兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

子どもやアスリートの重篤事故を防止するためにVol.2

[ 2017/04/24 21:59 ]
 2017年4月22日、「子どもやアスリートの重篤事故を防止するためにVol.2」が
日本体育大学世田谷キャンパスで開催され、全国各地から集まった40人を
上回る参加者が意見を交換しました。
 参加者には現職の中学校養護教諭も含まれ、生徒らの安全を確保するために
学びたいとの意欲を示していました。

 この日は13年8月24日、大阪市の障害者スポーツクラブでの水泳練習中に
死亡した国本考太さん(当時24歳)と、09年8月22日、大分県立竹田高剣道部の
練習中に死亡した工藤剣太さん(当時17歳)の事例について検証しました。
 いずれも死因は熱中症による多臓器不全ですが、指導者の注意義務違反が
事故を招いたという点でも共通しています。

 日本水泳連盟は『プール公認規則』で、水温について
「競技中を通じて常に25℃以上28℃以下に保たれるような設備を必要とする」
と規定し、『水泳指導教本第2版』で「室温と水温の合計は60℃前後が最適」との
指針を明示していますが、事故発生当日の室温は36.0℃、水温は32.7℃で
計68.7℃と日本水泳連盟の指針を大きく上回っていました。
 また屋内プールは湿度が高いため、日本生気象学会が公表している
『日常生活における熱中症予防指針』を参照すれば、WBGT(熱中症指数)が
31を上回り「危険」領域に達していた可能性が高いこともわかります。
http://seikishou.jp/pdf/news/shishin.pdf

 しかし指導者は給水や休憩も指示しないまま、過大な負荷をかけた練習を強制し、
考太さんには意識障害による異常行動がみられていました。
 緊急搬送された病院で測定したところ体温は41.9℃、脈拍・血圧・動脈血酸素
飽和度は測定できない状態で、まもなく死亡が確認されました。

 これについて永島計・早稲田大学教授は、
「WBGTは水中の環境は考慮していないので、プールからあがって休憩したと
しても、望ましい環境ではなかったと考えられる」
と指摘しています。

 竹田高剣道部顧問だった坂本忠文氏は、剣道場内の温度計が36℃を示していた
という猛暑のなか、剣太さんには特に過重な負荷をかけた練習を強要し、
そればかりか暴力を繰り返しました。
 永島氏は、竹田高剣道部で剣太さんが異変を示す前に嘔吐した部員がいた
事実に着目し、
「坂本氏は剣太さんの疲弊ぶりを『演技』と決めつけたが、人が嘔吐したら普通の
状態ではないと気付くのが当たり前だ。他の部員も寒気や足のけいれんを訴えて
いたというが、当時の室内の温度や、練習の時間・強度を考えると、これらの症状は
熱中症によるものと容易に判断できる。
 剣太さんの死因は熱中症による多臓器不全かもしれないが、そういう問題ではない」
と、坂本氏の指導メソッドを厳しく批判しました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201703-1.html

 南部さおり・日体大准教授は、これらの事案を「人災としての熱中症」と呼び、
「勝利至上主義の指導者は、生徒の異変に気付くことができない」
とし、ラグビー部の練習中に事故にあった被害生徒の父親の
「生徒は部活動に青春をかけているのであって、命をかけているのではない」
という警句を伝えました。
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橿原市立中いじめ自死事件、第8回口頭弁論

[ 2017/04/21 20:08 ]
 奈良県橿原市、および同市教育委員会の隠蔽体質と不誠実な対応に
変化は見られません。
 原告である自死生徒の遺族が、2017年2月6日付で奈良地裁に
「文書提出命令申立書」を提出したことは既報のとおりです。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201702.html

 これに対し被告・橿原市は17年4月12日付で「文書提出には応じない」
旨の文書を奈良地裁に提出しました。
 これを受けて原告側は17年6月末までに反論書を提出する予定です。
 木太伸広裁判長は、
「原告の反論書に対する被告の意見書を待ったうえで、文書提出命令を
出すかどうか判断する」
との意向を明らかにしました。
 もちろん井上善雄弁護士(大阪弁護士会)ら橿原市代理人が意見書の
作成にどの程度の時間をかけてくるかは見当がつきませんし、さらに
奈良地裁が判断を下すまでに要する時間も予想できません。
 現時点で確かなのは、相当の期間にわたって原告の訴えに関する
審理が行われないことだけです。

 第1回口頭弁論が開かれた15年10月29日以来、第8回口頭弁論に
至るまで約1年半が経過していますが、橿原市と加害生徒らは
ただ「争う」というのみで、「原告の訴えのどの部分について争うのか」は
明らかにしないまま。
 すなわち実質的な進展がないまま、今日に至っています。
 橿原市の対応には、いたずらに裁判を長期化させ原告の疲弊を俟つ
という、きわめて卑怯な手段を選んでいる、という印象しかありません。
 
