兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

世田谷区立小組み体操事故裁判、第2回弁論準備

[ 2017/08/04 08:44 ]
 2014年4月14日、組み体操の練習中に発生した事故で脳脊髄液減少症を
発症した東京都世田谷区立武蔵丘小6年生(当時)男子と両親が、担任の
男性教諭(同)と世田谷区に損害賠償を求めている裁判で17年7月28日、
非公開で弁論準備が行われました。
 原告は世田谷区に対して、本件に限らず区立小中学校で被害に遭った
児童・生徒に後遺症が残る、あるいは完治に数カ月を要するといった
重大事故が発生した場合、校名や被害者の状況、学校および区教委の
対応などを区のホームページで公開すること、中立な立場の第三者調査委員会を
設置して事故を検証することを求めていますが、世田谷区はいずれも拒否しています。
 これについて両親は、事故の全容解明なくして再発防止策の策定はあり得ない、
との立場から
「少なくとも第三者調査委の設置は、なんとしても和解条項に盛り込みたい」
としています。

 もう一つの懸案である事故報告書の書き換えについて、世田谷区は
「公文書なので訂正はできない」
と突っぱねたうえで、保護者が提出した文書を一緒に保管し、双方の言い分が
同時に閲覧できるよう配慮する、としています。
 世田谷区にしてみれば、被害者と保護者に一定の譲歩をした結果、こうした提案を
したということかもしれません。
 しかしあくまで「双方の主張を同時に閲覧できる」ということで、双方の主張が
平行線をたどっている現状に変化をもたらすものではありませんし、当然事故の
全容解明につながるものとは言えません。
 一方、12年9月2日に兵庫県立高2年(同)男子がいじめを苦に自殺した事件では、
17年5月になって同高が追加報告書を作成して県教委に提出し、学校が行った
調査について事実上誤りを認めた、という前例があります。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201705.html

 組み体操事故は「すでに終わったこと」ではありません。
 発生から3年以上経過しても被害者の体調が改善しているわけではありませんし、
残念ながら今後も劇的な変化が見込める状況にはありません。
 これほど重大な事故が発生したのは、担任教諭(同)の無理な指導に原因があった
との疑いが払拭できていない以上、第三者委が精緻な調査を行って全容解明に
努めたうえで実効性ある再発防止策を策定し、その運用の徹底に努めることが、
せめてもの誠意ではないでしょうか。

 なお両親によると、和解金額の提示は今回もなく、担任教諭からの謝罪についても
回答はなかった、ということです。
 次回は9月5日18時30分から、3回目の弁論準備が行われます。
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エンジェルズアーチ、第3回勉強会を開催

[ 2017/07/31 21:54 ]
 スポーツ事故の撲滅を目指す「エンジェルズアーチ」が2017年7月30日、
第3回勉強会を早稲田大学東伏見キャンパスで開催しました。
 この日は、NPO法人・スポーツセーフティージャパンの佐保豊・代表理事
(米国公認アスレティックトレーナー=AT)、南部さおり・日本体育大准教授、
永島計・早稲田大教授が講演し、全国から集まった約30人の参加者が
意見を交換しました。

 佐保氏はスポーツ事故で死亡したり後遺症が残ったりする重大事故の
要因として、心臓疾患(HEART)、頭部外傷(HEAD)、熱中症(HEAT)の
「トリプルH」を指摘し、
「選手・指導者・施設および競技団体が、安全な環境を整備するための
責任を負う。ATがコーディネーターの役割を果たすのが望ましい」
と述べました。
 心臓疾患については、「指導者は最新のデータにアップデートしておく
必要がある」とし、心肺蘇生に関する講習会を受講することやAEDを
常時携行することの重要性を訴えました。
 頭部外傷については、「脳しんとうはCTスキャンやMRIでも画像に
写らないから、めまいや吐き気といった自覚症状に頼るしかない」と述べ、
選手自身が不調を訴えられる環境づくりが重要だと述べました。
 そして熱中症については、「初期症状がみられた際には緊急搬送に
先立って体温を38℃台まで下げておくこと。そのためには全身を氷水に
浸すのが最も効果的だ」という米国の研究結果を紹介しました。
 そのうえで、
「将来的には、各種の競技大会を開催するにあたって主催者は
あらかじめ緊急行動計画(EAP)を作成し、これをATが承認しない限り
大会を開催できない、という制度設計をすべきだ。当然ATには責任が
生じるから、国家資格として位置付けたうえで社会的・経済的な裏付けを
与えることが望ましい」
との見解を明らかにしました。

 南部氏は、指導者が医学的な知識を学ぼうとせず、自らの経験知のみに
依拠する勝利至上主義が「人災としての熱中症」を誘発すると指摘し、
熱中症の初期症状にみられるふらつきや吐き気を「気の緩み、怠け癖」と
決めつけることが症状の悪化を招いている、と警告しました。
 そのうえで佐保氏の講演に呼応するかたちで、
「日体大には製氷機を多数設置している。業務用の製氷機は十数万円で
購入できる。中学校や高校でも、体育館やグラウンドの近くに製氷機を
設置して、いつでも緊急時に利用できるようにすべきだ。
 予算上難しいというのであれば、例えば卒業生が記念樹やモニュメントの
代わりに、卒業記念品として学校に製氷機を寄贈するなどの運動が
全国に広がればいいと思う」
と提言しました。

