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兵庫県立龍野高校テニス部事故を考えるウェブサイト

2007年5月24日、兵庫県立龍野高校テニス部の練習中に倒れ、いまも意識が戻らないリサさん。事故発生とその後の状況について検証し、ともに考えたいと思います。

龍野高校の対応を検証する(その1)

[ 2020/01/25 12:28 ]
 2020年1月16日付朝日新聞「憲法季評」で、
蟻川恒正・日本大学大学院法務研究科教授(憲法学)は

 われわれは、言葉を交わし合うことによって約束をし、無数の約束事の上に
現在の世界を作ってきた。この世界において、定義は、あらゆる制度の土台を
なすものである。法もまた、言葉を媒介とする社会運営の制度である以上、
定義は法の土台でもある。土台が揺さぶられたら、その上に組み立てられる
全ての約束事は、砂上の楼閣となる。

と指摘しています。

 学校管理下においては、学校側に注意義務・安全配慮義務があります。
 この約束事があるからこそ、保護者は子どもを学校に通わせていますし、
教職員が保護者の負託に応えるべく全力を尽くすことで、両者のあいだに
信頼関係が成立します。

 こうした定義に基づき、大阪高裁(森宏司裁判長)は15年1月22日、
「リサさんが07年5月24日、龍野高女子テニス部の練習中に倒れたのは
熱中症による」
と認定し、同日の練習内容についても、
「負荷の程度は相当に重いものだった」
とし、同部顧問の三木教郎教諭(当時)には
「熱中症を予防するための措置を講ずる義務があったが、これを怠った」
とする判決を言い渡しました。

 同判決は、事故が発生した際に校長は
「事故発生に至る経緯、事故原因の検証をした上で(調査義務)、重篤な
状態に陥った生徒の両親に対し、上記調査・検証の結果、今後の再発
防止策等について十分な説明をする義務(報告義務)を負っている」
という原則をあらためて確認し、石原元秀・龍野高校長(同)が、
調査報告義務を履行しなかったことを指摘しました。

 そのうえで、
「学校長は、調査報告義務を履行する際には、被害生徒やその両親等の
名誉を傷つけたりすることは許されず、誠意を持って対応すべき義務
(誠実対応義務)を負う」
ことを明確に認めました。

 これを踏まえて。
 石原氏が07年、龍野高育友会(PTA)役員会で
「リサさんが倒れたのは心筋炎という病気によるもので事故ではない。
したがって学校に責任はない」
「しかしリサさんの保護者は学校に責任があると強弁し、多額の金品を
要求されている」
「いくら説明しても納得してもらえない。要求が二転三転して、対応に
苦慮している」
などと発言したことについても、石原氏が
「一方的に虚偽の事実を述べ、被害生徒やその両親等の名誉を傷つけた」
と厳しく断罪しました。

 石原氏は、12年1月26日付で作成した陳述書において
「三木(教郎)教諭が08年2月2日及び6日に女子テニス部員から聞き取り
調査を行って、同月6日付の報告書を作成し保護者に交付した。
 龍野高校としては、事実関係について実施可能な調査は尽くしていると
考えている」
と主張していましたが、大阪高裁判決は
「上記書面は、生徒からの聴取内容の一部、熱中症に結びつく全ての事実を
省略して作成されていた」
とし、石原氏が「不都合な真実」を意図的に隠蔽したと認定しています。

 そして石原氏が12年12月7日、神戸地裁で行われた証人尋問において、
07年度に龍野高女子テニス部に在籍していた生徒たちに責任を転嫁する
かのような発言をしたことも、不問に付すわけにはいきません。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201212-9.html

 これは、「教育者」と呼ばれる人物。
 ましてや校長という職に就いていた人物としてあるまじき発言であり、
このような暴言が容認されるのであれば、子どもたちを学校に通わせること。
 ましてや部活動に参加させることなど危険極まりないことと言わざるを得ず、
到底看過できるものではありません

 そして最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は15年12月15日付で
兵庫県の上告を棄却し、大阪高裁判決が確定しました。

 あらためて一連の流れを確認してみると、石原氏および三木教諭は
注意義務・安全配慮義務・誠実対応義務・調査報告義務の、いずれも
果たさなかったとする司法の判断が下され、これが確定しました。

 もちろん石原氏の無責任で不誠実極まりない言動を追認し、擁護してきた
兵庫県教育委員会も同罪と言わざるを得ません。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201502-9.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201502-8.html
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201502-5.html