 橿原市が設置した第三者委員会(委員長・出口治男弁護士)は、
森下豊市長、吉本重男教育長らの言動を
「子どもの自死を汚れた大人の論理でもてあそび、誠に許し難い」
と痛烈に批判しています。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201504.html

 森下市長、吉本教育長らは、こうした批判を真摯に受け止める
のではなく、感情的に反発し、いやがらせ戦術を繰り広げている
としか思えません。
 橿原市が設置している中学校に通っていた生徒が、学校生活を
送るなかで生きる希望を失い、自ら命を絶つという不幸な結末を
招いたことは学校関係者のみならず、教育行政に携わる者全員に
とって最大の痛恨事です。
 しかし橿原市と同市教委は、真相究明を怠るばかりか全力を挙げて
妨害し、責任回避のためには「母親による虐待が自死の原因」という、
ありもしない風評を流布するほどです。
 橿原市と同市教委はいったいだれを、なにを守ろうとしているのか?
 多額の公金を投入してまで市民を苦しめる目的はなんなのか?
 それらは、わたしの想像力の及ぶところではありません。

 母親は第8回口頭弁論で橿原市と同市教委の対応を批判し、
「『娘を二度殺された』と感じています」
と、懸命に涙をこらえながら意見陳述しました。

 次回口頭弁論の予定は未定です。
 決まり次第、当ブログでお知らせします。

スポーツ事故防止を目指すシンポジウムのお知らせ(その2)

[ 2017/04/13 07:48 ]
 「子どもやアスリートの重篤事故を防止するために!Vol.2」が、
以下の要領にて開催されますので、お知らせいたします。

日時:4月22日14時30分~17時00分(14時00分開場)
場所:日本体育大学世田谷キャンパス教育研究棟2階2204教室
    〒158-8508東京都世田谷区深沢7-1-1
http://www.nittai.ac.jp/access/tokyo.html
 講師:永島計・早稲田大学人間科学学術院教授
     南部さおり・日本体育大学准教授

 参加を希望される方は、事前にお申し込みが必要です。

日本体育大学スポーツ危機管理学研究室 南部
TEL&FAX: 045-479-7115
e-mail: nambu3@nittai.ac.jp

まで、ご連絡ください。

 当日はシンポジウム終了後、懇親会も予定されています。

組み体操事故、第1回口頭弁論のお知らせ

[ 2017/03/28 06:59 ]
 2014年4月14日、組み体操の練習中に発生した事故で、脳脊髄液減少症を
発症した東京都世田谷区立武蔵丘小学校6年生(当時)男子の両親が、
担任の男性教諭(同)と世田谷区に損害賠償を求めている裁判について、
第1回口頭弁論期日が決定しました。

 17年4月25日13時10分から、東京地裁411号法廷で行われます。
 原告の定松佳輝さん・啓子さん夫妻は
「お忙しいところ恐れ入りますが、どのような裁判となるか皆様にも来て頂き、
見守って頂ければ幸いです」
とコメントしています。

竹田高剣道部熱中症死亡事件、控訴審日程決まる

[ 2017/03/15 23:38 ]
 2009年8月22日、大分県立竹田高校剣道部の練習中に工藤剣太さん
(当時17歳)が熱射病による多臓器不全で死亡した事件について、
17年5月16日(火)13時30分より福岡高裁502号法廷で、控訴審第1回
口頭弁論が開かれます。

 大分地裁(竹内浩史裁判長)は16年12月22日、剣太さんが死亡するに
至ったのは、同部顧問教諭だった坂本忠文氏に重過失があったと認める
判決を言い渡しましたが、大分県はこれを不服として控訴しています。
 http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201612-2.html
 http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201701-2.html

 「大分県立竹田高等学校剣道部熱中症発症時暴行死亡事故裁判を
見守る全国支援者の会」が17年1月17日、広瀬勝貞・大分県知事と
工藤利明・大分県教育長に公開質問状を提出しました。
 形式的には17年1月30日付で回答はありましたが、知事と教育長は
「県の考えにつきましては、控訴審の中で明らかにさせていただきます」
と記載したにすぎず、したがって
「実質的な回答はない」
と言わざるを得ません。
 http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201702-2.html

 剣太さんの両親である工藤英士さん・奈美さんは、
「教師の暴力的な指導を抑制するための教訓としてほしい」
と願っていますが、
「大分県はこうした切実な声に耳を傾ける気がない」
と判断するよりほかない対応です。
 また控訴審を戦ううえで、大分県は公費を投入しています。
 県民が納めた税金が、県民を苦しめるために費消されているという
現実には疑問を禁じえません。

 この問題については17年3月4日付朝日新聞で、中小路徹・編集委員が
「縦横無尽」というコラムで取りあげています。
 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12824706.html
 こちらも、ぜひご参照ください。

プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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