兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

全国学校事故・事件を語る会、シンポジウムを開催(その4)

[ 2018/06/11 09:09 ]
 シンポジウムでは、参加者も活発に意見を交換しました。
 小佐井良太・愛媛大教授は、愛媛県西条市の聖マリア幼稚園の
お泊まり保育中に発生した園児水死事故の調査委員を務めた経験に基づき
「被害者救済の視点に立って事故発生に至った問題点を指摘し、提言する
ことが周囲や地域に働きかける効果がある。
 調査委は裁判所の代わりではない。位置づけが違うと明確にすべきだ」
と述べました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201508-1.html

 横山巌弁護士(大阪弁護士会)も、
「原因究明は調査委の使命ではない。なんらかの事実があって事件・事故に
影響を与えたとすれば、問題を指摘し提言するのが調査委の役割ではないか」
との見解を表明しました。

 教員志望の大学生に対する働きかけとしては、日本体育大が研修会を
実施して被害者家族の声を聞く取り組みを続けていますが、大阪大・高知大
などでも教職課程の授業に「全国柔道事故被害者の会」の村川弘美さん、
「『指導死』親の会」の安達和美さん・山田優美子さんらが、ゲストスピーカー
として招かれています。
 山田さんは
「遺族を教材として利用してほしい。しかし当事者の訴えは感情論として
斥けられてしまう恐れがあるので、大学教員には学生たちに通訳する
役割を担ってほしい」
と要望しました。
 これについて、小野田正利・大阪大教授は
「学生たちは、学校事故・事件を『別世界のできごと』と捉えてしまいがちだ。
ブラック部活の問題を取り上げてからゲストスピーカーに来てもらう、といった
環境醸成をして、我がこととして受け止めるような仕掛けが必要だ」
と指摘しました。
スポンサーサイト

全国学校事故・事件を語る会、シンポジウムを開催(その3)

[ 2018/06/11 09:03 ]
 16年7月26日に発生した山口県立高いじめ自死事件、
15年9月27日に発生した都立小山台高いじめ自死事件については、
いずれも形式的には「学校事故対応に関する指針」に基づいて
調査委員会が設置され、報告書が公表されてはいます。
 しかし二人の母親は、「保護者の理解を得られるものとはほど遠い」
と訴え、不信感をあらわにしました。

 山口県の母親は、教員への事情聴取を行ったのは調査委員ではなく、
事務局を務めた県教委職員だったことが明らかになっており、いわば
身内によるお手盛り調査だった可能性が高いこと。
 「報告書の記載内容を口外しない」という誓約書への署名捺印が
なければ報告書は渡さない、という理不尽な条件を突きつけられたことを
明らかにし、
「なぜこんな悲劇が起きたのか?という問いに対する答えは、
何も得られないままだ」
と訴えました。
 17年10月に公表された報告書は「事実認定が不明確で、納得できない」
として村岡嗣政・山口県知事に申し入れた結果、知事は17年12月27日に
再調査を行うと発表し、知事部局直属の組織として新たな調査委が設置
されることになりました。
 母親は、
「今度こそ真相解明されることを望んでいる」
と期待を表明しました。

 東京都の母親は
「学校が悪いと言っているのではない。ただきちんと調査してほしいと
お願いしてきたが、それらはすべて裏切られた」
としたうえで、
「調査委が入手した基礎資料は保護者に提示されないまま。
これではいかなる資料を基に、どのような結果を導き出したのかが
わからないので、見せてほしいと要望したが、報告書の記載を読めば
十分だろうと言われた」
「都教委職員から複数回にわたって怒鳴られ、恫喝されたが、
これらの事実は報告書には記載されていない」
と訴えました。
 母親によると17年9月22日、小池百合子・東京都知事に再調査を
依頼しましたが、今日に至るまで再調査を実施するか否かの結論は
出ていないとのことです。

 「学校事故対応に関する指針」は被害者・家族と、学校・および
学校設置者の仲介役となるコーディネーター制度の導入についても
明記していますが、広島大も山口県も東京都もコーディネーターを
置いていません。
 17年12月8日、内海氏と宮脇氏が三谷卓也・文科省初等中等教育局
健康教育・食育課長らと面談しましたが、半年たってもなお
「学校事故対応に関する指針」が現場レベルにおいて徹底されているとは
言いがたい実態が改めて浮き彫りになりました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201712-6.html


(この項、つづく)

全国学校事故・事件を語る会、シンポジウムを開催(その2)

[ 2018/06/11 08:55 ]
 広島大附属三原中の事故は16年6月18日、1段目は6人、2段目が2人、
そして3段目が1人の計9人で騎馬を組み、約40m移動して退場するという
同校の運動会では恒例となっている種目を実施中に発生しました。

 父親によると、退場時に騎馬が崩れて落下した様子が録画されており、
しかも3段目にいた男子生徒が
「ぼくが滑り落ちた際、左膝が2段目の左側で四つん這いになっていた
被害生徒の後頭部を直撃した」
と被害生徒の保護者に対して証言し、謝罪したということです。
 これは同月20日早朝、被害生徒が悪心を訴えたために緊急搬送された
病院で、くも膜下出血と小脳出血が確認されていることと整合性があり、
上記男子生徒の証言はきわめて信憑性が高いと判断できます。