 永島氏は、発汗による気化熱が体温上昇を抑えるうえで極めて重要な
ファクターだとしながら、
「有効に働く汗腺の数は幼少期に決定されてしまう。また、大人になっても、
上手に汗をかき、なおかつ脱水状態になりにくい体を作るための短期暑熱
順化を講じる必要がある」
とし、適度な運動を心がけることが重要だが、湿度が高い環境では汗が
蒸発しないため気化熱が発生せず体温調節機能にはならない危険が生じる
と警告しました。
 そのうえで、スポーツ事故防止に関するATの役割について
「学校スポーツにおいて重大事故が発生することは、本人や家族にとって
大きな不幸を生み出す。裁判になった場合、長期化することが多く、学校側に
責任があると判断された場合には賠償金の問題が当然、発生する。
 これらに伴う経済的損失のみを考慮しただけでも、地方公共団体がATを
採用し、事故予防に努める意義は大きいのではないか」
と述べました。

組み体操事故裁判、世田谷区が和解案を提示

[ 2017/07/18 06:53 ]
 2014年4月14日、組み体操の練習中に発生した事故で脳脊髄液減少症を
発症した東京都世田谷区立武蔵丘小6年生(当時)男子と両親が、担任の
男性教諭(同)と世田谷区に損害賠償を求めている裁判で、7月12日
16時30分から非公開で弁論準備が行われました。

 世田谷区は男子と両親に対して謝罪したうえで、
「『組体操に係るガイドライン』を基に、子どもの実態や教員の指導体制を
踏まえて再発防止に努める」
としていますが、当該事故が発生するに至った経緯について、改めて検証する
ことはない、との姿勢です。
 同区は17年4月25日に行われた第1回口頭弁論で話し合いによる解決を
提案していますが、区が支払う和解金の額については、現時点では
提示していません。
 また武蔵丘小が作成した事故報告書について、両親は
「事実ではないことが記載されているので、訂正してほしい」
と要望していますが、世田谷区は「検討する」としています。

 両親は
「世田谷区からの和解案には『謝罪』、『事故防止策』、『事故後の対応』の
項目があった。事故発生直後の取り付く島もないような対応からは、
考えられないほどの内容だ。
 しかし第三者調査委員会を設置して事故の全容を解明したうえで家族に
報告する、などの私たちの要望については『持ち帰って検討する』としており、
予断を許さない状況だ」
と述べたうえで、
「事故防止や事後対応については、私たちのように何年もかけて法廷で争う
のではなく、もっとシンプルに解決できるはずだと思っているので、今後機会が
あれば発信したい」
との意向を示しています。

 次回は7月28日、今回と同様に非公開の弁論準備が行われます。

竹田高剣道部熱中症死亡事件、控訴審が結審

[ 2017/07/16 08:57 ]
 2009年8月22日、大分県立竹田高校剣道部の練習中に工藤剣太さん
(当時17歳)が熱射病による多臓器不全で死亡した事件について、
17年7月13日13時30分より福岡高裁(佐藤明裁判長)で控訴審
第2回口頭弁論が開かれ、結審しました。
 10月2日13時30分、判決が言い渡されます。

 本件については繰り返し指摘していますが、同部顧問教諭だった
坂本忠文氏が部員たち、特に剣太さんに対し過酷な練習を課したうえに
暴力をふるったことと、保健体育科教諭でありながら熱中症についての
正確な知識を持たずに判断を誤ったことが原因であり、これ以外の
要因はありません。
 坂本氏が顧問でなかったなら剣太さんが亡くなることはなく、大分県が
両親に対して賠償責任を負うこともあり得なかったことは論を俟ちません。
 したがって大分県に対し、坂本氏への求償権を行使するよう認めた
大分地裁の判断は極めて妥当なものです。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201612-2.html

 福岡高裁が大分地裁の判断を支持し、大分県の控訴を棄却することを
強く期待します。
 そして大分県は、17年6月30日に日本体育大世田谷キャンパスで
開催された「学校・部活動における重大事件・事故から学ぶ研修会」で
剣太さんの弟・風音さんが
「大会で優勝するなど結果を出して、自らが監督としての名声を得たいだけ。
 生徒はそのための道具にすぎず、生徒たちに対する愛情がなかった」
と坂本氏を厳しく批判した事実を重く受け止めるべきです。

「子どもやアスリートの重篤事故を防止するために!vol.3」のお知らせ

[ 2017/07/14 11:20 ]
 熱中症などスポーツ事故の撲滅を目指す「エンジェルズアーチ」が
「暑さにつよい体づくりとその限界! 人災による熱中症! 
スポーツ現場における安全とは?」
と題する学習会を下記の要領にて開催しますので、お知らせいたします。

 日時:7月30日(日) 14時00分~17時30分 
 会場:早稲田大学 東伏見キャンパス79号館204教室
    〒202-0021西東京市東伏見3-4-1(西武新宿線東伏見駅徒歩1分)
 資料代:500円。(当日徴収いたします)


 登壇者は永島計・早稲田大教授、南部さおり・日本体育大准教授、
そしてアスレティックトレーナーの佐保豊先生です。

 参加を希望される方は事前に申し込みが必要です。
 メールにてお名前と連絡先、シンポジウム終了後の懇親会に参加するか否かを
ご記入のうえ、
netu.jikobousi@gmail.com

まで、お願いいたします。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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