 上記大阪高裁判決が確定してから、すでに4年あまりが経過しています。
 この間、龍野高はリサさんと保護者にどのような対応をしてきたのでしょう?
 次回以降、論考します。

(この項、つづく)
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橿原市立中いじめ自死事件、口頭弁論

[ 2020/01/22 19:49 ]
 2013年3月28日、奈良県橿原市立中1年生の女子生徒(当時)が、
同級生らからのいじめを苦に自ら命を断つに至った事件の口頭弁論が、
20年1月21日11時20分から奈良地裁(島岡大雄裁判長)で行われました。

 前回口頭弁論で、裁判官は
「今年度中に準備書面のやりとりは済ませ、新年度に集中的に証人尋問を行う」
という方針を、原告・被告双方に明確に伝えていましたが、今回の口頭弁論を
前にして行われた進行協議で、具体的な日程が確定しました。

 5月26日、6月9日、6月23日、6月30日、7月7日。
 いずれも10時00分から奈良地裁で行われます。
 出廷する人物は、次回3月10日の進行協議などで確定する予定ですが、
原告弁護団は
「事案の性質上、当時の担任、加害生徒らも出てくるのではないか」
との見通しを示しました。

全国学校事故・事件を語る会、文科省に申し入れ

[ 2019/12/18 10:17 ]
 「全国学校事故・事件を語る会」の代表世話人、内海千春氏と宮脇勝哉氏は
2019年12月12日、文部科学省を訪問し、萩生田光一文科相にあてた
要望書を提出しました。
https://katarukai.jimdo.com/

 文科省は16年3月、「学校事故対応に関する指針」を発表していますが、
担当者は
「十数件の報告書に目を通しているが、出来不出来にばらつきがある。
これは文科省がひな形を提示しておらず、現場任せになっていることも
要因であり、事実がつまびらかになっていないことも否めない」
との現状認識を示しました。
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1419593.htm

 これに対して内海氏は
「この状況で被害者や遺族の理解を得ることは困難」
とし、いじめ問題などでは事後対応の一環として加害生徒らに対する
指導も欠かせない、との認識を明らかにしたうえで、
「本来は学校が教育目的に沿って調査して事実関係を解明し、
説明責任を果たすべきなのに、調査委員会を設置して丸投げすることが
常態化し、教員の当事者意識が希薄化している。
 責任の所在を明確化することや補償問題は二の次であり、
行政が担当することだ。
 学校にできることは教育だけだし、学校は信頼されなければならない。
 そのためには事後対応を可視化することだ」
と述べました。

 宮脇氏は
「教育の目的は人格の完成なのに、人格を確立する前に命を奪われ、
重篤な後遺障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ
というようなことは、あってはならないこと。
 教員や教育行政に携わる関係者は、大いに反省しなければならない」
と述べ、不幸にして発生してしまった過去の事案を教訓として活かすよう、
あらためて要望しました。
 「指針では基本調査を3日間程度で行うとしているが、基本調査は
最も大事なことであり、3日では足りない。
 被害者・遺族と情報を共有して対話を進めるためのベースとする
ためにも、1週間は必要だ」
との見解を明らかにしました。
 そのうえで、被害者・遺族の救済という観点から、彼らが自らの体験を
日本体育大学スポーツ危機管理研究所が主催している研修会など、
全国各地の大学で教職課程を履修している学生たちに講義している例や、
教員や行政を対象に講演している例を挙げ、
「当事者が『自ら動いた』という実感を持つことも、救済につながる」
として、文科省にも協力を要請するとともに
「幼・小・中・高だけでなく、保育所・専門学校・専修学校・大学・大学院
などでも同様の事故・事件が発生していることを理解してほしい」
と要望しました。

19年度第3回日体大研修会

[ 2019/12/16 07:23 ]
 日本体育大学スポーツ危機管理研究所が主催する
「学校・部活動における重大事故・事件から学ぶ研修会」
 4年目となる2019年度の最終回が、12月13日18時00分から
同大世田谷キャンパス記念講堂で開催され、同大生のほか
市民など約200人が集まりました。

 今回は13年3月、長野県で行われたスキー合宿中に死亡した
横浜市の私立小6年生女子(当時)の母と、16年5月、体育の
授業中に行われていた体力テスト中に倒れ死亡した大分市の
私立中3年生男子(同)の両親が登壇し、自らの体験を語りました。

