兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

竹田高剣道部事件、福岡高検は不服申し立てを却下

[ 2018/02/22 18:41 ]
 2018年2月20日、NHK大分放送局は

 09年8月、大分県立竹田高剣道部の練習中に2年生だった工藤剣太さんが
熱中症で倒れて亡くなった事故で、剣太さんの両親が福岡高検に不服を
申し立てていましたが、申し立ては認められませんでした。
 当時の顧問と副顧問の2人の教諭が業務上過失致死の疑いで書類送検
されましたが、大分地検は12年、2人を不起訴処分としました。その後、
大分検察審査会が「不起訴不当」とする議決をしましたが、大分地検は14年に
再度、不起訴と判断しました。
 これに対し両親は17年5月、福岡高検に不服申し立てを行っていましたが、
18年2月16日付で「申し立ては認められない」と判断したということです。
 20日、福岡高検を訪れ今回の判断が伝えられた工藤剣太さんの両親は、
来月にも最高検察庁に不服を申し立てるということです。
 母親の工藤奈美さんは
「これから先、学校で傷つく子どもたちが減るように大切な命を守っていくために、
来年の時効まで、あきらめずに声をあげ続けていきたい」
と話していました。

と報じました。

 「工藤剣太さんが剣道の部活動中に熱中症で倒れて亡くなった」
のは、顧問教諭だった坂本忠文氏が猛暑の中、休憩も給水もさせずに
過剰な負荷をかけた練習を強要し、意識混濁など明らかに熱中症と
推定できる状況だったにもかかわらず
「これは熱中症じゃない。演技だ」
と誤った判断をし、剣太さんに対して殴る蹴るの暴行を繰り返したことが
原因です。
 そして副顧問教諭だった和田浩史郎氏が現場にいて、坂本元教諭の
剣太さんに対する暴行の一部始終を目撃していたにもかかわらず、
坂本元教諭を制止しなかった責任も問われてしかるべきです。

 顧問教諭と副顧問教諭が、学校管理下で行われる部活動の練習中に
当然負うべき注意義務と安全配慮義務を十分に果たしていたにもかかわらず、
まさに不可抗力としか言いようのない事故が発生した、というわけではありません。
 暴力を指導の一環として正当化していた坂本元教諭と、これを看過していた
和田教諭の無為無策が招いたものであり、事故というよりは事件と呼ぶべき
事案です。
 坂本元教諭は、明らかに「暴行および傷害致死の疑い」で起訴されて
しかるべきです。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201710-8.html

 最高検が本事案の背後にある問題点に着目し、生徒たちの権利を守るためにも、
両親の申し立てに耳を傾けるよう期待するところです。
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群馬県教委、スポーツ事故検証委を設置

[ 2018/02/19 06:23 ]
 NHK前橋放送局は2018年2月15日

 去年12月、群馬県立藤岡中央高校のグラウンドで陸上部の練習中に
3年生男子が投げたハンマー投げのハンマーがサッカー部の2年生男子の
頭に当たり死亡した事故を受けて、県教委は学識経験者や陸上競技の
専門家など5人からなる検証委員会を設置し、この日同高で初会合が
開かれました。
 笠原寛・県教育長が「教育関係者にとって、子どもたちの安全を守ることは
最大の使命で、専門的な知見から調査・検証をして、再発防止に向けた
提言をお願いしたい」と述べ、学校での事故に詳しい東京学芸大学の
渡邉正樹教授が委員長に選ばれました。
 県教委によりますと、これまで高校などが行った事故の原因などに関する
調査結果が報告されたうえで、今後、再発防止策などについて具体的に検討を
進めていくことを確認したということです。
 会合のあと委員たちは、グラウンドを視察し、事故当時の状況などについて
確認していました。

と伝えました。

 群馬県の笠原教育長は
「教育関係者にとって、子どもたちの安全を守ることは最大の使命」
という基本方針を明言し、これを実現するために
「専門的な知見から事故を検証し、再発防止に向けた提言」
を得ることが検証委を設置した目的だと述べたのです。
 そして特筆すべきは、この日の検証委で
「高校などが行った事故の原因などに関する調査結果が報告」
されたことです。

 兵庫県が龍野高女子テニス部事故をめぐる裁判において、
「龍野高は事故について調査していないが、保護者がすでに調査をして
いるので、同高があえて調査する必要はない」
と驚くべき主張を展開したこととは、まさに対照的です。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201510-2.html

 最高裁はこれを退け、兵庫県は敗訴が確定しましたが、今日に至るまで
その姿勢を崩していません。
 すなわち兵庫県と同県教委、そして龍野高の関係者は
「教育関係者にとって、子どもたちの安全を守ることは最大の使命」
とは考えていない、と判断せざるを得ません。
 兵庫県民の皆さん、この事実を当然のことと容認できますか?

