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兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

大分地裁、支援学校死亡事故で県に賠償命じる

[ 2024/03/03 23:59 ]
 2016年9月、大分県立南石垣支援学校高等部3年だった
林郁香(ふみか)さん=当時17歳=が、給食をのどに詰まらせ、
翌月死亡した事故に関する裁判で、大分地裁(石村智裁判長)は
24年3月1日、大分県に660万円の賠償を命じる判決を
言い渡しました。 
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1030047?display=1
https://digital.asahi.com/articles/ASS314PY1S2YTPJB008.html?iref=pc_preftop_oita

 判決言い渡し期日には、裁判長が判決の主文を読み上げ、
それだけでただちに閉廷するのが通常です。
 しかしこの日、石村裁判長は
「なぜこのような判決を言い渡したのか」
という理由について、その要旨を説明し、
「担任には(重度の障害がある)郁香さんの食事中の動静を
見守り、窒息を防止する安全配慮義務があったが、これを怠った。
 このことと死亡とのあいだに因果関係が認められる」
と事実認定し、被告・大分県が賠償責任を負うと判断するに
至った経緯を述べました。
 裁判官は郁香さんと遺族に対して、相当に丁寧な対応をした、
との印象を受けました。 

 傍聴していた林さんの支援者からは
「障害のある子は、親やきょうだいから健常児以上に愛されている
ケースが多いし、そもそもひとは、その存在自体が尊い。
 経済力すなわちひとの価値、というような風潮は受け入れがたい」
という声が聞かれました。

 そして、被告・大分県は代理人も含め、だれひとり法廷に
姿を現さなかった、という事実を記しておかなければなりません。
 この点について、郁香さんの母親・香織さんは記者会見で
「驚いた。裁判長のことばを聞いてほしかった」
と無念の思いを口にしました。

 さらに事故を振り返って、
「結果として助けられたかどうかはわからないが、すくなくとも
先生たちには助けようとしてほしかった」
としたうえで、
「先生たちの認識は低かった、救命措置もできなかったという
点において、勉強して対策を講じてほしい。
 (将来において、郁香さんの事故後の)『大分県の取り組みは
すばらしい』といわれるような、対応をしてほしい」
と涙をこらえながら語りました。

 梨沙さんの父親は、林さんの代理人である徳田靖之弁護士が
「基本的に原告の主張を認めた高く評価できる判決ではあるが、
逸失利益についての主張を退けたのは、障害のある子どもの
未来を見ていないといわざるを得ず、障害者差別だ。
 この点、日本の社会も裁判所も大きく遅れている」
と批判したことについて
「本当に心ある弁護士だと思った。大分県が控訴しないことを
願っている」
とコメントしています。
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龍野高校の対応を検証する(その17)

[ 2023/12/21 10:43 ]
 「全国学校事故・事件を語る会」の代表世話人、内海千春氏は
2023年12月15日付毎日新聞兵庫版で
「学校事故・事件の被害者や家族が求めるのは責任追及ではなく謝罪」
だと述べています。
https://mainichi.jp/articles/20231214/k00/00m/040/162000c

 内海氏の発言は、名古屋市立向陽高柔道部で発生した事故で、
1年生だった次男を亡くした倉田久子さんが証言しているように、
「事故が起きた当日、校長(当時)が『学校で起こったことは、
すべて学校の責任です』と述べ、謝罪した」
うえで、名古屋市教育委員会も校長の姿勢を支持。
 その結果、両者は今日に至るまで良好な関係を維持していること。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-entry-513.html

 さいたま市教委が、同市立日進小6年生女子(同)が長距離走の
練習中に亡くなった事故について精緻に調査し、その反省点を
「ASUKAモデル」として公表し、再発防止に努めていることで、
遺族とはいまも良好な関係にあることが裏打ちしています。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-category-16-2.html

 また同日付東京新聞「筆洗」は、宮城県知事だった浅野史郎氏が
行政のあるべき姿として
「逃げない、隠さない、ごまかさない」
を打ち出したことを紹介しています。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/296118?rct=hissen

 これらはすべて、「やればできる」ことを証明しています。
 しかし、石原元秀氏以下歴代の龍野高校長と兵庫県教委は
「逃げる、隠す、ごまかすに終始している」
と、同高女子テニス部の練習中に発生した熱中症事故から
16年経った今日においてもあらためて指摘せざるを得ない、
という事実には、暗澹たる思いがします。

 龍野高校長と兵庫県教委にとっては、
「大阪高裁判決を不服として上告したが、最高裁に棄却され
同高裁判決は確定した。
 これにしたがって賠償もした。だから事故はすでに終結した」
という受け止めかもしれません。

 しかし説明も謝罪もないままで、高校2年生だった梨沙さんが、
いまも重篤な後遺障害に苦しんでいること。
 愛娘が未来を奪われたという悲しみと衝撃に加え、
石原氏の悪意に満ちた虚言による風評被害に苦しめられた両親は、
きょうも介護生活を続けている、という事実に変化はありません。
 けっして「終わった話」などではない、ということを
あらためて強調しておきます。

全国学校事故・事件を語る会、シンポジウムを開催

[ 2023/09/19 12:17 ]
 2023年9月17日、「全国学校事故・事件を語る会」は
神戸市内でシンポジウムを開催しました。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20230918/2000077983.html