 いずれの事案も死因は不明なままで、学校は説明責任を果たしていません。
 このため「なぜ我が子が亡くなったのか?」という問いかけに
回答が得られないまま、葛藤する日々を余儀なくされています。

 いずれのお子さんも既往症もなく、健康状態に問題はありませんでした。
 しかし横浜市の私立小は、学校保健安全法で定められた
危機管理マニュアルの作成を怠っていたこと、宿舎にはAED
(自動体外式除細動器)が用意されてないことを事前に確認せず、
あらかじめ用意して現地に持参する、という対策も講じていなかった
ことが明らかになっています。

 大分市の私立中も、危機管理マニュアルを作成しておらず、
男子生徒が倒れたあとも授業を担当していた教諭が市民レベル以下の
対応しかできず、AEDもまともに使えなかったようです。
 両親は
「体育の教諭にもかかわらず、人工呼吸法を理解しておらず、
救命に関する技能を習得できていなかった」
と訴えています。

 さらに学校管理下で行われていた行事や授業の最中に発生した
事故にもかかわらず、注意義務および安全配慮義務を果たしていない、
という点でも一致しています。
 男子生徒の両親は
「大分県の担当部局にも訴えたが、『強制力はない』の一点張りで、
真相解明にはきわめて消極的だった」
と行政に対しても不信感を募らせています。

 危機管理マニュアルの作成を懈怠しているということは明らかに
違法行為ですが、これを放置して指導もしない、という行政の
無為無策にも言葉を失います。
 こうした現状にあっては、「私立校は無法地帯」というそしりを
免れないのではないでしょうか?

 この後、同大保健医療学部救急医療学科の鈴木健介准教授、
那須涼太郎助手の指導による救命蘇生法講習会が行われました。
 すべての教員が講習を繰り返し受講することで知識を得て、
万が一の場合には速やかに適切に対処できるだけの技能を習得すること。
 不幸にして発生してしまった事故で教え子の命を守れなかった、
という事実は教員にとって最大の痛恨事であるはずです。
 であるならば、不幸な事故を教訓とすることが、教え子に対する
せめてもの誠意ではないでしょうか?

橿原市立中いじめ自死事件、口頭弁論

[ 2019/11/24 08:51 ]
 2013年3月28日、奈良県橿原市立中1年生の女子生徒(当時)が、
同級生らからのいじめを苦に自ら命を断つに至った事件の口頭弁論が、
19年11月19日11時20分から奈良地裁(島岡大雄裁判長)で
行われました。

 この日も口頭弁論に先立って進行協議が行われ、裁判官は
「今年度中に陳述書のやりとりは済ませ、20年4月から7月にかけて
被告人質問や証人尋問などを集中的に行う」
という方針を、原告・被告双方に明確に伝えました。

 当ブログでも繰り返しお伝えしてきましたが、橿原市の代理人である
井上善雄弁護士(大阪弁護士会)らは、公判の進行を意図的に妨害
するかのような、意味があるとは思えない、むしろ嫌がらせ以外の
なにものにも思えないような対応に終始してきましたが、この手法は
もはや通用しないことになります。
http://shunichimori.blog130.fc2.com/blog-date-201704-2.html

 今回の口頭弁論を前に、被害生徒の同級生たちや保護者、
そして在籍していた中学校の関係者らからも陳述書が提出されました。
 これを受けて、20年1月21日11時20分から奈良地裁201号法廷で
行われる次回口頭弁論までには、被告である橿原市や加害生徒らから
反論書が提出される予定で、いよいよ実質的な審理が進行することに
なります。

 被害生徒の母親は閉廷後、
「(裁判については)中盤のヤマ場を迎えたと思っている。弁護団にも、
全国各地からかけつけてくれている支援者の皆さんにも感謝している」
と述べました。

 なお本件に関しましては、19年11月9日付毎日新聞「クローズアップ」
でも取り上げられていますので、併せてご参照ください。
プロフィール

heppoko runner

Author:heppoko runner
 子どもは社会の宝です。
 なぜなら20年後、30年後の社会を支えてくれるのは彼ら彼女らであり、彼ら彼女らのいのちや権利を粗雑に扱うということは、すなわち日本の、ひいては人類の未来に対する責任を放棄することです。
 そんな無責任な態度は、断じて許されません。
 子どものいのちと権利を守るために、わたしたちはなにをしなければならないのか?なにをしてはいけないのか?
 いっしょに考えていただきたいと思います。

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