大阪地裁、国賠法の求償権を認める判決言い渡す

[ 2018/02/18 09:35 ]
 2018年2月17日付朝日新聞大阪本社版は、

 大阪市立桜宮高校バスケットボール部の男子生徒が顧問だった男性から
暴行を受けて自殺した問題で、市が遺族に支払った賠償金の半額を元顧問の
男性に求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁であった。長谷部幸弥裁判長は
元顧問に請求通り4361万円の支払いを命じた。
 部の主将だった生徒は元顧問から暴力や暴言を受け12年12月に自殺。
遺族は13年、市を相手に東京地裁に損害賠償請求訴訟を提起。判決に基づき、
市は遅延損害金を含め8723万円を支払った。
 国家賠償法は、公務員個人に故意や重い過失があった場合、国や自治体が
本人に支払いを求める「求償権」があると定めている。
 今回、市は賠償金の原資は税金で、元顧問には重い過失があったとして
負担を求めることを検討。交渉したが折り合いがつかず、17年11月に提訴
していた。
 名古屋大大学院の内田良・准教授(教育社会学)は
「教育の範疇を超えた事案について、自治体は積極的に教師に賠償を求めて
いくべきだ。でなければモラルハザードが起きる」
と述べた。

と伝えました。

 これについて09年8月、大分県立竹田高剣道部の練習中に顧問教諭だった
坂本忠文氏から暴行を受けて死亡した工藤剣太さんの母・奈美さんは、
「画期的な判決で、嬉しく思います。
 学校設置者である自治体が元顧問への求償権を行使したことは、今後の
再発防止に向き合った行動と考えます。
 生徒に対して暴行を加えたり、暴言を吐くといった人権を無視した行為が、
不幸にして事故・事件を招いた場合には、公務員といえども個人が責任を負う
のが当たり前です。
 求償権の行使が一般化すれば、暴言・暴力を指導の一環と考えている
教員に対して、一定の抑止力になると思います」
とコメントしています。

http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201710-7.html

柔道事故をめぐる福岡高裁判決に疑問の声

[ 2018/02/08 08:20 ]

 読売オンラインは2018年2月2日付で

 11年に福岡県立玄洋高校(福岡市西区)であった校内の武道大会で、
柔道の試合に出場して頭を打ち、手足がまひする後遺症が残ったとして、
当時1年生だった男性(23)とその両親が県に約2億6800万円の
損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(佐藤明裁判長)は1日、
県に1億2400万円の賠償を命じた1審・福岡地裁判決を取り消し、
男性側の請求を棄却した。
 判決によると、男性は11年3月、武道大会の柔道の試合で相手に技を
かけた際、バランスを崩して転倒。頭を強打し、自力歩行ができなくなるなど
重度の後遺症が残った。
 1審判決は、10年度に同大会で事故2件が発生したのに、原因を分析
して安全指導対策を行った形跡はなく、漫然と大会を開催したとして、
同校の過失を認定。教諭らも事前指導に不適切な点があったと判断した。
 これに対し、佐藤裁判長は「危険な場合は試合を止める態勢をとっており、
大会を取りやめるべき注意義務があったとは認められない。教諭らも危険
防止について指導していた」とした。

と報じました。
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20180202-OYS1T50001.html

 また共同通信は、

 佐藤明裁判長は「教諭は柔道指導の手引書に基づき、競技の危険性を
説明し、受け身の練習をさせた」とし、安全配慮義務違反はないと判断した。

という記事を配信しました。

 「全国柔道事故被害者の会」は、上記福岡高裁判決について
「被害生徒は相手に技を掛けようとしてバランスを崩し頚髄を損傷した
のであって、受け身を失敗したのではない。明らかに論点に誤りがある」
「こんな判決がまかり通るならば、世の中の親たちは恐ろしくて我が子に
柔道はさせられない」
と、厳しく批判しています。
https://twitter.com/judojiko