 しかし父親によると、広島大は「真相を知りたい」という保護者の願いに
配慮することはなく、また勇気をもって証言し謝罪した男子生徒の思いに
応えることもなく、
「運動会は完璧に行われた。事故は発生していない」
との態度を崩していません。
 このため保護者はやむなく17年11月1日に広島地裁福山支部に提訴し、
18年7月11日には第3回口頭弁論が行われる予定です。

 文部科学省は16年3月31日付で「学校事故対応に関する指針」を発表し、
速やかに調査を行うことと定めていますが、広島大附属三原中はこれを順守
していません。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1369565.htm

 上記指針をまとめる際、有識者会議の委員を務めた住友剛・京都精華大教授は
「指針を発表して3カ月足らずの時期に発生した事故であるにもかかわらず、
指針を順守していないなど言語道断。由々しき問題だが、指導もしていない
文科省には疑問とともに強い憤りを覚える」
と厳しく批判しました。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201603-3.html


(この項、つづく)

全国学校事故・事件を語る会、シンポジウムを開催

[ 2018/06/05 09:09 ]
 2018年6月3日、「全国学校事故・事件を語る会」
(代表世話人・内海千春氏、宮脇勝哉氏)が、神戸市でシンポジウム
「被害者・遺族が望む現場対応(学校・教委・調査委員会)=現状と課題=」
を開催しました。

 冒頭、宮脇氏が1999年7月27日、兵庫県川西市立中1年生だった
長男・健斗くんがラグビー部の練習中に顧問教諭(当時)の不適切な
指導によって熱中症を発症し、翌日多臓器不全によって死亡した事故と、
学校および同市教委の事後対応について基調報告を行いました。

 当初市教委の幹部は顧問教諭だけに事情聴取を行い、その結果をA3用紙
4枚にまとめて保護者への報告をすませようとしていました。
 しかし「これではとても納得できない」という遺族の声を聞いた学校関係者が、
この意向を校長に伝え、翌日以降ラグビー部員や、事故当日グラウンドにいた
陸上部員やサッカー部員らにも教員らが手分けして事情を聞いた結果、
顧問教諭の説明との矛盾点が浮き彫りになっていった経緯を明らかにしました。

 宮脇氏は
「夏休み中で授業期間ではなく、しかし教職員は出勤しているという状況だった
ことが幸いした。このため『我が子の身に何が起こったのか?事実を知りたい』
という事件・事故被害者の保護者に共通する願いは、わたしの場合は比較的
かなえられたように思う」
としたうえで、自らが小学校教員だった経験を踏まえて
「重大事故が発生したら、授業期間であっても1週間くらい休校にすべきだ。
生徒たちへの事情聴取をどのように行うのか、という手順を確認するための
職員会議に2日。実際の事情聴取と、聴取した内容の突き合わせに3日と
考えれば、1週間で初期対応が可能だ」
と提言しました。
 さらに
「学校が把握した事実を校長が速やかに公表していれば、事実ではない風評が
地域に流布されることもなく、わたしたちが被ったいわれのないバッシングを
未然に防止することも可能だった」
と述べ、正確な情報を速やかに公開することが二次被害を防ぐことにつながる
との見解を示しました。

 その後、運動会の組み体操で発生した事故が原因で死亡したとみられている
広島大附属三原中3年生(同)男子の父親。
 そしていずれも、いじめを苦に自死するに至った山口県立高2年生(同)男子と
東京都立小山台高1年生(同)男子の母親が、それぞれ自らの体験を語りました。


(この項、つづく)

大阪市の水泳死亡事故、控訴審第3回口頭弁論

[ 2018/06/01 10:18 ]
 2013年8月14日、大阪市の障害者向け水泳教室の練習中に死亡した
国本考太さん(当時24歳)の両親が、運営していたNPO法人と女性コーチを
相手取って提訴している損害賠償請求訴訟の控訴審第3回口頭弁論が
18年5月29日、大阪高裁(江口とし子裁判長)で行われました。

 コーチ側は、医師の意見書を提出し、
「死に至るような熱中症例は屋外における過激な運動に起因して」いるとし、
「屋内プールにおける水中運動は熱中症を起こし難い環境」なのだから、
予見は困難と主張しています。

 しかし事故当日の室温や水温が、日本水泳連盟が定める指針を大きく
上回っていたという事実があるにもかかわらず、これを無視していること。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201704-1.html

 さらに障害者スポーツに長くかかわってきた塩浜ひろみ氏が、事故当日の
練習内容があまりにも過酷だと指摘したうえで、
「考太さんのように軽度の知的障害がある人の特性を理解していなければ、
障害者スポーツの指導者としての資格を備えていないと言わざるを得ない。
大阪地裁は知識不足。もっと踏み込んでほしかった」
と批判していることを踏まえれば、その論拠は極めて脆弱で、
まさに牽強付会といわざるを得ません。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201706-1.html

考太さんの母は
「(コーチ側が提出した)意見書の記載内容にそもそも無理がある。
やりきれない思いを感じているが、負けるわけにはいかないと改めて思った」
と述べました。

 次回口頭弁論は18年7月26日13時45分から、大阪高裁84号法廷で
行われます。

プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

最新トラックバック