子生徒は12年9月2日に自宅で命を絶った。学校は同20日付の報告書で、
「背景にいじめがあったことは確認された」とする一方、「暴力的行為や金品の
要求はなかった」として、自殺との関連性は「現時点ではあるともないとも判断
できない」としていた。
 遺族は13年12月、同級生と県側を相手取り、損害賠償を求めて提訴。
昨年3月、神戸地裁は判決でいじめを認定し、慰謝料の支払いを命じた。
 追加の報告書は今月25日付で、A4判3枚。因果関係についての学校側の
直接的な言及はないが、神戸地裁判決を引用。生徒が「ムシ」と呼ばれ、
虫の死骸を教室の椅子の上に置かれるなどの行為がいじめと認定されたことを
説明し、自殺の原因がいじめだとみることに「合理的な疑いを挟む余地はない」
とした判決内容を記した。
 また、独立行政法人「日本スポーツ振興センター」(東京)が、死亡見舞金の
支給の決定通知で「(自殺の)主たる原因は学校の管理下でのいじめ」と
認定したことも盛り込んだ。

と報じています。

 この問題については、川西市の第三者機関「子どもの人権オンブズパーソン」
が13年3月28日付で報告書を公表し、
「一方的ないじめを受け続けた状況や、学校での人間関係が自殺の原因と
なった可能性は極めて高い」
と指摘しています。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201304-9.html

 すなわち、同高が12年9月20日にまとめた報告書の記載内容に疑問がある
ことは13年3月28日の段階で指摘されていたにもかかわらず、同高はその後も
4年以上にわたって無視していました。
 県教委も、同高と歩調を合わせるかたちで12年11月5日に調査委員会を
設置し、13年5月2日付で
「いじめはあったが、自殺と関連づけることは困難」
とする報告書をまとめ、学校側の見解を支持していました。

 しかし神戸地裁が16年3月30日、両親の主張を認める判決を言い渡し、
これが確定していることに加え、日本スポーツ振興センターが死亡見舞金を
支給したことを勘案すれば、
「調査委がまとめた報告書が、正当性を有しているとは判断しがたい」
と言わざるを得ませんし、同高が追加報告書を県教委に提出したのも
同様の判断に基づく、と推定できます。

 両親は調査委を「学校擁護委員会」と呼び、今回の学校の対応についても
「両親が働きかけた結果、やっと重い腰を上げたにすぎない。
 調査委が公正で正確な調査をしていれば提訴することもなかったし、
こんなに月日がかかることもなかった。公正・中立な調査委の必要性を痛感した」
と、その複雑な胸中を吐露しています。

組体操の危険性について(その4)

[ 2014/10/30 08:50 ]
 2014年10月29日付朝日新聞兵庫版は

 運動会や体育大会でおなじみの組み体操をめぐり、安全対策の強化を求める声が
高まっている。毎年「10段ピラミッド」に挑戦している伊丹市立天王寺川中学校では、
体育教師が指導方法のDVDをつくった。他校にも提供し、教材化に取り組んでいる。
 「組み体操は人間どうしが直接ふれあい、一つの形をつくる体操。お互いを思いやる
心があれば、素晴らしいものができる」。天王寺川中の吉野義郎教諭は自ら作製した
DVDの冒頭、そう呼びかける。(中略)
 ピラミッドの中に入って、下から生徒の体を支える「かすがい」役をおき、周囲には
補助役も数人配置する。崩れたときの身の守り方も教え、重大な事故は起きていない。
 (中略)
 ただ、全国的にみれば、組み体操でけがをする子どもが多いのは事実だ。
 名古屋大の内田良准教授(教育社会学)が、学校で起きたけがの医療費給付を担う
日本スポーツ振興センターの資料を分析したところ、小学校の組み体操での事故は
11年度5976件、12年度6533件を確認した。跳び箱、バスケットボール時の
事故に次ぎ3番目に多かった。
 吉野教諭は「組み体操に危険はある。だからこそ教材化して、正しい指導方法を
学校現場で共有していく必要がある」と話す。

と伝えています。

 同中では12年に生徒が足を骨折したことが明らかになっていますが、これは
「重大な事故」ではないのでしょうか。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201409-2.html

 14年10月3日に放映された毎日放送「VOICE」で、吉野教諭自身が
「11段ピラミッドはどこも成功させたことがない。このやり方で大丈夫かどうかも
わからない」と認めています。
 なのになぜ「正しい指導方法」などといえるのでしょう?
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201410-6.html

 上記の内田准教授は、組体操の指導において相反するメソッドが併存していることを
指摘し、安全性について早急に検証すべきだと提言しています。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/20140926-00039416/

 すなわち「吉野メソッド」は、少なくとも現時点において、安全性を担保するうえで
最も有効と立証されたものではありません。
 したがって、「吉野メソッド」の正当性を一方的に主張するのは勇み足でアンフェアと
言わざるを得ませんし、これを独り歩きさせることにはリスクがあります。

 吉野教諭は14年9月25日放映のテレビ朝日「モーニングバード!」で
「そもそもスポーツにはケガがつきもの。組体操だけが特別に危険なわけではない」
と主張しました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201409-0.html

 この発言に対し、「全国柔道事故被害者の会」のメンバーからは
「聞き捨てならない。スポーツ事故は命にかかわるおそれがあり、被害者は未来を
奪われることになる。生徒たちにケガをさせないよう策を講じるのが教師の責務だ。
なぜそれがわからないのか」との声が挙がっています。

組体操の危険性について(その3)