 同会の代表世話人・内海千春氏は、近年全国各地で
設置されている第三者調査委員会について、
「その目的はなんなのか?再発防止が目的であれば、
被害者と学校が対立することはないはずだ。
 しかし責任論を持ち出すことで、両者の対立が先鋭化している」
という問題意識を明らかにしました。

 そのうえで、兵庫県立川西明峰高校で発生したいじめ自死事件
に言及し、
「両親が求めていたのは子どもが亡くなった原因を明らかにすることだ。
だから神戸地裁判決が、被告・兵庫県に対する損害賠償請求に
ついては棄却したものの、いじめと自死の事実的因果関係を認めた
ことに満足し、控訴はしなかった」
「両親は、この判決をもとに、学校が作成した事故報告書の記載内容に
不備があるとして、これを訂正させた」
と述べ、提訴の目的は賠償金を受け取ることにあるのではなく、
子どもと家族の名誉回復にあることを指摘しました。

 さらに内海氏は、調査委が報告書をまとめる際の姿勢について、
「亡くなったり、重篤な後遺障害に苦しんでいる子どもについて、
委員には『絶対に間違いがあってはいけない、というおそれ』が
感じられない」
「委員は『公正中立』というが、それはなんなのか?子どもを
大切に思い、子どもに寄り添う姿勢を示すことが『公正中立』だ」
と強調しました。

 一般社団法人「ここから未来」の代表理事・大貫隆志氏も、
自らが調査委員を務めた経験に基づき、
「『公正中立』というのはトリックワード」
とし、その理由として
「まず被害者は被害に遭っている、ということを忘れてはいけない」
「学校側は圧倒的に多くの情報を持っていて、しかもそれを
被害者側には開示しない」
「委員に選任されるのは医師や弁護士、学識経験者が多いが、
彼らは必ずしも学校事故・事件の専門家ではない」
ことをあげたうえで、
「委員が被害者側に相当に加担しないと、両者はイーブンな関係
にはならない。こうした状況を放置したままでは、まっとうな調査は
スタートできない、と断言できる」
と述べました。

龍野高校の対応を検証する(その16)

[ 2023/05/12 09:05 ]
  2023年5月7日21時00分から放映された、NHKスペシャル
「いのちを守る学校に 調査報告“学校事故”」
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/N5Q76W31WY/
の関連記事が、「NHKみんなでプラス」に掲載されています。
https://www.nhk.or.jp/minplus/0012/topic036.html

 このなかで紹介されている、兵庫県川西市立中1年生だった
宮脇健斗くんが、ラグビー部の練習中に熱中症による多臓器不全で
亡くなった事故に関しては、「川西市子どもの人権オンブズパーソン」が
調査し、報告書をまとめたことで顧問教諭(当時)のきわめて不適切な
指導が明らかになり、刑事事件として立件されました。
 しかしこれは残念なことに、「たまたま川西市が条例を定めていたから」
と、いわざるを得ないのが現状です。

 兵庫県には同様の制度はありません。
 したがって、龍野高テニス部事故においては、NHKスペシャルで
梨沙さんの父親が証言したとおり、石原元秀校長(同)が
保護者に示した事故報告書はA4用紙1枚の、簡略というよりは
空疎な内容のものにすぎません。
 そしてこれは兵庫県教育委員会に提出するために作成したもの
であり、保護者に対する説明を目的としたものではありません。
 しかし石原氏は、
「これで保護者に対する調査報告義務は果たした」
と切り捨て、そのうえ熱中症で倒れ、遷延性意識障害という
重篤な後遺障害に見舞われた梨沙さんと、保護者の名誉を
傷つける発言を繰り返したことは、断じて看過できません。

 兵庫県教委も石原氏の姿勢に追随し、裁判の審理において
「保護者が調査しているのだから、龍野高および兵庫県教委が
あらためて調査する必要はない」
という当事者意識皆無の、無責任きわまりない主張をしたことは、
当ブログでも繰り返し指摘してきました。
 なお、こうした石原氏らの主張は大阪高裁判決が一蹴し、
最高裁もこれを支持して確定しています。

 という現状に鑑みれば、上記「NHKみんなでプラス」で
吉川優子さんが指摘しているように、
「国の運輸安全委員会のように、事故が起きたら専門的知識をもった
調査官が現場に急行して調査にあたる、そんな仕組み」
が、なんとしても必要でしょう。

 なぜならば、宮脇さんの事案では学校設置者は川西市、
梨沙さんの事案では兵庫県、吉川さんの事案では
学校法人ロザリオ学園であり、自治体ごとの対応に委ねていては、
居住地や在籍している学校園の設置者によって、対応に差が出て
しまうからです。
 これでは「法の下の平等」が保障されないことになります。
 したがって、内田良・名古屋大学教授のいうように
「国こそが主導して行うべきで、国だけができること」
であり、岸田文雄首相が23年3月17日の記者会見で、
「子どもファースト社会の実現は社会全体の課題」
と言い切っている以上、政府と国会の責任において
早急に取り組むべき課題です。

 なお、龍野高の対応について、同高の卒業生からは
「恥ずかしい」という声があがっています。

NHKスペシャルのお知らせ

[ 2023/05/01 21:45 ]
 2023年5月7日21時00分から放映される、NHKスペシャル
「いのちを守る学校に 調査報告“学校事故”」
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/N5Q76W31WY/
では、リサさんの両親も取材に応じています。

 ぜひご覧ください。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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