2023年9月17日、「全国学校事故・事件を語る会」は
神戸市内でシンポジウムを開催しました。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20230918/2000077983.html
同会の代表世話人・内海千春氏は、近年全国各地で
設置されている第三者調査委員会について、
「その目的はなんなのか?再発防止が目的であれば、
被害者と学校が対立することはないはずだ。
しかし責任論を持ち出すことで、両者の対立が先鋭化している」
という問題意識を明らかにしました。
そのうえで、兵庫県立川西明峰高校で発生したいじめ自死事件
に言及し、
「両親が求めていたのは子どもが亡くなった原因を明らかにすることだ。
だから神戸地裁判決が、被告・兵庫県に対する損害賠償請求に
ついては棄却したものの、いじめと自死の事実的因果関係を認めた
ことに満足し、控訴はしなかった」
「両親は、この判決をもとに、学校が作成した事故報告書の記載内容に
不備があるとして、これを訂正させた」
と述べ、提訴の目的は賠償金を受け取ることにあるのではなく、
子どもと家族の名誉回復にあることを指摘しました。
さらに内海氏は、調査委が報告書をまとめる際の姿勢について、
「亡くなったり、重篤な後遺障害に苦しんでいる子どもについて、
委員には『絶対に間違いがあってはいけない、というおそれ』が
感じられない」
「委員は『公正中立』というが、それはなんなのか?子どもを
大切に思い、子どもに寄り添う姿勢を示すことが『公正中立』だ」
と強調しました。
一般社団法人「ここから未来」の代表理事・大貫隆志氏も、
自らが調査委員を務めた経験に基づき、
「『公正中立』というのはトリックワード」
とし、その理由として
「まず被害者は被害に遭っている、ということを忘れてはいけない」
「学校側は圧倒的に多くの情報を持っていて、しかもそれを
被害者側には開示しない」
「委員に選任されるのは医師や弁護士、学識経験者が多いが、
彼らは必ずしも学校事故・事件の専門家ではない」
ことをあげたうえで、
「委員が被害者側に相当に加担しないと、両者はイーブンな関係
にはならない。こうした状況を放置したままでは、まっとうな調査は
スタートできない、と断言できる」
と述べました。
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