[ 2014/10/09 08:23 ]
 2014年10月2日付毎日新聞「発信箱」で、落合博論説委員が「セニはあるか?」
というコラムを書いています。

 スペインからの独立の是非を問う住民投票の実施を目指すカタルーニャ自治州
には200年以上続く伝統行事がある。「人間の塔(カスティス)」だ。国連教育科学
文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産でもある。
 運動会や体育祭で行われる組み体操(原文ママ)の「タワー(円塔)」に似ている。
研究者の岩瀬裕子さんによると、カスティスには四つのモットーがある。力(フォルサ)、
バランス(エキリブリ)、勇気(バロ)、理性(セニ)で、カタルーニャ人固有の美質を
最もよく表すのがセニだ。
 「これを登ったらけがをする」などと感じたら潔く途中でやめたり、作り直したりする
冷静な判断力のことを言う。参加者は3〜11月の約9カ月間、1日2〜3時間、
週2〜3日の練習を重ねて本番に備える。(中略)


 兵庫県伊丹市立天王寺川中の3年生男子が、14年9月20日の体育大会で
「組体操史上初」となる11段ピラミッドに挑戦しました。
 しかし10月3日放映の毎日放送「VOICE」によると、同中の吉野義郎教諭が
作成した「11段ピラミッドの設計図」に基づいて、「どこにだれを配置するか」を
決定したのは9月17日でした。
http://www.mbs.jp/voice/special/

 上記カスティスが「約9カ月間、1日2〜3時間、週2〜3日の練習を重ねて
本番に備える」のとは、あまりにも大きなギャップがあります。
 中学生に、わずか3日の練習で高さが7m以上にも達する11段ピラミッドを
完成させろというのです。
 しかも吉野教諭は、
「11段ピラミッドはどこも成功させたことがない。このやり方で大丈夫かどうかも
わからない」と認めています。
 三宅良輔・日本体育大教授は、
「運動会や体育祭での発表のために短い練習期間で、成功する確信がないにも
かかわらず挑戦させたりすることには賛同できない」と述べています。
(14年7月19日付毎日新聞東京本社版夕刊)

 体育大会当日は11段ではなく、10段ピラミッドに取り組みました。
 それはメンバーに入っていた教員が練習中にけがをしたため、校長の判断で
11段は断念したということでした。
 しかし吉野教諭は「大きな事故がなく終われたのが一番」としています。
 教員がけがをしたことは、吉野教諭にとって「大きな事故」ではないようです。

 吉野教諭は自らYouTubeに体育大会の映像を投稿していますが、この映像には
10段ピラミッドが1回目は失敗したことは記録されていません。
https://www.youtube.com/watch?v=FUG0mSYGv7w

 毎日新聞の落合論説委員は上記コラムを

 表現性の高い身体活動である組み体操は高さや大きさを競うものではない。
無数の型があり、ピラミッドはそのひとつでしかない。
 「セニ」を欠いて、傷つくのは子どもたちだ。

という一文をもって締めくくっています。

組体操の危険性について(その2)

[ 2014/09/29 20:42 ]
 テレビ朝日「モーニングバード!」は2014年9月25日の放送で、組体操を
取りあげました。
 内田良・名古屋大大学院准教授は、独立行政法人・日本スポーツ振興センターが
まとめただけで、12年度に小学校だけで6533件の事故が発生し、12年度までの
10年間で重篤な後遺障害が残る事案が20件発生していることを示し、
「巨大化をめざすなら組体操はやめた方がいい」と提言しました。

 これに対し、兵庫県伊丹市立天王寺川中の吉野義郎教諭は
「そもそもスポーツにはケガがつきもの。組体操だけが特別に危険なわけではなく
(内田氏の)批判は的外れ」とし、10段ピラミッドに取り組む目的は
「協調性を養い、達成感を得ること」だと主張しました。

 同中ホームページを参照しますと、14年9月20日に行われた体育大会で
10段ピラミッドを成功させたことを自画自賛しています。
http://www.tenn.itami.ed.jp/

 当日、現場を目撃した「全国学校事故・事件を語る会」の西尾裕美さんは
「1回目は、7~8段目から生徒が横滑りで落ちてきた。たまたまそこにいた
サポート要員が受け止めたため事なきを得たが、もし手が届かなかったら
頭から落ちた可能性もあった」と証言しました。
 その後、生徒たちは2回目のトライで成功させましたが
「2回目は体力も落ちているし、もう失敗できないというプレッシャーを感じていた
だろう。痛みがあっても我慢しただろう。重篤な後遺障害が残る可能性があり、
最悪の場合、命にかかわるリスクがあるとしてもやるべきものなのか、
それは許されるものなのか、と思った」
と疑問を呈しています。

 三宅良輔・日本体育大教授は、内田氏の問題提起について
「よく理解できる。正確な知識を持たない指導者が子どもたちの発育を考慮しないで
演技内容を決めたり、運動会や体育祭での発表のために短い練習期間で、
成功する確信がないにもかかわらず挑戦させたりすることには賛同できない。
(中略)
 組み立て体操は徒競走や騎馬戦と異なり、記録更新や勝敗に一喜一憂する
スポーツ的領域ではない。高さや大きさを競う必要はなく、指導者は体の小さな子
などは周辺で別の演技をさせるなど、子どもたちの体格や体力に応じて演技の
構成を工夫してほしい」
と述べています。(14年7月19日付毎日新聞東京本社版夕刊)

 内田氏は、組体操の指導において相反するメソッドが併存していることを指摘し、
安全性について早急に検証すべきだと提言しています。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/20140926-00039416/
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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