 というのも、17年4月25日付毎日新聞が福岡地裁判決について

 福岡県立高校の武道大会で柔道の試合中にけがをして手足に障害が
残ったのは、教諭らが必要な指導を怠ったためとして、同校の生徒だった
男性と両親が県を相手取って損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁
(平田直人裁判長)は24日、県に約1億2000万円の支払いを命じた。
 平田裁判長は「大会はクラス対抗形式で競争心や顕示欲を必要以上に
あおりかねないが、大会固有の危険性を十分に説明したとは認められない。
安全指導の基本を欠いていた」と指摘。さらに前年度の大会で2件の
事故が起きたのに予防策を協議した形跡もないことも挙げ、教諭らの
注意義務違反を認定した。
 判決によると、男性は県立高1年だった11年3月11日、同校であった
武道大会の柔道の試合中、相手に払い腰を掛けようとしてバランスを崩し、
左側頭部から転倒。頸髄損傷などによって両手足に障害が残り、車椅子
生活となった。
 同校では1、2年生の男子が参加して柔道と剣道の2種目で武道大会を
毎年開いていたが、事故を受けて12年から取りやめている。

と伝えていたからです。
https://mainichi.jp/articles/20170425/k00/00m/040/094000c


(この項、つづく)

学校事故事件の事後対応における問題点について

[ 2018/02/06 09:00 ]
 朝日新聞は2018年1月30日から5日間、「小さないのち 悲しみと歩む」
とのタイトルで特集記事を連載しました。
 1月31日付紙面では、さいたま市立日進小6年生だった桐田明日香さんが
11年9月29日、駅伝メンバーを決めるための選考会で1000mを走り切った
直後に倒れて翌日死亡した事故と、その事後対応について取り上げています。
https://digital.asahi.com/articles/ASL1Z00FQL1YUUPI00D.html

 また2月2日付紙面では、10年6月7日、同学年の男子生徒4人から執拗な
いじめを受け、川崎市内の自宅トイレで硫化水素ガスを発生させて自死した
篠原真矢くん(当時中3)に関する記事。
https://digital.asahi.com/articles/ASL165V24L16UTIL01N.html

 さらに2月3日付紙面では、12年12月に発生した大阪市立桜宮高男子
バスケットボール部員の自死事案をめぐる記事を掲載しています。
https://digital.asahi.com/articles/ASL195QRVL19UUPI003.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201710-5.html

 さいたま市は、桐淵博教育長(当時)が真摯に対応した結果、遺族との
信頼関係が構築できました。
 その結果、明日香さんの母・寿子さんは
「さいたま市教委とは『想い』を共有している」
と述べています。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201507-3.html

 桐淵氏の姿勢は、名古屋市立向陽高および名古屋市教委の対応と軌を一に
するものです。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201712-3.html

 名古屋市教委スポーツ振興課の小川博通・指導主事(当時)は15年11月10日、
文部科学省の「学校事故対応に関する調査研究」有識者会議終了後、
わたしの取材に応じ、学校管理下で事故が発生した際の事後対応について
「校長がまず謝罪し、言い訳をしないこと。最初にボタンをかけちがうと、保護者
との信頼関係を修復することはきわめて難しい」
と述べています。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201511-1.html

 これは、川崎市教委職員が篠原真矢さんの遺族に向き合った姿勢とも通底
するものです。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201712-2.html

 こうした事案が特筆されているのは、事実を隠蔽し被害者家族と向き合わない
教員や教委関係者が多数を占めているという、由々しき状況があるからこそ
といえます。
 そしてさいたま市や名古屋市、川崎市に見られた事後対応の実例も
「人事異動によって偶然、遺族に寄り添う人材が在籍していただけ」
であったのならば、
「将来において同様の事案が発生した際、同様の対応が期待できるかといえば、
はなはだ心もとない」
と言わざるを得ません。

 「全国学校事故・事件を語る会」の代表世話人、内海千春氏は
「学校に調査能力はあるし、これを過小評価すべきではない」
としたうえで、
「謝って済むことなら、教員がきちんと調査し保護者にも報告するが、謝って済まない
ことが発生したら『なかったことにしてしまおう』という圧力が働き、教員が思考停止
状態に陥っている。
 教員間で議論し、当事者意識をもって思考しなければ、解決は望むべくもない」
と指摘しています。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201708-1.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201712-6.html
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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